【保育士試験】受験資格を得るために必要な条件とは?実務経験を積む方法も解説!

2023.06.23 | 資格・試験
保育士として仕事をするためには、国家資格である「保育士」の資格試験に合格する必要があります。
保育士の試験を受けるためには、受験資格として必要な満たすべき条件がありますが、年齢制限はありません。何歳になっても、保育士資格取得を目指すことはできるのです。
今回は、保育士試験の受験資格を得るための条件や、実務経験を積む方法について解説します。

保育士資格の基礎知識

保育士として仕事をするためには、保育士資格が必須です。

保育士資格を取得するためには、国家試験を受ける方法と、保育士養成施設を卒業する方法の2つがあります。

本記事ではまず、国家試験を受けて保育士資格を取得する方法について、解説します。


保育士の国家試験は1年に2回、前期と後期に行われます。

試験内容としては筆記試験と実技試験が実施され、最初に筆記試験を受験します。

筆記試験の全科目に合格した人が、実技試験を受験する資格を得られるシステムです。

保育士試験の受験資格を得るための条件

保育士の受験資格を得るための条件は、中学卒業、高等学校卒業、専門学校卒業、短大・大学卒業といった最終学歴によって異なります。

文部科学省が定めた日本の学校教育法135条において「〇〇学校」とついていない学校は「法令に基づいた学校」として認められないと定められています。

つまり、インターナショナルスクールやスクール、アカデミー、カレッジなどの名称がついた学校は、保育士試験を受ける際に学歴として認められないケースがあるので注意しましょう。

自分が卒業した学校が受験資格を認められているか分からない場合は、まず学校に問い合わせてみてください。

卒業した学校が学校教育法に基づくものではない場合や、海外の学校を卒業した人は、保育士試験事務センターに問い合わせましょう。

それでは、学校教育法に基づいた学校を卒業しているケースについて、解説します。


4年制大学卒・在学中・中退

大学を卒業、在学中の学生に関しては、以下の条件を満たしていれば受験資格を得ることができます。


【条件】

・2年以上在学していること

・62単位以上取得済みであること


保育とは関係のない学部や学科を卒業していても、問題ありません。

在学中の場合は、受験年度内に条件を満たすことができる「見込み」がある場合でも受験資格が認められることとされています。

また、中退していても「2年以上在学していること」「62単位以上取得済みであること」を満たしていれば受験資格として認められ、受験が可能です。


短期大学卒・在学中

短期大学卒業、または卒業見込みである場合は、保育士試験を受験することができます。

こちらも、大学と同様に、保育士とは関係のない学部や学科に在籍していても、問題ありません。

ただし、大学の場合とは違い、中退している場合は受験資格を得ることはできませんので、この点は理解しておきましょう。


専門学校卒・在学中

専門学校の場合は、2年制の専門学校の場合は保育士試験の受験資格を保有していることになります。

こちらも、卒業見込みであっても、受験可能です。

2年未満で卒業する専門学校に在籍している場合は、次に説明する最終学歴が高等学校卒業であるケースを参考にしてください。

専門学校の場合も、短大と同様に中退していると、受験資格ありとは認められません。


高等学校卒業

最終学歴が高等学校である場合は、高等学校の卒業年月日や卒業学科によって、保育士試験の受験資格に関わる条件が変わってきます。

高等学校を卒業している場合の受験資格の詳細は、以下の通りです。


  • 1991年3月31日以前に高等学校を卒業している場合:受験資格あり
  • 1996年3月31日以前に保育課の高等学校を卒業している場合:受験資格あり
  • 上記に該当しない場合:実務経験の条件を満たす必要あり


つまり、1996年4月1日以降に高等学校を卒業した場合は、保育士の受験資格がないということになります。

受験資格を得るためには、専門学校や短期大学に進学するか、実務経験の条件を満たす必要があるので、注意しましょう。


中学校卒業

最終学歴が中学校卒業となる場合は、保育士試験の受験資格はありません。

中学校卒業で保育士の資格試験を受験したい場合は、実務経験の条件を満たす必要があります。


また、この場合、求められる実務経験の条件が高等学校卒業の場合とは異なります。

詳しくは後述しますので、しっかりと確認しましょう。

保育士試験の受験資格にある「実務経験」とは

先ほども述べた通り、保育士試験の受験資格には高校卒業、中学卒業の場合は「実務経験」が必要です。

「実務経験を積むといっても、保育士資格を持っていないのにどうしたら良いの?」と思うかもしれません。

このような場合、「保育補助」という仕事をしながら実務経験を重ねるのが一般的です。


保育補助とは、保育園や託児所といった児童福祉法で定められている施設で、保育士のサポートを担当する仕事です。

アルバイトやパートとして、保育の準備や片付けなどを担当します。

保育業務全般のサポートが仕事となりますが、実務経験を重ねながら保育のノウハウが学べる仕事です。

やはり、現場での実務経験は実際に保育の仕事をスタートさせてからも、大変役立ちます。


では、児童福祉法で定められている施設には、どのようなものがあるのでしょうか。


【児童福祉法で定められている施設】

  • 保育所
  • 保育所型認定こども園
  • 幼保連携型認定こども園
  • 児童養護施設
  • 児童厚生施設
  • 障害児入所施設
  • 児童発達支援センター
  • 児童心理治療施設
  • 児童自立支援施設及び児童家庭センター
  • 助産施設
  • 乳児院
  • 母子生活支援施設


このほかにも、認定基準に該当する施設や事業もあります。

認可外保育施設や小規模保育事業、幼稚園型認定こども園、地域裁量型認定こども園、幼稚園、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業、一時預かり、学童クラブ、へき地保育、小規模住居型児童養育事業、障碍児通所支援事業、放課後デイサービス、一時保護施設などでの就業経験がある場合は、都道府県知事による受験資格認定を得ることができれば、実務経験として認められます。


まずは、施設に直接該当するかどうかを確認してみてください。


高校卒業の場合、そして中学卒業の場合、それぞれのケースで求められる実務経験は以下の通りです。


高校卒業の場合に必要な実務経験

最終学歴が高校卒業の場合、以下3つの条件を全て満たすことが条件となります。


  • 勤務期間が2年以上あること
  • 総勤務時間が2,880時間以上であること
  • 児童などの保護、または援護に従事した経験

※事務や清掃といった、児童と直接関わりを持たない業務は認められない


中学卒業の場合に必要な実務経験

最終学歴が中学卒業の場合、以下3つの条件を全て満たすことが条件となります。


  • 勤務期間が5年以上であること
  • 総勤務時間が7,200時間以上であること
  • 児童などの保護、または援護に従事した経験

※事務や清掃といった、児童と直接関わりを持たない業務は認められない


参考:一般社団法人全国保育士養成協議会「保育士試験を受ける方へ

保育士試験の科目

保育士試験の科目は、以下の通りです。


筆記試験

筆記試験は9科目実施されます。


  • 保育の心理学
  • 保育原理
  • 子ども家庭福祉
  • 社会福祉
  • 教育原理
  • 社会的養護
  • 子どもの保健
  • 子どもの食と栄養
  • 保育実習理論


【実施方法】

マークシート方式


【合格基準点】

各科目100点中60点以上

※教育原理と社会的養護は2科目で1セットとなるため、それぞれ50点満点となります。合格基準点は、それぞれ30点以上です。ただし、合計で60点以上取れれば良いということではなく、例えば社会的養護で35点、教育原理で25点、合計60点を獲得していても、どちらも不合格となります。


実技試験について

筆記試験に合格すると、次は実技試験を受験することとなります。

実技試験は「音楽に関する技術」「造形に関する技術」「言語に関する技術」の3分野から2分野を選択し、受験します。

ここでは基本的な内容と、試験当日に持参するもので特別に注意が必要なものについて確認します。


【音楽に関する技術】

音楽表現に関する実技試験では、保育士として仕事をする上で必要な楽器演奏技術や歌、リズム感に関する試験が行われます。

試験内容はピアノ、ギター、アコーディオンいずれかの楽器で伴奏をつけながら、課題曲とされる2曲を弾き語りをするというものです。

演奏しながら歌うのは、なかなか難しいものとなります。しっかりと事前に練習しておきましょう。

なお、ピアノ以外の楽器は自分のものを持ち込んでの受験となります。


【造形に関する技術】

造形表現は、保育の一場面を絵画で表現する試験です。

画材は色鉛筆を使用し、45分という制限時間内に情景や人物をイメージしながら制作を行います。

造形表現を選ぶ場合は、事前にたくさん絵を描く練習を行って「描くこと」自体に慣れておきましょう。

造形表現の実技試験は、テーマが当日まで分かりません。

対策としては、過去問題集や予想問題集などを活用して、保育の場面を絵にする練習をしておきましょう。

当日は色鉛筆を持参します。

鉛筆削りも忘れないようにしましょう。

会場で鉛筆削りを使用する際には、試験官への申し出が必要ですので、注意してください。


【言語に関する技術】

言語に関する技術の試験では、15人程度の3歳児クラスを目の前に、あらかじめ発表されている課題から1つを選び、「3分間のお話」をします。

課題とされているお話のあらすじを、子どもたちが集中できるような3分間ほどにまとめ、ジェスチャーを交えて子どもたちの興味を惹きつけるように話をしていきます。

擬音語や、言葉の繰り返しを上手に使って、お話を盛り上げながら行うのがポイントです。

試験会場には持ち込めませんが、台本を携帯しておき空き時間などに確認することをおすすめします。

試験科目免除となる資格

保育士試験では、受験時に保有している資格によって免除される試験科目があります。

あらかじめ確認し、該当する場合は免除申請をしておきましょう。


幼稚園教諭免許所有者

幼稚園教諭免許を所有している場合は、以下の3科目の筆記試験が免除となります。

  • 保育の心理学
  • 教育原理
  • 実技試験

また、幼稚園といった特例制度対象施設で3年以上、かつ4320時間以上の実務経験がある場合は、指定保育士養成施設での特例制度による学びが完了していると判断され、筆記試験科目が免除となります。

参考:一般社団法人全国保育士養成協議会「指定保育士養成施設での科目等履修による免除について


社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士いずれかの資格所有者

社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士のいずれかの資格を所有している場合、以下の3科目の筆記試験が免除となります。

  • 社会的養護
  • 子ども家庭福祉
  • 社会福祉

参考:一般社団法人全国保育士養成協議会「社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士資格所有者を対象とした科目免除について


保育士試験で合格した科目は3年間試験免除に

保育士試験で合格した科目に関しては、合格年度を含む3年間が試験免除となります。

保育士試験では9科目の筆記試験が行われますが、例えば9科目中2科目合格していた場合、次の試験では7科目の受験でOKとなるのです。

もし、一回で合格できなくても、残りの科目をクリアしていけば良いと考えれば、少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。

参考:一般社団法人全国保育士養成協議会「免除・一部科目合格の有効期間について」

保育士養成学校で学ぶことでも保育士資格の取得が可能

保育士資格取得方法としては、厚生労働省が指定する保育士養成学校を卒業する方法もあります。

保育士養成学校には、大学や短期大学、専門学校、通信制大学などがあり、卒業すれば保育士資格を取得することが可能です。

つまり、保育士の国家試験を受ける必要がありません。


保育士養成学校では時間をかけて保育について学びますから、確実に知識と技術を身に付けることができます。

また、幼稚園教諭免許といった保育関連資格を同時に取得できる学校もありますので、入学を検討する際には、どの資格が取得できる学校かを確認しておきましょう。

年齢に関係なく活躍できる「保育士」を目指そう!

保育士資格は学生をはじめ、子育て経験を活かしたい方や、セカンドキャリアとして目指す方がチャレンジしています。

保育士養成学校で学ぶことは、専門的な知識や実習などを通してしっかりとしたスキル修得にもつながりますし、資格試験を受けずに国家資格である保育士資格を取得できるメリットも大きいでしょう。

保育士という目標が定まったら、どの方法で目標にたどり着くのが自分にとって合っているかをぜひ考えてみてくださいね。

この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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