【2025年に一本化】保育士の処遇改善等加算とは?一本化の変更点を解説
保育士の労働環境を整備し、安心して仕事を継続するための大変重要な制度といえます。
保育士の人材確保は、保育園が安定したクオリティの高い保育サービスを提供することにもつながるため、保育士が長く活躍できる職場構築というのは、保育の質向上という意味でも必要不可欠です。
保育士処遇改善等加算について、詳しく解説します。
保育士の処遇改善等加算が設けられた背景
保育士処遇改善等加算は仕事の責任が大きく、業務量も多い保育士の収入面をサポートするために始まった制度です。
1.1.保育士の処遇改善とは
業務量の多さや責任の重さに対して、保育士の給与の低さがかねてから問題視されてきました。
保育士の離職理由に、給与の低さは大きく影響しており、政府は保育士人材確保をするため、2013年に処遇改善等加算をスタートしました。
保育士の賃上げを行い、働くモチベーションを保つことを目的としています。
また、保育士資格を有しながらも、さまざまな事情で保育の現場から離れていた潜在保育士にも、再び活躍してもらうための施策でもあります。
1.2.保育士の処遇改善で何が変わる?
共働き世帯増加に伴い、保護者が就労している間に保護者に代わって保育をする保育士を確保するために、国も積極的に動き始めました。
保育士は業務量や責任の大きさに対して、給与水準がかねてから低いと問題視されており、その立場に見合ったふさわしい評価、給与を得られるように改善していく取り組みが急がれていたのです。
その対策の一つとしてスタートしたのが処遇改善等加算です。
この処遇改善等加算で、職員の賃金改善を実施することで、職員の定着が期待されています。
処遇改善加算制度の一本化とは
2025年度から、これまで複数に分かれていた「処遇改善等加算」が整理され、従来の「処遇改善等加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)」から、3つの区分からなる体系として運用されます。
従来は経験年数や役職ごとに細かく加算メニューが分かれていましたが、制度が複雑で分かりにくいことが課題となっており、「誰にどのように加算が行われているのか」が現場でも把握しづらい状態でした。
一本化後は、加算を大きく3つの区分(基礎分・賃金改善分・質の向上分)に整理することで、保育士の賃金引き上げとキャリアアップ施策をより分かりやすく、安定的に実施できるようにしています。
一本化の背景
処遇改善等加算の一本化の背景には、次のようなねらいがあります。
- 保育士不足の深刻化
賃金水準の低さや長時間勤務が続き、「保育士を続けたいのに続けられない」「資格はあるが現場に戻らない」といった状況が全国で課題となっていました。
潜在保育士(資格を持ちながら保育現場で働いていない人)は全国で約95万人いると推計されており、この人材を現場に呼び戻すためには、処遇の抜本的な改善が不可欠でした。
また、若手保育士の離職率の高さも深刻です。こうした状況を打開するため、処遇改善は待ったなしの課題となっていたのです。
- 複雑な加算制度の見直し
従来の処遇改善等加算はⅠ・Ⅱ・Ⅲなど複数に分かれ、要件や対象、配分ルールがバラバラで非常に分かりにくい制度でした。
その結果、事務担当者でも誰がどの加算の対象か把握しづらく、園ごとの裁量による配分の差から、同じ経験年数や役職でも給与格差が生じ保育士の不信感や不公平感につながっていたのです。
- 安定的な賃金引き上げとキャリアパスの明確化
「ベースとなる賃金を底上げする部分」と「役割や専門性に応じて上乗せする部分」を分けて設計し、保育士が将来像を描きやすくすることが目的です。
従来は、手当が一部役職者に偏り多くの職員からキャリアと処遇の関係が見えにくいという不満の声が多く、この一本化によりキャリアプランが立てやすくなります。
つまり、一本化は「賃金を恒常的に引き上げる」と同時に、「キャリアアップと質の向上を両立させる土台を整える」ための見直しだと捉えると分かりやすくなります。
処遇改善加算制度の一本化による変更のポイント
一本化後の大きな変更点は、主に次の3つです。
① 3区分への整理
すべての保育士を対象とした「基礎分」、経験・役職などに応じた「賃金改善分」、研修や専門職配置などの「質の向上分」という3つの枠に整理されました。
② 内容と対象の明確化
どの区分が「全員に関わるベースアップ分」なのか、どの区分が「リーダー・主任・専門職などの役割に応じた加算」なのかがはっきり示され、職員側も自分がどの区分の対象なのかを把握しやすくなりました。
③ 保育の質向上との連動
単に賃金を上げるだけでなく、「研修受講」「専門人材の配置」「キャリアアップ研修修了者の活用」など、保育の質向上に結びつく取り組みを条件とした区分を設けたことが特徴です。
「処遇改善=一部の役職者だけの話」という印象から、「全員の底上げ+役割に応じた上乗せ+質向上への投資」という立体的な構造へと変わりました。
処遇改善加算制度の一本化後の3つの区分
区分1「基礎分」
区分1「基礎分」は、すべての保育士を対象にしたベースアップ(底上げ)部分です。
【主な内容】
・常勤・非常勤を問わず、一定の条件を満たす保育者(保育士・保育教諭・幼稚園教諭など)に対して、賃金の底上げを目的とした加算を行う枠です。
・基本給や賞与など、継続的な給与に反映させることが求められます。
【対象者】
保育所、認定こども園、幼稚園などで子どもの保育・教育に従事する職員が広く対象となり、従来よりも「一部の役職者だけ」ではなく、現場職員全体に恩恵が行き渡る設計になっています。
区分2「賃金改善分」
区分2「賃金改善分」は、経験年数や役職、専門性などに応じて上乗せされる部分です。
【主な内容】
・リーダー保育士、副主任保育士、専門リーダー、主幹保育教諭など、一定の役割を担う職員に対して、役責に見合った賃金上乗せを行うための加算枠です。
・経験やスキルを積み上げた人が「責任と処遇の両方で報われる」ように位置づけられています。
【条件・対象者のイメージ】
・一定の経験年数(例:7年以上、10年以上など)
・園内でのリーダー職・主任補佐・研修リーダーなど
明確な役割を持つ職員、園が定めるキャリアパスや役割分担に基づき、対象者を決定。この区分があることで、「キャリアアップしていくと、お給料面でもきちんと差がつく」という仕組みが見えやすくなります。
区分3「質の向上分」
区分3「質の向上分」は、保育の質を高めるための取り組みと連動した加算です。
【主な内容】
・キャリアアップ研修の修了者を活用する
・専門性の高い人材(発達支援、食育、保健衛生など)を配置する
・研修やOJTを計画的に実施し、園全体のスキルアップを図るなど、「保育の質向上」に直結する取り組みを行う園に対して加算が行われます。
【条件・対象者のイメージ】
・一定数の職員がキャリアアップ研修などを修了している
・園内で研修計画を立て、振り返りや評価を行っている
・加配職員や専門職を配置し、特別な配慮を必要とする子どもへの支援を強化している
この区分は、「がんばっている個人」だけでなく、「園全体で学び続ける仕組みづくり」を後押しする役割を持っています。処遇改善が「お金だけの話」で終わらず、子どもたちの育ちや現場の学びの質を高めるための投資として位置づけられている点がポイントです。
この3区分をセットで見ると、
- 区分1:全員のベースアップ
- 区分2:キャリア・役割に応じた上乗せ
- 区分3:園全体の質向上への投資
という役割分担になっており、「現場で働き続けたい人を支える」「スキルアップが正当に評価される」「保育の質も一緒に上げていく」という三本柱を意識した設計になっています。
保育士として活躍するために、処遇改善はぜひフル活用を!
保育士の賃上げが目的とされている処遇措置は、基本的に事業所を通して実施されます。
ご自身が勤めている園では、どのような対応となるのかを確認するようにしましょう。
また、自治体によっては同様の処遇改善が実施されているケースもあります。
家賃補助や、国が実施している処遇改善に上乗せする形で給与が支払われるケースなど、様々なものがあるため、しっかりと調べ活用できるものは使っていきましょう。
キャリアアップや、安心して働くことができる環境を手に入れるためにも、処遇改善は大変役立ちます。
保育士として長く活躍し続けるためにも、ぜひ積極的に情報収集するようにしていきましょう。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。
関連記事一覧
最新記事
