保育士が抱えやすいストレスとは?効果的な解消法までご紹介!

2021.08.04 | 給料・環境
新型コロナウイルス感染症の影響により、保育の現場にも大きな変化が起こっています。
その流れに対応する保育士には、大きなストレスがかかっていることも事実です。
しかしながら、保育の仕事は多くのエッセンシャルワーカーの仕事を守る、とても重要な使命を持つ、やりがいのある仕事ということを改めて感じた人も多いのではないでしょうか。
だからこそ、保育士には上手にストレスを解消して、仕事に臨んでほしいのです。
今回は、保育士が抱えやすいストレスや、その効果的な解消方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

保育士が抱えるストレス

「働く」ということは、自分の好きなことだけをしていればいいわけではありません。どんな仕事でも、少なからずストレスが溜まるものです。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、行動が制限されたことから、さらにストレスを大きく感じている方も多いのではないでしょうか。

特に、保育士に至っては仕事の責任が大きく、コロナ禍以前から大きなストレスを抱えている方が多いとされてきました。仕事の重圧に対して、報酬面や待遇面があまり恵まれない傾向にあり、離職率も高いというデータがあります。

ちなみに、厚生労働省保育士等確保対策検討会の「保育士等における現状」のデータを見ると、2013年の常勤保育士の離職率は10.3%。内訳を見てみると、公立の保育園は7.1%、私立の保育園は12.0%となっており、公立の保育園よりも私立の保育園のほうが高い離職率となっています。このデータは2013年のものですから、コロナの影響が出る前のものです。

コロナ禍で保育士には、従来以上にストレスがかかっているのは明らかでしょう。それでもなお、保育の現場では保育士たちが子どもたちの安心・安全を守るために奔走しています。

責任感はもちろんですが、子どもが好きだからこそ、なおさら「子どもたちをコロナから守りたい」という思いが強く、それが保育士にとって大きなストレスとなっているのは事実です。

この新たなるストレスの影響で、保育士の離職が増加しているのはひとつの事実となっています。

保育士が抱えやすいストレスとは?

それでは、保育士は実際にどのようなストレスを感じながら業務をこなしているのでしょうか。ここでは、コロナ禍以前から保育士が抱えやすいとされるストレスを、いくつかピックアップしてご紹介します。


■業務量の多さ

保育士の仕事は、業務量が多いことでも知られています。

子どもたちのお世話はもちろん、保護者対応や行事の準備、日案・週案・月案といった文書作成など、さまざまな業務があります。

園によっては、事務員を設置せずに保育士の先輩が職員のシフト管理を行うケースもあり、保育園にいる時間だけでは業務をこなしきれないケースも多くあるようです。

このような事情もあり、保育士はワークライフバランスをとるのがなかなか難しい職業といえるでしょう。

これが、保育士が抱えやすいストレスのひとつです。


■職場の人間関係

保育士の離職理由で多く挙げられるものに「人間関係」があります。

保育士の世界は、男性保育士も増えてはいるものの、まだまだ女性が多い傾向であり、女性特有の人間関係の難しさが生じやすいのも事実です。

また、男性がいないためすべての役割を自分たち女性だけでこなさなくてはいけないというプレッシャーも生じやすい傾向にあるといえるでしょう。

連携プレーが大切な保育の現場は、どうしても人間関係が濃厚になりやすく、上手くいっている時は日々の達成感ややりがいを感じることができる職場となっています。

ただ、トラブルが発生した場合、その悩みはとても大きなものとなってしまう傾向が強いのも、保育の現場の特徴です。


■保護者とのトラブル

保育士の大切な仕事のひとつとして、保護者との信頼関係構築が挙げられます。

保護者としても、信頼できる保育士に自分の子どもを預けたいと考えるのは当然ですし、保育士も子どもたちに安心・安全な生活の場を提供することを使命として感じています。

ですが、どんなに保育士が一生懸命保育をしても、すべての保護者に満足してもらえる保育を提供できるとは限りません。

そのような場合、些細なきっかけで保護者からクレームが来るなど、トラブルに発展する可能性があります。

保護者とのトラブルは、保育士にとって気力を消耗する大きなストレスといえるでしょう。


■給料の低さ

保育士は、その膨大な業務内容に対して給与が低いというニュースを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

保育士の仕事というのは激務で、休憩時間が少ないケースも発生します。自分の働きが給料に見合っていないと感じる保育士も多く、それをストレスに感じる保育士も多いのが実情です。


■子どもとの向き合い方

「子どもの健やかな成長を助けたい」そのような思いを胸に、保育士を目指す人も多いでしょう。ですが、保育の現場に出た途端、「どのように子どもと向き合うべきか」という壁にぶつかるケースも多いようです。

子どもは、一人ひとり違います。ということは、子どもに対して同じ対応をしていては、子どもの持つ良さや成長を引き出すことができないということです。

当たり前のことですが、保育の現場に出ると、この事実を目の当たりにしてくじけてしまう保育士も多くいます。

「子どもに対する対応は、これで良かったのか」と、真摯に向き合い続けるからこそ、悩みとなってしまいます。

それが大きなストレスとなり、そこで立ち止まってしまうケースもあるのです。

保育士として長く仕事をしていると、「このタイプの子どもには、このような接し方がいい」というように、マニュアルのようなものが自ずと出来上がってきます。若手の保育士はその経験の浅さゆえ、納得のいく対応ができないと悩んでしまうことがあるのです。

そのような場合は、ぜひキャリアの長い保育士の先輩に助言を求めることで、打開するきっかけを見つけることができるかもしれません。


■キャリアへの不安

企業に就職すると、研修などを受けながらキャリアアップし、昇給を重ねていくのが一般的ですが、保育士の場合は必ずしもその通りとはいかないのが実情です。

キャリアアップ制度を導入していない施設も多く、また、キャリアアップして役職に就いたとしても、手当の額に対して増加した業務量が見合わないと保育士が感じるケースも多い状況にあります。

このように、「保育士」という仕事に、将来性を見出すことができない環境下にいると、結婚や妊娠、出産を機に「保育士の仕事から離れよう」と考える方が多いのです。

このような背景を受け、近年では保育士待遇改善などが積極的に取り組まれるようになっています。


■コロナ禍ならではの不安

最後に、コロナ禍特有の保育士の悩みについてです。

感染症の流行というのは、保育園にとっては常に脅威となってきました。ですが、新型コロナウイルス感染症流行は保育士にとってこれまで以上のプレッシャーとなっています。

保育園では、保育士がどんなに注意深く慎重に行動していても、子どもの活動を制御しきれない面もあります。

どうしても密になりがちであり、それだけでも精神的な負担となるうえ、実務としてもこれまでにはなかった検温や消毒などの作業が増加し、保育士の業務負担は増加傾向にあるのが実情です。

さらには「自分の園で集団感染が発生したらどうしよう」という不安もつきまといます。

こうしたコロナ禍ならではの不安も、保育士にとって大きなストレスとなっているのです。

保育士のストレス解消方法は?

保育士の仕事は、子どもたちの安全・安心な環境を守りながら、その成長をサポートするというやりがいや喜びが大きな仕事です。

とはいえ、これまで見てきたように、やりがいが大きい分、プレッシャーやストレスもどうしても大きなものとなりがちな仕事といえます。

だからこそ、上手なストレス解消を心掛け、健やかな心と体を保つことが大切と考えましょう。

ここからは、具体的な保育士のストレス解消法について、ご紹介します。


■一人で抱えない

仕事が辛い、大変だと悩むことがあったら、家族や友だちに相談してみましょう。

誰かに話をすることで、心が軽くなることもあります。そして、「人に自分の悩みを伝える」ということは、考えを整理して問題点を洗い出す効果も期待できます。


ただ、本当に辛くなりすぎると、人と話をする気持ちになれない状況に陥ることも考えられます。

そこまで状態が悪化してしまうと、立ち直るための動くパワーもないという事態になりかねません。

そうならないためにも、ちょっとでも不安や悩みが出てきたら「こんな小さなことで、くよくよしているなんて」と考えずに、家族や友だちに話をしてみましょう。


■睡眠の質を上げる

睡眠は、健やかな心と体のために大変重要なものです。

持ち帰りの仕事が多くなってしまうと、オン・オフがつけにくくなり、いつまでもエンドレスに仕事を続けてしまうリスクが生じやすくなります。

「あとちょっとだけ」と作業をしていると、気づくと夜中になっていた、という保育士も多いようです。

そうなると、日々の睡眠時間がどうしても短くなり、精神的にも、肉体的にも疲れが溜まってしまいます。

もし、どうしても睡眠時間を確保できないという場合は、短い時間でも良質な睡眠をとるように工夫をしてみましょう。睡眠の質を上げることで、短い睡眠時間でもしっかりと休息をとることが可能となります。

睡眠の質を上げるためには、リラックスできる音楽を聴いたり、朝食をしっかりと食べ、夕食は就寝3時間前までに済ませたりするなど、自分がリラックスできる環境と生活のリズムを整える方法などが考えられます。

自分が好きな香りのアロマを焚いたり、時間がとれる範囲でぬるめのお湯での半身浴をゆっくりと楽しんだりするのもよいでしょう。


リラックス方法は、人によってさまざまです。

自分に合ったリラックス方法を見つけて、良質な睡眠を手にいれ、疲労を残さず次の日の朝を迎えられるように工夫してみてくださいね。


■園から離れた場所に住む

「通勤時間がもったいないから、職場と自宅は近いほうがいい」と考える人もいるかもしれません。しかし、保育士の場合は必ずしもそれが当てはまるとは限りません。

保育園の近所には、自分が担当しているクラスの子どもたちが住んでいます。

また、毎年卒園生を送り出していきますから、たくさんの教え子がその町には住んでいるということです。


となると、スーパーに行っても、バスを待っていても、あらゆるところで自分が携わった子どもやその保護者と遭遇する可能性があるということになります。

周囲の目を気にしないタイプの方もいるかもしれませんが、やはりどうしても人の目が気になり、リラックスしきれないことになるでしょう。

そのような事態を避けるためにも、自宅は職場から少し離れた場所を選び、教え子と生活圏を分けるのもひとつの方法です。

どこで誰に見られているかわからないからと、休みの日にも、きちんとした服装で出かけないといけないというのでは、リラックスしきれませんよね。人の目を気にせず、プライベートタイムをリラックスして過ごすためにも、自宅と職場は少し離れている場所を選ぶことがおすすめです。


■自分の苦手を知る

「この業務が、どうも苦手で……」という仕事があると、どうしてもそれがストレスになります。

苦手な業務を避けるように過ごしたり、後回しにしたりすると、それが余計にプレッシャーとなりますから、苦手なものにはあえて自分から取り組むように行動を変えてみましょう。苦手なことを自覚し、それに対して努力していると、まずはその姿勢を自分で評価できるようになります。

「前向きに取り組んでいるから、結果はさておき、まずはヨシとしよう」と考えられるようになると、ラクになるはずです。

そして、努力を続けることで、苦手だった業務に対する苦手意識が軽減し、最終的には得意になることもあります。

「苦手だから」と逃げ続けることは、決して得策ではありません。自分なりにスモールステップを設定し、少しずつでも自分の成長を実感しながら業務に取り組むようにしていきましょう。


■作業の効率化について考えてみる

ストレス軽減策のひとつとして、業務を効率化して仕事時間を減らすということもよいかもしれません。

就職して仕事をスタートさせたばかりの頃は、まずは先輩に教えられた通りに作業を進めるでしょう。ただ、少し経験を重ねて、仕事に慣れてきたら自分なりに工夫をして仕事を進めてみてください。

たとえば、アプリなどを活用して業務効率化を図るということは、デジタルネイティブ世代だからこその強みを活かした手法です。


ただ、実際にアプリなどを活用する場合は、無断でやり方を変更しても問題がないかを考え、確認の必要がある場合は先輩に相談することを忘れないようにしましょう。

パソコンスキルについては「【保育士にもパソコンスキルが必要?】保育現場で役立つスキルや習得方法を解説!」の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてくださいね。

ストレスを上手に解消しながら保育士として輝くために

保育士の仕事は、責任も、やりがいも大きな仕事です。
ただ、どのような仕事にもストレスは存在します。
そのストレスに負けることなく、上手に解消しながら仕事と向き合うための工夫を、ぜひしてみてくださいね。

この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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