保育士の配置基準とは?計算方法や基準の緩和について解説

2021.01.05 | 給料・環境
保育園に配置する保育士の人数は、子どもの人数に応じた配置基準をもとに計算します。
しかし、現在の保育士不足は深刻な状況にあり、国の基準を満たすことができない保育園も少なくありません。待機児童問題も解消しないことから、配置基準が見直されました。
この記事では、配置基準の基礎知識、規制緩和された内容、具体的な計算方法についてご紹介します。

保育士の配置基準とは?

保育士1人に対し、何歳の子どもを何人まで保育できるかという基準です。保育園を運営するにあたり、保育士を常時2名以上配置すること、国が定める以下の基準を下回らないことが原則となっています。

0歳…保育士1人に対し子ども3人

1~2歳…保育士1人に対し子ども6人

3歳…保育士1人に対し子ども20人

4歳以上…保育士1人に対し子ども30人

手がかかる低年齢ほど保育士の配置を増やし、子どもが成長するに従って配置を減らすという仕組みです。ただし、国の配置基準は、子どもの安全を確保するために必要な保育士の最低人数となっています。

また、配置基準は国のほかに、各自治体で独自の内容の基準を設定しています。国の基準と同等、もしくは子どもの人数を減らしてゆとりのある内容にするなど、自治体によって内容はさまざまです。

国や自治体のほかに、認可・認可外といった施設の種類によって配置基準が異なります。2015年より認可された小規模認可保育園では国の基準+1名、保健師・看護師を職員として認める特例など、基準が緩和されているのが特徴です。

認可外保育園(無認可保育園)とは、国の基準を満たさず、国や自治体からの補助金の支給がない保育園のことです。認可外保育園の子どもに対する保育士の人数は、国の基準と変わりありません。ただし、「1/3以上が保育士、または看護師資格の有資格者」という点が、全員が保育士である認可保育園と異なります。

保育士の配置基準はどのように緩和された?

保育士不足が深刻な現代では、70年以上も昔に制定された配置基準を守ることすら難しいのが実情です。待機児童問題の解消を目指すべく、国は次のように基準を緩和しました。

■子どもが少ない朝夕の配置基準の緩和

利用者が少ない朝と夕方の延長保育において、常時2名以上の配置という基準は、保育士不足の園では人員確保できない、保育士の残業が増えるなど、園に大きな負担がかかります。そのため、1人は「子育て支援員」を配置し、保育士としてカウントする内容に緩和されました。子育て支援員は、保育や子育ての知識が最低限ある人が対象で、自治体の研修を修了することで資格を取得できます。

■8時間以上開所する際の配置基準の緩和

朝夕の延長保育を実施すると、開所時間が8時間を超えてしまいます。延長保育の認可を受ける際は、日中に必要な人員のほかに、朝夕の時間帯に保育士を2人以上追加で配置しなければなりません。その追加の保育士の代替として、子育て支援員をカウントできるようになりました。

■幼稚園教諭や小学校教諭の活用

幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭など、子どもと関係の深い免許の有資格者を、保育士として活用できる特例が設定されました。ただし、子育て支援員などの研修を受けて保育に必要な知識を習得すること、全体の2/3以上は保育士を配置すること、という条件があります。

このように、以前の基準では保育士の有資格者に限られていたところを、資格を持たない人材を活用する内容に緩和されたのです。

保育士の配置基準の計算方法とは

配置基準は国や自治体、園の種類などで異なるため、どうやって計算すればいいか悩むはずです。そこで、保育士の人数の計算方法を、順を追って紹介します。

■地域の配置基準を確認する

保育士を計算する際、保育園のある地域の配置基準をもとに計算します。小規模認可保育園の場合は、保育士の人数によって「A型」「B型」「C型」と分かれます。

■保育園の定員を確認する

0歳児~5歳児まで、それぞれ何人の子どもが在籍しているかを確認しましょう。ここでは、100人の子どもがいると仮定し、次のように人数を設定します。


・0歳…3人
・1歳…10人
・2歳…20人
・3歳…20人
・4歳…20人
・5歳…25人


■子どもの年齢ごとに分け、人数を配置基準の定員数で割る

国の配置基準をもとに、上記の例を使って計算してみます。


・0歳…3人÷3人=1→1人
・1歳…10人÷6人=1.6→2人
・2歳…17人÷6人=2.8→3人
・3歳…25人÷20人=1.25→2人
・4歳…20人÷30人→1人
・5歳…25人÷30人→1人

(※割ったあとの小数点以下は繰り上げて計算)


計算した人数を足すと、この園では10人が必要になることがわかります。

■延長保育など特別に配置する人数を足す

上記の計算で出た数字は、あくまでも日中に必要な最低限の人数です。

朝夕の延長保育を実施する場合、2名以上の保育士を追加する必要があります。園長などの管理職も有資格者に含めますが、実際の保育に関わらないことがほとんどです。

そのため、計算よりもさらに1人追加するなど、保育士の人員は状況に応じて決めるようにしましょう。

おわりに

子どもの年齢と人数に対し、保育士の人数を決める配置基準ですが、保育士不足が続く現在では基準を守ることも難しい状況にあります。

資格を持たない人を保育士としてカウントできようにすることが、配置基準の規制緩和の主な取り組みです。

有資格者以外が携わることで保育の質の低下を懸念する声もありますが、専門知識を研修で補い、質を確保できるよう配慮されています。また、配置基準をもとにした計算方法は、あくまでも日中に必要な最低限の人数です。

延長保育や管理職の働きなどを考慮し、必要に応じて保育士の人数を増やすなど、保育の質を保つよう配慮しましょう。

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この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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