園見学は保育士就職活動のファーストステップ!
とはいえ、保育士として仕事をしたことのない保育学生が、就職したいと思える保育園を選ぶというのは、なかなか難しいもの。
そんな保育学生のために、保育園では「園見学」を実施しているところも多くあります。
今回は、保育士就職活動の第一歩となる園見学について解説します。
1.園見学の基礎知識

まずは園見学前に知っておきたい基礎知識について解説します。
1.1.園見学とは
就職を検討している保育園に実際に足を運び、保育の様子を見学させてもらうのが園見学です。
1.2.園見学の申し込み時期/申し込み方法
園見学は就職活動前に行います。
新卒保育士の就職活動は、最終学年の6月ごろに始まり、11月までには終わるという流れが一般的です。
園見学の希望者募集は、就職活動が本格化する前の3月頃から告知を始めるスケジュールになります。
「この園で働いてみたい!」と思う園が見つかったら、園見学募集の告知を見逃さないように、早い時期からホームページなどをチェックしてみてください。
電話やメールで問い合わせをするのも良いでしょう。
1.3.事前にリサーチしておくポイント
園見学に行く前には、自分が実際にこの園で仕事を始める時に質問しておきたいことを調べておきましょう。
園がどのような考えや思いを持って保育をしているか、保育理念をはじめ、基本的な保育指針、ICT教育を導入しているかなどがポイントになります。
自分の思い描く保育が実現できる園かどうかについて、下調べしておいてください。
また、勤務することになった場合のことを考えて、福利厚生や待遇についてなども、確認しておくと良いでしょう。
待遇のことを質問すると、マイナスに評価されるのではないかと不安に感じる保育学生もいるようですが、そんなことはありません。
むしろ「この園に就職した時のことを、真剣に考えている」とポジティブに捉え、対応してくれる園がほとんどです。
万が一、待遇に関する質問の返答に難色を示すような園は、就職してからも、適切な待遇や誠実な姿勢での対応が期待できない可能性もあります。
気になることは、園見学でしっかりと確認するようにしましょう。
1.4.保育園の場所について
保育園の場所についても、事前に調べておく必要があります。
電車やバス、最寄り駅から園までの所要時間などを把握し、当日に慌てないようにしておきましょう。
時間的に余裕がある場合は、一度園まで行ってみると安心です。
2.園見学当日について
準備を整えたら、あとは当日を待つのみです。
就職するかもしれない園に行くのですから、緊張すると思いますが、当日に注意すべき点などをきちんと押さえておけば大丈夫です。
2.1.園見学に適した服装
園見学当日には、どのような服装で行くのが良いのでしょうか。
服装については、園見学を予約する際に「どのような服装で伺えばよろしいですか?」と確認しておきます。
就職活動は、スーツで行くのが一般的ですが、保育士の場合は少し事情が違います。
というのも、園によっては、実際に保育を少し体験できるように準備してくれるケースもあるためです。
保育をする時に、スーツだと子どもと一緒に遊びにくいですよね。そのような事態を避けるためにも、当日の服装については確認しておいてください。
「スーツで」「特に指定はありません」などの指示がある場合はスーツ、「カジュアルで」と指定された場合は、動きやすく、控えめな落ち着いた服装を選びましょう。
メイクも控えめなナチュラルメイクを心がけ、香水などは嫌う子どももいますから、つけない方が無難です。
髪型は、短い場合はダウンスタイルで問題ありませんが、髪は耳に掛けるようにすると顔がはっきりと見え、好印象です。
ロングスタイルの場合は結ぶようにし、清潔感あるスタイルを心がけてください。
また、過度なカラーは保育士としてふさわしくないと判断されるケースもありますから、注意が必要です。
今後、就職活動が本格化することも踏まえ、派手な色味でカラーリングしている場合は、これを機に自分のスタイルを見直すのも良いでしょう。
2.2.園見学に行く際に持参するもの
園見学に行く際には、どのような持ち物が必要になるのでしょうか。
以下のものは必須アイテムと考え、用意してください。
・筆記用具
・上履き
・ハンカチ、ティッシュ
・ストッキング
・替えのストッキング
・ソーイングセット
・エチケットブラシやメイク用品
・大きめのバッグ
園見学は、現役の保育士から直接話を聞くことができる貴重な機会となります。
すぐにメモが取れるように、メモ帳とペンは必ず持参するようにしましょう。
上履きは、園がスリッパなどを用意してくれるのが一般的ですが、保育園側に手間を取らせないためにも、上履きを持参していくと良いでしょう。
また、身だしなみを整えるアイテムであるハンカチ、ティッシュやメイク用品、洋服ブラシ、万が一の時に備えてソーイングセットも持っていくと安心です。
ソーイングセットは、急にボタンが取れた時などに大変役立ちます。
身だしなみを整えるタイミングとしては、保育園に到着してからではなく、最寄り駅などで済ませておきます。
最寄り駅だと、保護者や園関係者が見かける可能性もありますから、できれば少し手前の駅などで整えると良いでしょう。
2.3.当日の注意点
園見学の当日は、時間に余裕を持って家を出るようにします。
遅くとも前日までに、乗換案内などで園までの経路を調べておくようにしましょう。
園見学当日に初めてその園に行く場合は、道に迷うことも考えられます。
また、列車遅延などのアクシデントに遭遇する可能性もありますから、時間には余裕を持って向かうようにしてください。
ただ、あまり早く着きすぎても、園側の都合もありますから、5分前を目途に到着するようにしましょう。
スマートフォンで経路検索などをしていると、園に入る前に電源を切り忘れることもあります。
保育園に入る前には必ずマナーモードまたは電源をオフするようにしてください。
3.園見学時にチェックしたいポイント

園見学が始まったら、どのようなポイントに注目すれば良いのでしょうか。
3.1.子どもたちの様子
保育方針によって、子どものタイプが異なるケースもあります。
最近ではモンテッソーリ教育や泥んこ遊び、音楽教育、英語教育など、さまざまな特色を持つ園が増えています。
園の保育方針によって雰囲気も違いますから、園見学ではしっかりと子どもの様子を見るようにしましょう。
また、子ども同士のケンカが絶えなかったり、活気がない場合は、園に何か問題がある可能性もあります。
方針には共感していても、子どもたちの雰囲気があまりよくない場合は、自分が保育士として就職した時に気持ちよく働けないかもしれません。
子どもがのびのびとしていて、自分の力が発揮できる環境かというのも、園見学時にはぜひチェックしておきましょう。
3.2.保育士同士の人間関係
保育士同士の関係が良好な園は、園全体の雰囲気が良い傾向にあります。
実際に職場として考えると、風通しがよく、気持ちよく仕事ができた方が良いですよね。
園長先生をはじめ、ベテラン保育士や先輩保育士、それぞれの信頼関係がしっかりと構築できているかにも、ぜひ注目してみてください。
現場で働く保育士が、先輩保育士に一方的に指示をされていたり、保育士同士の会話がほとんどないような場合は、少し注意が必要です。
就職を検討している学生が、園見学に来ている日でも、その目を気にせずに険悪なムードというのでは、心配が残ります。
長く活躍し続けられる職場かどうか、先輩や同年代の保育士に相談したり、アドバイスを求めやすい環境かどうかを確かめておきましょう。
3.3.保育士と子どもたちの信頼関係
保育士と子どもたちの間で信頼関係がしっかりと築けているかどうかも、重要なポイントです。
信頼関係ができていれば、子どもたちはのびやかに、楽しく過ごしている姿が見られるでしょう。
保育士の顔色を見たり、怖がりながら保育を受けている子どもがいる場合は、要注意です。
子どものふるまいには、保育士との信頼関係が表れます。
3.4.トラブル時の対応
たくさんの子どもたちが一日を過ごす保育園で、子ども同士のトラブルはつきものです。
そのような場面に遭遇した場合は、保育士がどう対応するかをよく見ておきましょう。
子どもの気持ちに寄り添い、その上で反省を促し、どのように対応すればよかったかを話し合えれば、子どもも納得感を得ることができます。
頭ごなしに注意したり、叱ってしまうと、子どもも反発して良くない点を素直に認められないかもしれません。
トラブル時の対応を見れば、どのような考えの保育士が勤務しているかが分かります。
園見学時にトラブルが起こっている場に居合わせたら、保育士の対応をぜひチェックしておきましょう。
3.5.設備について
園見学は、実際に自分の職場となることを想定して進めましょう。
どのような構造の保育園か、老朽化しすぎていないか、保育室や園庭、そしてホールなどの広さはどうかなどを確認してください。
保育士が休憩に使う職員室やロッカーなども、見られる範囲でチェックしておくと良いでしょう。
3.6.ICT導入状況
近年、保育の現場でもICT化が進んでいます。
ICTは、保育士の業務を軽減するのに大変有効な手法です。
具体的には、登園・降園チェックや保護者とのやりとり、日誌や連絡帳、園バス運行状況などを配信し、保護者との連絡を手軽に、密接に行うことができるものとなっています。
雑務に追われるよりも、子どもと向き合う未来を想像して保育士を目指した人も多いと思いますので、園見学時にはぜひそのあたりも確認してみてください。
3.7.整理・整頓されているか
古い施設であっても、丁寧に掃除がなされていれば、清潔で安全な保育環境を整えることができます。
整理・整頓というごく基本的なことであっても、仕事が忙しく、そこまで手が回っていない場合は、園が乱雑になってしまうケースもあるようです。
新しくきれいな設備かどうかというよりも、手入れをして大切に使われている施設かどうかに着目してみてください。4.園見学が終わったらしておきたいこと

園見学が終わったら、忙しい中対応してくれた園に対して、感謝の気持ちを伝えましょう。
4.1.園へのお礼をする
「園見学の後に、お礼の気持ちを伝えたい!」という場合は、メールや手紙でその思いを伝えましょう。
お礼の品などを贈る必要は、ありません。
気持ちを伝えることが大切ですから、メールや手紙で十分です。
実際に、園で保育の様子を見て「この園に就職したい!」という気持ちが高まった場合には、ぜひ、その思いを伝えてください。
そういった言葉が添えてあると、園としてもただお礼メールを受け取るよりも、志望度の高い学生だと認識してくれるでしょう。
4.2.質問したいことを確認する
園見学をしてみて、確認したいことや質問がある場合は、メールに書いて送りましょう。
手紙の場合は、質問を書いてしまうと返信の手間を取らせてしまうため、手紙にはお礼だけを書くようにします。
お礼状は手紙で送りたい、でも質問があるという場合は、電話で問い合わせてみてください。
4.3.お礼の手紙やメールを送る際の注意点
お礼状やメールを送る場合は、できるだけ早いタイミングで送ることをおすすめします。
当日でももちろん、構いません。
丁寧な言葉で、誤字脱字がないように書くこと、そして送る時間帯にも注意が必要です。
特にメールの場合は、送る時間にまで気が回らないこともありがちですが、深夜や早朝の送付は失礼にあたります。
マナーとしては、保育園の開園時間内に送るのが良いでしょう。
その中でも、登園・降園のタイミングは避け、比較的落ち着いている10時〜15時を目途に送ることをおすすめします。5.園見学は就職活動モードに切り替えるチャンス
就職活動に不安を感じている保育学生は、たくさんいると思います。
そのような場合でも、まずは園見学してみましょう。
実習とは違い「自分がここで働いたら」という前提で園を見るようになりますから、視点が変わります。
そこで初めて気づくポイントも、出てくるでしょう。
園見学は「自分も保育士として仕事をする」という意識を改めて持つことにもつながりますし、さまざまな園の様子を知るチャンスです。
ぜひ、積極的に行ってみてくださいね。

保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。
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