【保育士試験】作文・小論文の書き方と練習のポイント

2023.05.25 | 資格・試験
保育士の採用試験では、適性検査のひとつとして作文や小論文が実施されることがあります。「文章を書くのが苦手」という人もいるかもしれませんが、作文や小論文はある程度事前に対策を取ることが可能です。
基本的な文章の書き方や、それぞれの構成、頻出のテーマなどについて、この記事で押さえておきましょう!

保育士の試験に多い作文や小論文とは?園側の狙いとは

保育士の採用試験で実施される作文や小論文では、園側はどのようなことを知りたいと思って課題としているのでしょうか。

そもそも保育園としては、自分たちの教育理念や保育方針に合った保育士と仕事をしたいと思っています。しかし、短時間で行う面接だけでは、なかなかその人となりまでは見極めることはできません。

そこで、作文や小論文を出題し、その人の人間性や表現力などを見極める材料の一つとしているのです。

作文や小論文のテーマはさまざまなものが想定できますが、基本的には園が聞きたいことはその人柄や考え方、保育士への思い、なぜこの園を志望しているかといった内容です。そのことを念頭に置いておきましょう。


■作文と小論文の違い

保育士試験では「作文」や「小論文」が出題されることがありますが、この違いも知っておく必要があります。


・作文

作文は与えられたテーマに対して、自分の体験や、それに基づいた感想や自分の思いを書くものです。

基本的には自由に表現するものと考えて問題ありません。主観的な表現ができるのが、作文の大きな特徴です。

書く際には、具体的にエピソードを交えながら、自分の考えや人柄が伝わる文章を心がけてください。


・小論文

提示されたテーマについて、自分なりの意見や考えを述べるのが、小論文です。

小論文は読み手を納得させることを目的としていますから、自分の意見についてその理由や根拠を、道筋を立てて述べる必要があるものと考えておきましょう。

客観的な視点を持って、文章を書くことが求められます。


■おもな試験形態

保育士の採用試験で実施される作文や小論文の形式は、どのようなものとなっているのでしょうか。

一般的には、以下3つの方法で実施されるケースが多いようです。


・採用試験のおける面接や実技試験と同様に、一定の時間内に採用試験の場で書き上げる

・事前課題としてテーマが与えられ、面接当日までに用意しておく

・エントリーする際に、履歴書などと一緒に提出する


採用試験時に実施するパターンの場合、試験会場で即興で書く必要がありますから、日ごろから保育関連の話題にアンテナを張っておくといいでしょう。


■作文や小論文の出題形式

作文や小論文を書く際には、基本的に以下の条件が課されます。


・テーマ

テーマは主に保育関連のものが出題されます。想定されるテーマとしては、以下のようなものが挙げられます。


・保育士に大切なこと

・幼児教育の大切さについて

・保育士の役割

・今、保育現場に求められていること

・地域の子育て支援貢献のためにできること

・児童虐待問題について


想定できる問題については、自分なりにどのような文章を書くか考えておくようにしましょう。


・文字数

文字数に関しては、園に指定されます。

一般的には原稿用紙2枚分である800文字という指定が多いので、一度自分で原稿用紙2枚分の文章はどの程度の長さになるのかを確認しておきましょう。

そして、時間内に最低でも指定された文字数の80パーセントは埋めるようにしてください。

800文字の場合は、最低でも640文字ということです。


そして、文字数のオーバーはNGと考えてください。

文字数以内で述べなさい、という指定に対して1文字でもオーバーすると、最悪の場合は読んでもらえないこともあります。

厳しいと感じられるかもしれませんが、志望者が多い場合は「決まりごと・ルールを守れない」という時点で採点すらしてもらえないケースもあるのです。


小論文や作文は、課されるルールがほとんどありません。

だからこそ、わかりやすく判断できる「文字数を守れているか」という点は、しっかりとチェックされると考えましょう。

どのようなポイントが見られる?

保育士の採用試験で実施される作文や小論文では、どのようなポイントがチェックされているのでしょうか。

先ほども軽く触れましたが、短い時間の面接ではわからない部分を、面接官としては小論文や作文から確認したいと考えています。


■性格や人格

文章を読むと、その人の人柄が見えてきます。

保育士の仕事は子どもたちや保育士、保護者と、たくさんの人と関わる仕事です。園としても、人柄の良い人を採用したいというのが、正直なところだと思います。

そうした判断のひとつに、小論文や作文を用いるケースが多いようです。


■表現力があるか

自分の考えていることや、思いを的確に相手に伝えることができるかという点も、社会人としては必要なスキルです。表現力があるかどうかも、小論文や作文を読めばわかります。

相手に伝わりやすいように、自分の思いや考えを伝えることを日ごろから心がけましょう。


■一般的な常識を身に付けているか

社会人として仕事をするうえで、一般常識を身に付けているかどうかも、採用する側としては大変重要なポイントです。

採用試験を受ける段階では学生ですが、保育士に限らず、就職に際して学生は一般常識を勉強します。保育士という専門職であっても、それは同じです。


■保育士としての資質

保育士としての資質の有無も、小論文や作文から読み取られます。

保育士として仕事をしていくうえで、一番の資質は「子どもが好きであること」です。

そのうえで問題なく人とコミュニケーションを図れる協調性や社交性、責任感、そして包容力や忍耐力も必要となります。

小論文や作文は、自分の保育士としての資質をアピールできる場であると考えておきましょう。


■意気込み

自分がどのような保育士になりたいか、自分ならどんな保育ができるか、といった意気込みも、文章からわかります。

テーマによっては意気込みを直接的に書けないかもしれませんが「こうした思いや姿勢がある」ということを織り交ぜられないか、考えながら文章を組み立てていきましょう。


■教育理念や保育方針に共感しているか

こちらも、直接的には触れていなくても、文章から園の教育理念や保育方針に合っているかも見極められていると考えてください。

そのためにも、事前に園の教育理念や保育方針などは、しっかりとチェックしておくことが大切です。

小論文・作文で重要な全体の流れ

小論文・作文は、構成が異なります。

まずは構成を理解し、それぞれの箇所に該当する内容を当てはめていくことを、最初の1歩として考えてください。


■作文は「起」「承」「転」「結」に沿ってまとめる

作文は「起」「承」「転」「結」という流れを意識して文章を書きます。

書き方のコツとしては、まず書き始める前に「結」の部分に該当する結論を決めて、そこから結論を裏付ける自分のエピソードなどを選ぶようにしてください。

書き始め部分である「起」「承」「転」に自分のエピソードを入れ、そのテーマに対する自分なりの意見や考え、感想を「結」に書きます。


■小論文は「序論・本論・結論」

小論文は、「序論」「本論」「結論」という構成で書きます。

序論ではテーマや、自分が述びたいと思っていることについて紹介し、本論では序論に関する根拠や、その考え方へ至った経緯・過程について述べます。

最後に、結論ではテーマや自分が述べたいことを「だから~なのです」という形で再度主張しましょう。

書き方のポイント

小論文や作文は、構成は異なりますが、書き方のポイントは共通する部分があります。採用試験前に、ぜひ押さえておきましょう。


■主張に一貫性を持たせる

テーマに対して結論を決めたら、主張に一貫性を持たせることが非常に重要です。話を広げすぎず、内容に一貫性を持たせることは必須と考えてください。


■結論に向かってシンプルにまとめる

書いているうちに、想定している結論から遠ざかってしまうことがよくあります。

エピソードや根拠を詰め込みすぎると、結論にたどり着けなかったり、話がそれてしまいがちですので「本当に必要なエピソードか」を見極め、厳選したもののみ書くように心がけましょう。

内容をより深いものにしようという姿勢はわかるのですが、話がまとまらないと減点の対象となってしまいます。書き始める前に、指定文字数に収められるかを熟考するようにしてください。


■誤字脱字・句読点・文字のきれいさにも注意

小論文や作文を書く際には、誤字脱字や句読点といった文章の書き方のルールを守るのは、大前提です。

話し言葉である「口語体」と、文章として書く「文語体」には違いがあることも理解し、口語体で文章を書かないようにしましょう。

例えば「どっち」ではなく「どちら」、「やっぱり」ではなく「やはり」というように、フォーマルな表現が求められます。

また、よく言われることですが「ら抜き」言葉や「い抜き」言葉にも注意が必要です。

「見れる」ではなく「見“ら“れる」、「通してる」ではなく「通して“い”る」というように、正しい日本語を使いましょう。

「です・ます」調と「で・ある」調が混在していないかも、基本的なことですが外せないポイントです。書き始める前に、どちらで揃えておくかを決めておきましょう。


また、文字のきれいさも重要です。

保育園では手書きによる掲示物やお便りなどを出す機会があります。その際やはり、字が汚くて読みづらいよりも、きれいなほうがいいですよね。

上手な字を書く必要はありませんが、丁寧に、きれいに書こうとする姿勢は重要です。

「読みやすい文字を書く」ということは、相手を思いやる気持ちの表れともなりますから、字を書くのが苦手でも読みやすい字を書くように心がけましょう。


■「自分らしさ」溢れる文章で保育への思いを伝えよう

採用試験に小論文や作文を取り入れている理由として、人柄を知りたいという園側の思いがあるというのは先ほども述べたとおりです。

つまり園としては、よくあるエピソードが聞きたいわけではなく、あなたならではの話が聞きたいと思っています。

その意図を汲み、自分の経験から得た学びや、自分なりに感じた成長などを具体的に盛り込みましょう。

定型文のような作文や小論文ではなく、オリジナリティ溢れる、人柄が感じられる文章こそが、園側が望んでいるものなのです。

保育士採用でよくある作文のテーマ

保育士採用試験では、次のようなテーマで作文・小論文が出題されることが多くあります。


・保育士になろうと思ったきっかけ

・保育士として仕事を始めることになったら、どのような保育を実現したいか

・目指す保育士の姿

・理想とする保育について

・保育業界の時事問題について


また、この提出した作文・小論文をベースに、面接が行われることも想定しておきましょう。

作文を練習する方法

作文・小論文は、実際に書くことが上達への近道です。


■頻出テーマの作文を書いてみる

先ほどの頻出のテーマなどを参考に、一度実際に作文・小論文を書いてみましょう。

まず、テーマに対する結論を決め、その結論につながるエピソードや根拠を書き出します。

そこから文章に組み立てるという作業を重ねることで、一貫性のある文章が書けるようになります。


■添削してもらう

自分の書いた文章を、一度学校の先生や先輩、同級生、家族などの第三者に添削してもらいましょう。

自分ひとりでは気づくことができない改善すべきポイントを、指摘してもらうことができます。


■保育関連の最新情報を常にチェックする

保育関連に関する情報は常にチェックし、自分なりの考えや意見を述べる練習をしておきましょう。

採用試験に限らず、実際に仕事を始めてからも保育関連の時事問題を知っておくことは大変重要です。

作文・小論文は事前の対策を徹底しよう

作文や小論文は、書き方のルールを学び、情報収集するなどのしっかりとした事前準備で十分対策が可能なものとなります。時間に余裕があるうちに、ぜひ練習しておきましょう。

また、何回か練習を重ねるうちに、自分なりの保育に対する軸のようなものも見えてきますし、自分の思いを伝える有効な練習にもなります。

保育に関する話題について情報収集したり、学んだりすることは、面接の対策にもつながりますから、積極的に取り組むようにしてくださいね。
この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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