保育実習日誌を書くコツとは?項目別にポイント・例文解説

2023.03.03 | 見学 | 資格・試験
保育実習は、保育学生がこれまで学校で学んできた知識を保育の現場で実践する場です。
実習を通して、実際に子どもたちと関わりながら実践的なスキルを身につけていくことが目的とされています。
さて、実習で取り組む内容の中には「保育実習日誌」を書くというものがあります。どうやらこの保育実習日誌について、苦手意識を持っている方も多いようです。
そこで今回は、保育実習日誌を書くコツについてご紹介します。

1.保育実習日誌を書く目的

保育実習中は、毎日保育実習日誌を記入し、実習先の先生に提出するのが一般的です。そのため「保育実習日誌は、実習先の先輩や学校の先生に保育実習について報告するためのもの」と認識している人も多いかもしれません。

ただ、保育実習日誌を単なる宿題として捉えてしまうと、主体的に取り組めなくなってしまう可能性があります。

保育実習日誌は、実習を担当してくださっている先生からアドバイスをもらうツールですが、それ以上に日々その保育の目的や意図を考察する姿勢を養う機会でもあることを、理解しておきましょう。

忙しい保育実習期間ですが、保育実習日誌を書くことは、保育士として必要な知識や学びを深める経験となるのです。

2.【項目別】保育実習日誌の書き方例

保育実習日誌のフォーマットは学校によってさまざまですが、本記事では一般的にみられる保育実習日誌の各項目について、具体的な書き方や例をご紹介します。


保育実習日誌における一般的な必須項目は、以下の通りです。

・基本事項

・実習の目標

・時間と活動内容

・環境構成

・子どもの活動の様子

・保育者による援助

・実習生の気付き

・感想や反省点


2.1 基本項目(日付・天気・クラス・担任など)

まず、日付や天気といった基本的な項目から埋めていきます。この欄に関しては迷わずに記入できるでしょう。


【例文】

・3月3日(金) 晴れ

・〇〇組(〇歳児クラス) 担任:〇〇先生

・男児:〇名 女児:〇名


2.2 実習の目標

実習の目標の欄には、その日の目標を設定して記入します。いま自分が頑張りたいこと、学びたいことについて書いていきましょう。

どのような内容を目標として設定すべきか悩んだ場合は、厚生労働省が出している『保育所保育指針』や、文部科学省から出ている『幼稚園教育要領』を参考にしてください。

これらの資料には、子どもの年齢別に「健康」「人間関係」「言語」「表現」といった項目で保育士として関わる注意点などが具体的に提示されています。


実習の目標は毎日立てるものですから、立派な目標を立てる必要はありません。「子どもたちが保育園で過ごす1日の流れを把握する」といった、シンプルなものからスタートしましょう。

翌日の予定をあらかじめ確認し、そこから目標を設定するのもおすすめの方法です。

実習が始まってしばらくすると、前日に自分が立てた目標と、実際に行った保育について振り返り、そこから気付いたことを活かした目標設定ができるようになります。


【例文】

・保育士の動きを観察して、保育業務の流れを把握する。

・ミルクの作り方、おむつ交換の仕方を学ぶ。

・子どもの発言や行動からその意味を考え、気持ちに寄り添う。


2.3 時間と活動内容

時系列で活動を記入する欄は、その日に行った保育内容を時間ごとに記入します。

あとから見返したときに、時間と活動内容といった大まかな流れが理解できるように記録することが「時間と活動内容」を書く目的です。活動をスタートした時間を記入していきましょう。実習中にできるだけメモしておくと後から正確に記入できます。


【例文】

・10:00 散歩

・11:30 給食の準備

・12:00 給食

 


2.4 環境構成

活動構成は、保育士などの「人的環境」、施設などによる「物的環境」、自然や社会の「自然環境」を指します。計画的に環境を整え、子どもの生活を豊かにし、その成長を助けていくことが保育園では求められますから、環境構成は非常に重要なポイントです。

では、具体的にはどのようなことを書いていくのでしょうか。

環境構成の欄には「机」「椅子」「おもちゃ」「保育士の配置」などの配置を記入します。北社がどのように環境構成を変えているかについても注目し、書き留めておきましょう。絵や図を使って記録し、あとから見返した際にわかるように、具体的に書いておきましょう。


【例】

※絵や図を使って記録する。そのうえで気付いたことを書き留めましょう

・腰を下ろし、子どもの目線に合わせて話をしていた

・子どもが前を向きやすいよう、前方に保育者を多めに配置していた


2.5 子どもの活動の様子

子どもの活動の様子の欄には、実際に子どもたちがどのような活動をしたかを記録しておきましょう。クラス全体の活動はもちろんですが、一人ひとりがどのような様子であったかなど、観察して気付いたことを詳細に記入します。


【例】

・自分の気持ちを、友達や先生に自分の言葉で伝えようとする。

・ぬいぐるみやままごと道具を使い、自由に遊んでいる。

・一人遊びを好む子や、大勢での遊びを好む子もいる。


2.6 保育者による援助

子どもの成長には、保育者による援助も大変重要です。子どもが自立できるように、保育士として発達に合わせた援助ができるように検討する必要があります。具体的には子どもに対する声掛けや、活動のサポートなどです。

保育者による援助の欄には、実際に保育士が行った子どもへの援助を記入しておきましょう。具体的にはどのように説明しているか、どのようなことに注意をしているか、個別対応の状況などです。

保育実習日誌を読み返す作業は、実習中はなかなか時間が捻出できないかもしれません。しかし、将来就職して保育の現場に立つようになってからも、保育実習日誌は「こんなときどのように援助したらいいのだろう?」といった悩みを助けてくれる存在となります。


【例文】

・危険がないよう、道具は使用直前に配る。

・大きな声でゆっくりと説明し、一人ひとりの理解度をよく観察し、必要なフォローを行う。

・子どもが自主的に動いているときは見守り、取り組む姿勢をしっかりと認める。


2.7 実習生の気付き

実習生の気付きの欄には実習生、つまり自分にどのような気付きがあったかを記入しておきましょう。出来事を書き連ねるのではなく、保育内容、環境、保育士の動きについて気付いたことを書くようにします。


【例】

・子どもが自主的に制作できるよう、声掛けをしていた。

・子どもが遊びやすいよう、おもちゃが並べられていた。

・短時間で子どもの様子を確認していて、保護者と信頼関係が構築できていると感じた。


2.8 感想や反省点

感想や反省は活動ごとではなく、その日に立てた目標やねらいに対してどうだったかを考えて、記入します。

大きなアクシデントなどがあり、それについて振り返りを行いたい場合は、目標やねらいへの振り返りのあとに記入しておいてもいいでしょう。その際には、具体的な状況や場面も併せて記入しておきます。そうすることで、後日振り返った際に役立てることができます。


【例文】

今日は子どもの食事援助を学ぶことでしたが、食事の際、一人の子どもの援助をすることに精一杯になってしまいました。保育者は、一人ではなく周囲の子ども全体のことを見守りながら活動することが必要だと感じています。

全体を見渡せるように、気持ちにゆとりを持って保育を行うことが大切だと思いました。

3.保育実習日誌を書くときのポイント

保育実習日誌を書く際には、押さえておくべきポイントがあります。


3.1 保育者や子どもをしっかり観察する

子どもの活動を時系列に記録し、具体的にその様子を書くようにしましょう。「活動の大きな流れ」と「詳細」を同時に書く必要がありますから、読みやすいように、文字の大きさを変えたり、箇条書きしたり、記号を入れるなどの工夫をするようにしてください。


3.2 目標に対応する形で感想・反省を書く

自分が立てた目標やねらいに対して、感想や反省を書きましょう。感想は活動を通して感じたことや、それに関する考察などを書きます。反省は、自分の活動に対して改善すべきところを書くようにしましょう。

日々振り返りを行うことで、次の日、また次の日の成長につなげることができるように、具体的に記載しておくことが大切です。また、振り返りを行う際には疑問に感じたことなどを書いておくと、実習担当保育士からコメントをいただくことができたり、後日指導してもらえることもありますから、上手に活用しましょう。

4.保育実習日誌を書くときの注意点

保育実習日誌を書くときには、読んでいただく書類であることを念頭に置くことが重要です。


4.1 読みやすい字を心掛ける

保育実習中は慌ただしく、つい走り書きのように保育実習日誌を書いてしまうケースも珍しくありません。

ただ、そのような読みにくい状態の保育実習日誌は、指導保育士の方や先生が確認するのも手間となってしまい、本来ならもらえるはずのアドバイスや指摘を受けられないこともあり得ます。

まず、提出された側の負担になることは避けるべきですし、汚い字で書類を提出することは大変失礼であることを理解しておきましょう。

忙しく、丁寧な字で書く時間がないとしても、相手が読める字で書くことは大前提です。最低限の礼儀として、読みやすい字を心掛けるようにしてください。


4.2 誤字脱字や言葉遣いに注意

誤字や脱字の多い保育実習日誌は、チェックをする指導保育士や先生にとって読みづらいものとなってしまいます。提出する前には、誤字脱字がないかをチェックしてから出すようにしましょう。

言葉遣いが適切でない場合も、誤解を招いてしまうこともありますので注意が必要です。読みやすい字で書くことと同様に、正しい日本語で書くことは最低限の礼儀と考えてください。

たとえば「です・ます」と「だ・である」を混同して使用しているケースや、「ら」抜き言葉や「い」抜き言葉には、特に注意が必要です。

日常的に会話文で使用する口語表現と、書き言葉である文語表現は違うということを理解し、読み手に失礼にならない文章作成をするようにしましょう。


4.3 保育用語を正しく使う

保育実習日誌では、保育書類特有の言い回しや、専門用語の使用が必要になります。保育実習日誌を書く際に理解がきちんとできていない保育用語や、ニュアンスで使っている保育用語を使用するのはNGと考えてください。まずは、保育用語を正確に理解することが大前提であると考えましょう。

専門用語として使うべき言葉を一部紹介します。


・先生 → 保育者

・お母さん、ママ、パパ → 保護者、母親、父親

・教室 → 保育室

・登校、下校 → 登園、降園

・お昼ご飯 → 昼食

・お庭 → 園庭

・おもちゃ → 玩具

・お昼寝 → 午睡


また、丁寧な言い回しのつもりで「お教室」「ご用事」と「お~」や「ご~」といった丁寧語を付けることもNGです。園独自のルールが適応されているケースもありますから、まずは園のルールを確認するようにしてくださいね。

5.保育実習日誌に時間をかけすぎないために

「保育実習中はそれでなくても忙しいのに、保育実習日誌を書く時間がない」というのは、多くの保育学生が抱く悩みだと思います。

ここでは保育実習日誌に時間をかけすぎないためのコツを紹介するので、参考にしてみてください。


5.1 現場でメモを取っておく

あとから振り返って保育実習日誌を書こうとしても、1日にさまざまな出来事がある保育実習では忘れてしまうこともあるかもしれません。忘れずに記入するために、エプロンのポケットにメモ帳を常備してメモを残す習慣をつけておきましょう。

保育の現場ではやることがたくさんありますから、すべてを記憶しておくことは難しいというのが現実です。その場でメモを残しておくことで、帰宅後保育実習日誌を書く際に記憶の糸口にもなりますので、ぜひ実践してみてください。


5.2 実習中に一部を書いておく

実習中、休憩時間などに書ける範囲を書いておくというのも、ひとつの方法です。「基本事項」「午前の活動」など、記入できるものはどんどん埋めておくと、帰宅後は残りの箇所を埋めればいいだけですから、負担は大幅に軽減されます。

ただし、園によっては「休憩時間は休むべき」と考えている園もありますから、もし休憩時間中に保育実習日誌を書く場合は、指導保育士に相談してから書くようにしましょう。


5.3 保育者に質問をする

わからないことがあったら、保育者に質問するようにしましょう。「どのようなねらいがあっての援助か」というのは、見ているだけではなかなか理解できないこともありますが、保育者の援助には必ず理由があります。

どのような意図があったのか質問することで、より理解を深めることができるでしょう。

6.保育実習日誌は未来の自分を助ける一番の参考書

実習中は保育実習日誌を書くことを意識し、あらかじめ日誌に書く項目を把握しておきましょう。「子ども」「保育士」「自分」の観点から、活動や気付きを書くという作業はとても大変に感じるかもしれませんが、保育実習日誌や将来保育士として仕事をする中、大変役立つ参考書的存在となります。

今は大変でも、未来の自分のために頑張ってくださいね!

この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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