保育士の配置基準とは?計算方法や基準の緩和について解説

給料・環境
公開日:2026.01.13 更新日:2026.01.13
保育園に配置する保育士の人数は、子どもの人数に応じた配置基準をもとに計算します。
しかし、現在の保育士不足は深刻な状況にあり、国の基準を満たすことができない保育園も少なくありません。待機児童問題も解消しないことから、配置基準が見直されました。
この記事では、配置基準の基礎知識、規制緩和された内容、具体的な計算方法についてご紹介します。

保育士の配置基準とは?

まずは、保育士の配置基準の定義と、実際の内容について見ていきましょう。


配置基準の定義

保育士の配置基準とは、児童福祉法に基づく「設備運営基準(最低基準)」および自治体の条例・要綱等により、保育施設で子どもを安全に保育し、一定の質を保つために定められた最低ラインの人員配置ルールのことです。

「保育士1人に対して子ども◯人まで」という形で、年齢ごとに上限人数が決められており、この基準を下回る状態が続くと、自治体からの指導や是正対応(改善計画の提出等)の対象となり得ます。重大な不備が解消されない場合には、行政処分につながる可能性もあるため、認可保育施設は基準を満たす体制の確保が求められます。

この基準はあくまで「最低限必要な人数」であり、実際の現場では行事準備・記録・保護者対応・障害児保育などを考慮して、基準より多めに保育士を配置する園も少なくありません。配置基準上は「保育士2名で足りる」クラスであっても、子どもの発達状況や特別な配慮が必要な子どもの人数、保育活動の内容に応じて3名以上を配置するケースもあります。

近年は待機児童問題や保育士不足が社会問題化する一方で、子どもの安全確保と保育の質の向上のために、特に3〜5歳児の配置基準を改善していく方向で国レベルの見直しが進められています。


【年齢別】国の配置基準

国が定める「認可保育所」を想定した代表的な配置基準は、次のようになっています。

  • 0歳児:保育士1人につき子ども3人まで
  • 1歳児:保育士1人につき子ども6人まで(2025年以降に「5人」へと見直される予定)
  • 2歳児:保育士1人につき子ども6人まで
  • 3歳児:保育士1人につき子ども15人まで
  • 4・5歳児:保育士1人につき子ども25人まで

2024年度(令和6年度)には、3歳児が「20人:1人」から「15人:1人」へ、4・5歳児が「30人:1人」から「25人:1人」への改善が行われ、就学前の子どもへの関わりをより手厚くする方向に変わりました。

これにより、きめ細かな生活支援や学びの準備がしやすくなると期待されています。

2025年度(令和7年度)以降は、安全確保と発達支援の両面から特に1歳児クラスの配置改善に向けて加算措置(国からの追加財政支援)などが進んでおり、一部の自治体では1・2歳児について国基準より手厚い独自基準を設けています。

また、配置基準には「常勤換算」という考え方があり、パートタイム保育士の勤務時間を合計して常勤保育士の人数に換算する仕組みも使われます。このため、実際の運営では正規職員だけでなく、非常勤やパート職員をうまく組み合わせながら基準を満たす工夫が行われています。

国や自治体、施設類型での違いとは?

自治体による違い

配置基準のベースは国が定めますが、自治体は「上乗せ基準」を設けて、国基準よりも手厚い配置を義務づけることができます。

例えば、国基準では「1・2歳児5〜6人:保育士1人」のところを、「4人:保育士1人」など、独自に子ども1人あたりの保育士数を増やしている自治体もあり、東京都や大阪市などの大都市圏では、独自の補助金制度を設けて保育の質向上を図っている例が多く見られます。

同じ自治体でも、公立・私立・認定こども園など施設形態によって、補助金や加算、配置基準の運用が微妙に異なるケースもあります。公立は自治体の直接運営のため条例で細かく定められ、私立は国と自治体の補助金を組み合わせた独自の人員配置計画を立てることができます。


施設類型による違い

保育士の配置基準は、「どの種類の施設で働くか」によっても変わります。


  • 認可保育園(保育所)

児童福祉法に基づく「認可施設」で、もっとも標準的な配置基準(0歳3:1、1・2歳5〜6:1、3歳15:1、4・5歳25:1など)が適用されます。

保育時間が11時間を超える場合は、延長時間帯における加配や朝夕の緩和措置なども組み合わせて運営します。開所時間が長い園では、早番・中番・遅番といったシフト制で保育士を配置し、どの時間帯でも基準を下回らないよう調整が必要です。


  • 小規模保育園(小規模保育事業A型・B型・C型)

0〜2歳児を対象にした定員6〜19名の小規模な認可施設で、型によって「全員有資格保育士」「半数以上保育士」など要件が異なります。

小規模保育事業(A型・B型・C型)は、型によって保育士割合や運営要件が異なります。たとえばA型は保育士配置を前提とした整理がされており、B型は一定割合以上の保育士配置が求められるなど、制度上の区分があります。詳細は自治体の要綱・運用も含めて確認が必要です。

少人数制のため、一人ひとりの子どもに手厚く関わることができる反面、職員数が限られるため急な欠勤時の対応などには工夫が求められます。


  • 認定こども園

「幼稚園+保育園」の機能を併せ持つ総合施設で、1号認定(教育標準時間)と2・3号認定(保育利用)で基準が異なります。

職員配置は、4・5歳児30:1、3歳児20:1、1・2歳児6:1、0歳児3:1など、幼稚園と保育所の基準を組み合わせた形で設定されますが、自治体や園の類型により細かい違いがあります。教育と保育の両方を担うため、保育教諭(幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を持つ職員)の配置が求められることも特徴です。


  • 認可外保育施設

国の配置基準を直接は適用しませんが、多くの自治体は独自の指導要綱を持ち、一定の職員配置や安全基準を求めています。

ベビーシッターや企業主導型保育などは、国や自治体の補助を受ける条件として、認可保育所に準じた配置基準や保育士割合を設定している場合が多くなっています。特に企業主導型保育事業は、認可外でありながら一定の基準を満たすことで運営費の補助を受けられるため、実質的には認可施設に近い配置基準が適用されるケースが増えています。

保育士の配置基準はどのように緩和された?

保育士不足が深刻な現代では、70年以上も昔に制定された配置基準を守ることすら難しいのが実情です。待機児童問題の解消を目指すべく、国は次のように基準を緩和しました。


■子どもが少ない朝夕の配置基準の緩和

利用者が少ない朝と夕方の延長保育において、常時2名以上の職員配置が必要ですが、保育士の残業が増えるなど、園に大きな負担になっていました。そのため、朝夕など児童が少数となる時間帯に限り、2人のうち1人は自治体の研修を修了した「子育て支援員」等を配置し、保育士としてカウントできる特例が設けられました。


■延長保育により8時間以上開所する際の配置基準の緩和

朝夕の延長保育を実施すると開所時間が8時間を超える場合、日中は年齢別の配置基準を満たしたうえで、園全体で常に2人以上の職員がいる体制が必要です。基準を超えて必要となる分は、保育士以外の自治体で研修を修了した子育て支援員等も保育士としてカウントできます。


■幼稚園教諭や小学校教諭の活用

幼稚園教諭、小学校教諭、養護教諭など、子どもと関係の深い免許の有資格者を、一定の条件のもとで保育士として活用できる特例も設けられています。ただし、子育て支援員などの研修を受けて保育に必要な知識を習得すること、全体の2/3以上は保育士を配置すること、という条件があります。

このように、以前の基準では保育士の有資格者に限られていたところを、資格を持たない人材を活用する内容に緩和されたのです。

保育士の配置基準の計算方法とは

配置基準は国や自治体、園の種類などで異なるため、どうやって計算すればいいか悩むはずです。そこで、保育士の人数の計算方法を、順を追って紹介します。


■地域の配置基準を確認する

保育士を計算する際、保育園のある地域の配置基準をもとに計算します。小規模認可保育園の場合は、配置している保育資格者の割合によって「A型」「B型」「C型」と分かれます。


■保育園の定員を確認する

0歳児〜5歳児まで、それぞれ何人の子どもが在籍しているかを確認しましょう。ここでは、100人の子どもがいると仮定し、次のように人数を設定します。

 ・0歳…5人
 ・1歳…10人
 ・2歳…20人
 ・3歳…20人
 ・4歳…20人
 ・5歳…25人


 ■子どもの年齢ごとに分け、人数を配置基準の定員数で割る

国の配置基準をもとに、上記の例を使って計算してみます。

 ・0歳…5人÷3人=1.66→2人
 ・1歳…10人÷6人=1.66→2人
 ・2歳…20人÷6人=3.33→4人
 ・3歳…20人÷15人=1.33→2人
 ・4歳…20人÷25人=0.8→1人
 ・5歳…25人÷25人=1→1人

(※割ったあとの小数点以下は繰り上げて計算)

計算した人数を足すと、この園では12人が必要になることがわかります。


■延長保育など特別に配置する人数を足す

上記の計算で出た数字は、あくまでも日中に必要な最低限の人数です。

朝夕の延長保育を実施する場合も、常に2人以上の職員(うち一定数は保育士)がいる体制をとる必要があります。

園長などの管理職も有資格者に含めますが、実際の保育に関わらないことがほとんどです。

そのため、年齢別の配置基準で計算した人数に、延長保育の時間帯や休憩・有給などを見込んでさらに1人以上追加するなど、園の実情に合わせた人員配置を考えることが大切です。

おわりに

子どもの年齢と人数に対し、保育士の人数を決める配置基準ですが、保育士不足が続く現在では基準を守ることも難しい状況にあります。

資格を持たない人を保育士としてカウントできるようにすることが、配置基準の規制緩和の主な取り組みです。

有資格者以外が携わることで保育の質の低下を懸念する声もありますが、専門知識を研修で補い、質を確保できるよう配慮されています。また、配置基準をもとにした計算方法は、あくまでも日中に必要な最低限の人数です。

延長保育や管理職の働きなどを考慮し、必要に応じて保育士の人数を増やすなど、保育の質を保つよう配慮しましょう。

この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(子育て奮闘中パパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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