【保育士の採用試験】作文・小論文の書き方と練習のポイント
基本的な文章の書き方や、それぞれの構成、頻出のテーマなどについて、この記事で押さえておきましょう!
保育士の採用試験で作文・小論文が出される理由
保育士の採用試験で実施される作文や小論文では、園側はどのようなことを知りたいと思って課題としているのでしょうか。
そもそも保育園としては、自分たちの教育理念や保育方針に合った保育士と仕事をしたいと思っています。しかし、短時間で行う面接だけでは、なかなかその人となりまでは見極めることはできません。
そこで、作文や小論文を出題し、その人の人間性や表現力などを見極める材料の一つとしているのです。
作文や小論文のテーマはさまざまなものが想定できますが、基本的には園が聞きたいことはその人柄や考え方、保育士への思い、なぜこの園を志望しているかといった内容です。そのことを念頭に置いておきましょう。
■作文と小論文の違い
保育士の採用試験では、園や自治体によって「作文」または「小論文」が課されることがあります。どちらも文章を書く試験ですが、求められる内容には違いがあります。
・作文
作文は与えられたテーマに対して、自分の体験や、それに基づいた感想や自分の思いを書くものです。
基本的には自由に表現するものと考えて問題ありません。主観的な表現ができるのが、作文の大きな特徴です。書く際には、具体的にエピソードを交えながら、自分の考えや人柄が伝わる文章を心がけてください。
・小論文
提示されたテーマについて、自分なりの意見や考えを述べるのが、小論文です。
小論文は読み手を納得させることを目的としていますから、自分の意見についてその理由や根拠を、道筋を立てて述べる必要があるものと考えておきましょう。客観的な視点を持って、文章を書くことが求められます。
■おもな試験形態
保育士の採用試験で実施される作文や小論文の形式は、どのようなものとなっているのでしょうか。
一般的には、以下3つの方法で実施されるケースが多いようです。
・採用試験における面接や実技試験と同様に、一定の時間内に採用試験の場で書き上げる
・事前課題としてテーマが与えられ、面接当日までに用意しておく
・エントリーする際に、履歴書などと一緒に提出する
採用試験時に実施するパターンの場合、試験会場で即興で書く必要がありますから、日ごろから保育関連の話題にアンテナを張っておくといいでしょう。
■作文や小論文の出題形式
作文や小論文を書く際には、基本的に以下の条件が課されます。
・テーマ
テーマは主に保育関連のものが出題されます。想定されるテーマとしては、以下のようなものが挙げられます。
・保育士に大切なこと
・幼児教育の大切さについて
・保育士の役割
・今、保育現場に求められていること
・地域の子育て支援貢献のためにできること
・児童虐待問題について
想定できる問題については、自分なりにどのような文章を書くか考えておくようにしましょう。
・文字数
文字数に関しては、園に指定されます。
一般的には原稿用紙2枚分である800文字という指定が多いので、一度自分で原稿用紙2枚分の文章はどの程度の長さになるのかを確認しておきましょう。
そして、時間内に最低でも指定された文字数の80パーセントは埋めるようにしてください。800文字の場合は、最低でも640文字ということです。そして、文字数のオーバーはNGと考えてください。
文字数以内で述べなさい、という指定に対して1文字でもオーバーすると、最悪の場合は読んでもらえないこともあります。
厳しいと感じられるかもしれませんが、志望者が多い場合は「決まりごと・ルールを守れない」という時点で採点すらしてもらえないケースもあるのです。小論文や作文は、課されるルールがほとんどありません。
だからこそ、わかりやすく判断できる「文字数を守れているか」という点は、しっかりとチェックされると考えましょう。
どのようなポイントが見られる?
保育士の採用試験で実施される作文や小論文では、どのようなポイントがチェックされているのでしょうか。
先ほども軽く触れましたが、短い時間の面接ではわからない部分を、面接官としては小論文や作文から確認したいと考えています。
■性格や人格
文章を読むと、その人の人柄が見えてきます。
保育士の仕事は子どもたちや保育士、保護者と、たくさんの人と関わる仕事です。園としても、人柄の良い人を採用したいというのが、正直なところだと思います。
そうした判断のひとつに、小論文や作文を用いるケースが多いようです。
■表現力があるか
自分の考えていることや、思いを的確に相手に伝えることができるかという点も、社会人としては必要なスキルです。表現力があるかどうかも、小論文や作文を読めばわかります。
相手に伝わりやすいように、自分の思いや考えを伝えることを日ごろから心がけましょう。
■一般的な常識を身に付けているか
社会人として仕事をするうえで、一般常識を身に付けているかどうかも、採用する側としては大変重要なポイントです。
採用試験を受ける段階では学生ですが、保育士に限らず、就職に際して学生は一般常識を勉強します。保育士という専門職であっても、それは同じです。
■保育士としての資質
保育士としての資質の有無も、小論文や作文から読み取られます。
保育士として仕事をしていくうえで、一番の資質は「子どもが好きであること」です。
そのうえで問題なく人とコミュニケーションを図れる協調性や社交性、責任感、そして包容力や忍耐力も必要となります。
小論文や作文は、自分の保育士としての資質をアピールできる場であると考えておきましょう。
■意気込み
自分がどのような保育士になりたいか、自分ならどんな保育ができるか、といった意気込みも、文章からわかります。
テーマによっては意気込みを直接的に書けないかもしれませんが「こうした思いや姿勢がある」ということを織り交ぜられないか、考えながら文章を組み立てていきましょう。
■教育理念や保育方針に共感しているか
こちらも、直接的には触れていなくても、文章から園の教育理念や保育方針に合っているかも見極められていると考えてください。
そのためにも、事前に園の教育理念や保育方針などは、しっかりとチェックしておくことが大切です。小論文・作文で重要な全体の流れ
小論文・作文は、構成が異なります。
まずは構成を理解し、それぞれの箇所に該当する内容を当てはめていくことを、最初の1歩として考えてください。
■作文は「起」「承」「転」「結」に沿ってまとめる
まず最初に『結』で伝えたいことを決め、『起・承・転』のエピソードを選ぶと書きやすくなります。
| 段階 | 役割・意味 | 具体的に書く内容 | 例 |
| 起 | 話の始まり・きっかけ | 何について書くのか、どんな出来事から始まるのかを示す | 「保育実習で3歳児クラスを担当したとき、大きな気づきがありました。」 |
| 承 | 状況の説明 | いつ・どこで・誰と・どんな様子だったか、自分がどのように動いたか | 「Aくんが輪に入れず、毎日好きなおもちゃの話題で少しずつ関わるようにしました。」 |
| 転 | 変化・気づきの場面 | 子どもや自分の変化、そこから得た気づき | 「ある日Aくんから『いっしょにあそぼう』と言われ、小さな積み重ねの大切さに気づきました。」 |
| 結 | 学びと今後 | その経験から学んだこと、今後どう生かしたいか | 「この経験から、子ども一人ひとりに寄り添うことの大切さを学び、今後も信頼関係を大事にする保育士でいたいと思います。」 |
■小論文は「序論・本論・結論」
小論文は、「序論 → 本論 → 結論」という流れを意識して構成すると、読み手にとって分かりやすく、説得力のある文章になります。
| 部分 | 役割・意味 | 具体的に書く内容 | 例 |
| 序論 | テーマと自分の考えを示す | 何について、どんな立場で書くのかを最初に一文で示す | 「保育士には子どもの安全だけでなく、保護者との信頼関係づくりも重要だと考えます。」 |
| 本論 | 理由・根拠を説明する | 序論で述べた考えを、具体的な経験や事例を交えて説明する | 「実習で連絡帳や会話を通して保護者の不安が和らいだ経験から、保育士の声かけが家庭の安心につながると感じました。」 |
| 結論 | まとめと今後の姿勢を述べる | 「だから〜と考える」「今後〜したい」で締めくくる | 「このように保護者との信頼関係は子どもの安心の土台になります。だからこそ私は、丁寧なコミュニケーションを大切にする保育士を目指したいです。」 |
各項目の文字数の目安
保育士採用試験の作文・小論文は、600~800字程度が一般的です。全体を読みやすく整えるために、次のような配分を目安にするとバランスが取りやすくなります。
■小論文(800字程度)
序論:全体の約2割(150~200字)
テーマと自分の主張を簡潔に示す。
本論:全体の約6割(450~500字)
理由・根拠や具体例を詳しく説明する。
結論:全体の約2割(150~200字)
「だから〜と考える」「今後〜したい」でまとめる。
■作文(600字程度)
起:1~2割(60~100字)…きっかけ・導入
承:3割(180~200字)…状況やエピソード
転:3割(180~200字)…変化や気づき
結:2割(120~150字)…学びと今後
ゴールとなる「結」を決めてから、この配分を目安に組み立てると自然に読みやすい分量にまとめやすくなります。
書き方のポイント
小論文や作文は、構成は異なりますが、書き方のポイントは共通する部分があります。採用試験前に、ぜひ押さえておきましょう。
■主張に一貫性を持たせる
テーマに対して結論を決めたら、主張に一貫性を持たせることが非常に重要です。話を広げすぎず、内容に一貫性を持たせることは必須と考えてください。
■結論に向かってシンプルにまとめる
書いているうちに、想定している結論から遠ざかってしまうことがよくあります。
エピソードや根拠を詰め込みすぎると、結論にたどり着けなかったり、話がそれてしまいがちですので「本当に必要なエピソードか」を見極め、厳選したもののみ書くように心がけましょう。
内容をより深いものにしようという姿勢はわかるのですが、話がまとまらないと減点の対象となってしまいます。書き始める前に、指定文字数に収められるかを熟考するようにしてください。
■誤字脱字・句読点・文字のきれいさにも注意
小論文や作文を書く際には、誤字脱字や句読点といった文章の書き方のルールを守るのは、大前提です。
話し言葉である「口語体」と、文章として書く「文語体」には違いがあることも理解し、口語体で文章を書かないようにしましょう。
例えば「どっち」ではなく「どちら」、「やっぱり」ではなく「やはり」というように、フォーマルな表現が求められます。
また、よく言われることですが「ら抜き」言葉や「い抜き」言葉にも注意が必要です。
「見れる」ではなく「見“ら“れる」、「通してる」ではなく「通して“い”る」というように、正しい日本語を使いましょう。
「です・ます」調と「で・ある」調が混在していないかも、基本的なことですが外せないポイントです。書き始める前に、どちらで揃えておくかを決めておきましょう。
また、文字のきれいさも重要です。
保育園では手書きによる掲示物やお便りなどを出す機会があります。その際やはり、字が汚くて読みづらいよりも、きれいなほうがいいですよね。
上手な字を書く必要はありませんが、丁寧に、きれいに書こうとする姿勢は重要です。
「読みやすい文字を書く」ということは、相手を思いやる気持ちの表れともなりますから、字を書くのが苦手でも読みやすい字を書くように心がけましょう。
■「自分らしさ」溢れる文章で保育への思いを伝えよう
採用試験に小論文や作文を取り入れている理由として、人柄を知りたいという園側の思いがあるというのは先ほども述べたとおりです。
つまり園としては、よくあるエピソードが聞きたいわけではなく、あなたならではの話が聞きたいと思っています。
その意図を汲み、自分の経験から得た学びや、自分なりに感じた成長などを具体的に盛り込みましょう。
定型文のような作文や小論文ではなく、オリジナリティ溢れる、人柄が感じられる文章こそが、園側が望んでいるものなのです。
保育士採用でよくある作文のテーマ
保育士採用試験では、次のようなテーマで作文・小論文が出題されることが多くあります。
・保育士になろうと思ったきっかけ
・保育士として仕事を始めることになったら、どのような保育を実現したいか
・目指す保育士の姿
・理想とする保育について
・保育業界の時事問題について
最近では、社会の変化を反映したテーマも増えています。時事性のあるテーマの例として以下を挙げます。
ICT活用と保育
例:連絡アプリや写真共有の便利さと、「画面だけに頼らず、直接の対話も大切にしたい」という自分の考えを書く。
多様性への対応(インクルーシブ保育など)
例:文化や発達の違いを「特別扱い」ではなく「一人ひとりの個性」として受け止める姿勢と、言葉や環境面での具体的な配慮を書く。
保育士の働き方改革・チーム保育
例:一人で抱え込まず、職員同士で情報共有や役割分担をしていきたい、という自分の働き方のイメージを書く。
また、この提出した作文・小論文をベースに、面接が行われることも想定しておきましょう。
作文を練習する方法
作文・小論文は、実際に書くことが上達への近道です。
■頻出テーマの作文を書いてみる
先ほどの頻出のテーマなどを参考に、一度実際に作文・小論文を書いてみましょう。
まず、テーマに対する結論を決め、その結論につながるエピソードや根拠を書き出します。
そこから文章に組み立てるという作業を重ねることで、一貫性のある文章が書けるようになります。
■添削してもらう
自分の書いた文章を、一度学校の先生や先輩、同級生、家族などの第三者に添削してもらいましょう。
自分ひとりでは気づくことができない改善すべきポイントを、指摘してもらうことができます。
■保育関連の最新情報を常にチェックする
保育関連に関する情報は常にチェックし、自分なりの考えや意見を述べる練習をしておきましょう。
近年の採用試験では、「ICT活用と保育」「多様性への対応」「保育士の働き方改革」など、時事性のあるテーマが取り上げられることも増えています。ニュースや行政の発表、業界の動きをこまめにチェックし、「この出来事について、自分ならどう考えるか」「現場でどう生かしたいか」を言葉にする練習をしておくことも大切です。
採用試験に限らず、実際に仕事を始めてからも保育関連の時事問題を知っておくことは大変重要です。
作文・小論文は事前の対策を徹底しよう
作文や小論文は、書き方のルールを学び、情報収集するなどのしっかりとした事前準備で十分対策が可能なものとなります。時間に余裕があるうちに、ぜひ練習しておきましょう。
また、何回か練習を重ねるうちに、自分なりの保育に対する軸のようなものも見えてきますし、自分の思いを伝える有効な練習にもなります。
保育に関する話題について情報収集したり、学んだりすることは、面接の対策にもつながりますから、積極的に取り組むようにしてくださいね。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。
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