潜在保育士の人数は80万人?再就職のための復帰支援とは?
働き手不足の業界において、なぜ職場復帰しないのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
本記事では潜在保育士問題点や職場復帰しない理由、復帰支援についてご紹介しますので、待機児童問題に関心がある方、潜在保育士に該当する方はぜひ参考にしてください。
潜在保育士とは?問題点や人数について

そもそも潜在保育士とは、保育士資格を持っていながら保育士として働いていない人々のことを指します。
厚生労働省が平成25年度におこなった調査によると、全国で保育士資格を保有しているのは約120万人、実際に勤務しているのは約40万人なので、約80万人もの潜在保育士がいると考えられています。つまり、保育士資格を取得しても約3分の2の人々は保育士として勤務していないのです。
潜在保育士の最大の問題点は、「一度は保育士として頑張ってみたけれど、辞めてしまった」という人がとても多いことにあります。一度は保育士として勤務したが離職し、現在は保育士として勤務していないという人は83.2%にものぼります。
この再就職率の低さが、潜在保育士が多くなってしまう大きな要因となっています。
潜在保育士が職場復帰しない理由

潜在保育士が職場復帰しない理由として、以下の5つが一般的に挙げられます。それぞれの理由について詳しくみていきましょう。
■妊娠・出産・子育て
退職理由で最も多いのが、妊娠・出産によるものです。小さい子供達を相手にする保育士は1日中体を動かしたり、子供を抱き上げたりしなければならないので、妊娠した体への負担を考えると退職せざるを得ないケースが多いようです。
また、突発的に休みが取りにくいため子供の急な発熱などに対応できず、子育てとの両立は難しいと考え、柔軟な働き方のできる他の職業に就いているケースもみられます。
■給与
保育士の給料は、保育園が私立か公立かで異なりますが、全国平均の年収は約296万円。月収の手取りは約18万円です。
これは女性の全国の平均給与と同じくらいの額ではありますが、子供達の命を預かっているという大きな責任や実際の拘束時間を考えると安いと感じる保育士が多いようです。
■勤務時間
保育士はほとんどシフト制で、勤務時間は基本的に約8~9時間です。
しかしシフト上では9時間だったとしても、運動会やお遊戯会などのイベント時の衣装や小物づくり、工作などは自宅に持ち帰って仕事をすることが多いため、実際の拘束時間は9時間よりも多くなるケースがあります。
家に持ち帰っての作業はほとんどの場合で残業代が支払われないため、勤務時間への不満は給与面の不満にも繋がっているともいえるでしょう。
■体力面
一度に複数人の小さい子供達の相手をするのは、体力が必要とされます。
また、シフト制による不規則な勤務時間や残業の多さも、体力がなければ難しいでしょう。そのため、自身の健康面や体力面を考えて職場復帰は難しいと考えるケースも多いようです。
■就労条件
職場復帰したいと考えていても、子育てと両立するための時短勤務や、休みの取りやすさ、給与面や勤務時間など、希望する就労条件と合致しないため、職場復帰していない潜在保育士は多くいます。
潜在保育士への復帰支援はある?再就職へのステップ
約80万人もの潜在保育士は、待機児童問題を解決に導く大きな鍵です。そのため、国を挙げて「保育士確保プラン」とし、潜在保育士の復帰支援をおこなっています。
具体的には、職場復帰の相談・就職の仲介・実技研修がおこなえる保育士・保育所支援センターを設置、ハローワークの求人を増やしたり、復職支援のセミナーなどを開催したりしています。
さらに、労働環境の改善に向けて雇用管理マニュアルの配布や、職場定着をさせるための助成金の活用など、雇用機会を増やすことから離職対策まで幅広い支援をおこなっています。
職場復帰に不安を感じている方は、まずハローワークやセミナーに足を運んでみてはいかがでしょうか。
おわりに
潜在保育士は、待機児童問題が深刻化する現状を打開する可能性を持った存在といえます。
職場復帰すれば約80万人もの保育士が増えることになるので復帰が望まれますが、給与や勤務時間など、労働環境の悪さで復帰に尻込みしてしまっている潜在保育士が多いのが現状です。
しかし、厚生労働省が「保育士確保プラン」と銘打って職場復帰支援をおこなっているので、労働環境などは改善傾向にあります。
職場復帰を考えている潜在保育士の方は、セミナーなどに参加してみると良いでしょう。

保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。
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