【2024年最新】保育士の配置基準見直しを解説!背景や現行の緩和措置、施設別の配置基準まとめ

2024.02.27 | 給料・環境 | 園関係者向け
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2023年12月、76年ぶりに、保育士の配置基準の見直しが行われると子ども家庭庁から発表がありました。
配置基準は国が定める「保育士1人に対して子ども○人まで」といった人員配置の最低ラインのことです。
この記事では、保育士の配置基準見直しの背景や、現行の緩和措置、施設別の配置基準についてなど、詳しく解説します。

保育士の配置基準見直しの内容

配置基準は、1948年(昭和23年)に国によって定められました。

保育士の人件費は国や自治体から支払われます。そのため配置基準を定め、それに基づいて人数分の人件費を計算し、保育園に支払われる仕組みとなっています。

国は2024年度予算に、保育士などの処遇改善のためのプランや、今回の配置基準の改善のための予算を組み込みました。

4歳・5歳児の配置基準が見直されたのは、1948年以来、実に76年ぶりです。


■見直しはいつから実施される?

子ども家庭庁の発表によると、実施されるのは2024年度からとのことです。

4月から2024年度が開始されるので、各保育園では保育士人材確保に動き出しているでしょう。


■具体的な見直しの内容は?

2024年度より4・5歳児の配置基準が、子ども30人につき保育士1人から、25人につき1人に改正されます。

同時に3歳児についても、子ども20人につき保育士1人から、15人につき1人に改正されます。

2025年以降には、1歳児についても、子ども6人につき保育士1人の配置が見直され、5人につき1人の改正予定で進められています。

各年齢の配置基準は以下の図表の通りです。


保育士1人当たり

子どもの年齢

子どもの人数 変更前

子どもの人数 変更後

0歳児

3名

変更なし

1歳児

6名

5名(2025年以降予定)

2歳児

6名

変更なし

3歳児

20名

15名

4歳児

30名

25名

5歳児

30名

25名


■経過措置の期間はいつまで?

保育士配置基準の改正を受けて、4・5歳児クラスの定員は25名になる園が多いと思われます。

ただし持ち上がり園児も多く、急に定員を減らすことは難しいと思われます。保育士の人員を増やすのが現実的でしょう。

4月に向けて、採用人数を増やしている保育園も多いのではないでしょうか。


政府は、従来の配置に必要な経費と、改正後の配置に必要な経費の差額を加算すると掲げています。

ただし、人材確保が困難ですぐに配置できないなどの混乱が生じるケースも少なくないでしょう。そのため、当面は今までの基準で運営することも認める経過措置の期間が設けられます。

経過措置の期間は2024年2月現在では決まっておらず、懸念点が残ります。

改正は新しい一歩ですが、改正後の配置基準を満たしていないとしても、ペナルティはないため、配置基準を改善することなく運営を続けてしまう園もあるかもしれません。

保育士の配置基準見直しの背景

配置基準の見直しに至ったのは、2023年4月に子ども家庭庁が設置されたことが大きいと思われます。

少子化問題に取り組むため、こども未来戦略として「こども・子育て支援加速化プラン」という少子化対策が子ども家庭庁より発表されました。その一環として、保育士の配置基準見直しに踏み切っています。

多くの保育関係者や保護者が、従来の配置基準では子どもたちに安全で安心な環境とは言えない、と切実な声をあげ続けてきた歴史がありました。

不適切な保育や保育中の不慮の事故などは、保育士1人当たりで見なければならない子どもの人数が多いために、目が行き届かず起きたとも言えます。

そのような背景から早急に体制整備を改善すべき、との発表がありました。

参考|子ども家庭庁より P19
こども未来戦略(令和5年12月22日閣議決定) (cfa.go.jp)


■保育事故や不適切保育の問題

保育士1人当たりの保育可能な人数を減らせば、1人ひとりを丁寧に見ることができるようになります。その分余裕が生まれ、質の高い保育をすることが可能になります。

国が定めた従来の配置基準では、4・5歳児30人を1人の保育士が見なければいけませんでした。

当然、死角もできますし、1人のサポートを必要とする子どもに時間を割くと、その他の子どもたちが放置される状態になります。

そのような時に、ケンカや事故が起きやすいのです。

また、人員配置がギリギリということは、1人担任で忙しくあまり余裕がない状態になります。

こういったケースでは、多くの子どもをまとめるために、多少の大きい声を出したり、威圧的になってしまったりといったことが起きます。

こうしたさまざまな背景が不適切な保育につながるのです。


■保育士や保護者の声

「子どもたちにもう1人保育士を!実行委員会」の呼びかけ人である愛知県の保育士、平松知子さんは「ようやく山がひとつ動いた」と言います。しかしこれで充分ではありません。4・5歳児は15人に保育士1人と、さらに改善を求める声もあります。「もっと配置基準改善を進めていってほしい」と平松さんは言います。

保護者側も、保育事故や不適切保育の問題などを見るにつけ、不安に思っています。今回の配置基準見直しのニュースを受け、子どもを預ける環境が少しでも良くなって安心できることを望み、同時に保育士が働きやすい保育園になることに期待を寄せています。

保育士の配置基準に違反すると?

国が定めた配置基準に、もし違反した場合にはどうなるのか、経営者側のペナルティを見てみましょう。


■認可保育園の場合

国が定めた配置基準を満たしていることが、認可保育園運営の条件です。

そのため、保育士の配置基準を満たしていないことが発覚すると、認可保育園として運営できなくなります。

第3者による監査が定期的に行われるのが通常ですが、何かあれば自治体の指導監査が入ります。改善が認められない場合は認可が取り消され、認可保育園としての運営はできなくなります。


■認可外保育園の場合

認可外保育園も、基準を満たしていないと指導監督が入ります。

認可保育園と同様に、年に一度立ち入り調査があります。実施後1ヶ月以内に改善指導の内容が文書で通知されます。その後改善が見られないと改善勧告が出され、それでも改善しない場合、事業の停止命令や施設の閉鎖命令が行われます。

自治体独自の配置基準がある場合も

自治体によっては、独自の基準を設けている場合があります。より質の良い保育を目指し、国の基準より厳しい基準を設けています。

1人ひとりとじっくり向き合いたい、丁寧な保育をしたいと思っている方は、こうした環境が整っている地域を選択肢に入れるのも良いでしょう。


<横浜市 保育士1人当たり>

子どもの年齢

子どもの人数

0歳児

3名

1歳児

4名

2歳児

5名

3歳児

15名

4歳児以上

24名


<京都市 保育士1人当たり>

子どもの年齢

子どもの人数

0歳児

3名

1歳児

5名

2歳児

6名

3歳児

15名

4歳児

20名

5歳児

25名

現行の保育士配置基準の緩和措置

保育施設を増やし、待機児童ゼロになるまでの一時的な措置として、現在は保育士の配置基準が緩和されています。

2016年に「保育所等における保育士配置に関わる特例」が施行されました。詳しく見てみましょう。


・児童が少ない時間の配置人数

朝や夕方など、子どもが少ない時間も必ず保育士2人の配置が最低基準でしたが、そのうちの1人を、子育て支援員研修を修了した人なら保育士でなくても代替できます。


・開所時間による配置人数

8時間以上開所している保育園に限り、配置基準により必要となる保育士数について、一定の研修を受けた子育て支援員を保育士としてカウントに含めることが可能です。

保育士2人のうち、1人は子育て支援員の配置が可能となりました。


・幼稚園教諭や小学校教諭、養護教諭の採用

幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭の免許を持っている方を、保育士としてカウントできます。ただし、保育を行うにあたり必要な研修の受講が必須条件です。

また、幼稚園教諭は3歳以上児、小学校教諭は5歳児を保育することを推奨しています。


・看護師・保健師・准看護師の採用

2023年4月1日以降、看護師・保健師・准看護師は、乳児保育園だけでなく、どの保育園でも1つの保育園で1名のみ、保育士とみなすことが許可されました。


・子育て支援員の活用

自治体が行う、子育てに関する専門知識を学ぶ研修を修了した人のことを、子育て支援員と言います。

2016年、最低基準で必要となる保育士数を上回って配置する保育士の数については、子育て支援員などを配置できるようになりました。

ただし、子育て支援員は園の職員の1/3以下に限定しています。

施設別の保育士配置基準まとめ

保育園以外の保育施設でも配置基準は定められており、施設のタイプ別に異なります。


■幼保連携型認定こども園

幼保連携型認定こども園は、2015年施行の「子ども・子育て支援新制度」によって設立された、幼稚園と保育園の機能を両方兼ね備えた施設です。

満3歳以上の子どもの教育時間は、専任の保育教諭を1人配置し、学級を編成することが定められています。


(保育士1人当たり)

子どもの年齢

子どもの人数

0歳児

3名

1歳児

6名

2歳児

6名

3歳児

20名

4歳児以上

30名


■地域型保育事業

地域型保育事業は、子どもの対象年齢は0~2歳児です。以下の4つの事業類型があり、それぞれ配置基準があります。

・小規模保育事業

・家庭的保育事業

・事業所内保育事業

・居宅訪問型保育事業


・小規模保育事業

小規模保育事業はA型・B型・C型の3種類あり、それぞれ配置基準が違います。定員は、6名~19名です。


<A型・B型>

子どもの年齢

子どもの人数

保育士の人数

0歳児

3名

保育所の配置基準+1名

1歳児

6名

保育所の配置基準+1名

2歳児

6名

保育所の配置基準+1名



※A型は、全て保育士である必要がありますが、B型は職員の1/2以上の有資格者の配置が必要と定められています。つまりB型は、保健師や看護師、准看護師を1人に限り保育士として数えることが可能です。


<C型>

子どもの年齢

子どもの人数

保育士の人数

0~2歳児

3名

家庭的保育者1名

0~2歳児

5名

家庭的保育者2名(補助者を入れる場合)



C型は、保育士有資格者の配置は義務付けられていません。

しかし、自治体が行う研修を終了した「家庭的保育者」でなければなりません。保育士と同等かそれ以上の知識と経験を持っている人を配置することが定められています。

また、同じく自治体が行う研修を終了した「家庭的補助者」が1人つく場合に限って、5名担当にすることが可能です。


・家庭的保育事業

家庭的保育事業は、定員5名以下の少人数保育所です。保育者の自宅や、その他の家庭の雰囲気に近い場所で保育が行われます。

配置基準は、小規模保育事業C型と同様です。

子どもの年齢

子どもの人数

保育士の人数

0~2歳児

3名

家庭的保育者1名

0~2歳児

5名

家庭的保育者2名(補助者を入れる場合)

 

 


・事業所内保育事業

事業所内保育事業は、主に事業所の従業員を預かりますが、地域の保育を必要とする子どもも受け入れます。

子どもの年齢

子どもの人数

保育士の人数

0~2歳児

19名以下

保育所の配置基準+1名

0~2歳児

20名以上

保育所の配置基準と同様


・居宅訪問型保育事業

居宅訪問型保育事業とは、保育を必要とする子どものご家庭(居宅)において1対1で保育を行うものです。

配置基準は、0~2歳児1人に対し職員1人です。

必要な研修を終了し、保育士と同等かそれ以上に知識や経験があると自治体から認められた人が、保育を行うことができます。


■認可外保育園

認可外保育園とは、国が定めた基準を満たしていないため、認可を受けていない保育施設のことです。

保育士の配置基準は、保育時間が11時間以内であれば認可保育園と同様です。11時間以上では、保育する子どもが1人だけの場合を除き、保育士2名以上の配置が義務付けられています。

子どもの年齢

子どもの人数

保育士の人数

0歳児

3名

1名

1歳児

6名

1名

2歳児

6名

1名

3歳児

20名

1名

4歳児以上

30名

1名


また、職員の1/3以上は保育士または看護師であることと定められています。

まとめ

施設によって定められている配置基準は異なります。保育士の働きやすさや子どもの安全を考え、多めにスタッフを配置している園もあります。

保育士の配置基準の見直しが行われるとはいえ、まだまだ「これで終わりではない。まだ始まったばかり」との声もあり「もっとゆとりある人数の配置を」との切実な声があがっています。

変化しつつある状況をチェックしながら、心に余裕を持ってじっくり子どもと向き合えるような環境で保育できることを目指していくのも良いかもしれません。


出典|こども家庭庁 P8
令和6年度こども家庭庁予算案のポイント (cfa.go.jp)

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この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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