保育士が重視すべき「福利厚生」とは?種類や選定時のポイントなどを解説!

2021.04.01 | 給料・環境
保育士にとって、職場環境・労働環境は重要なポイントとなります。
給与や賞与といった目に見えてわかりやすいものとは違い、職場環境や労働環境は求人情報などでは実際のところがわかりにくい待遇となります。
だからこそ、意識して確認する必要があると考えましょう。
今回は、保育士として長く務めるために、押さえておきたい福利厚生のポイントを解説します。

福利厚生について

福利厚生は雇用される側である保育士にとっては嬉しい制度ですが、雇用主である園にとっては予算が必要なものです。

それでもきちんと福利厚生を設け、職場環境や労働環境を整えている保育園は、保育士を大切にしていると考えられるでしょう。

そのような視点から考えても、福利厚生は大切な役割を担っています。

まず、福利厚生の基本を理解しておきましょう。

福利厚生には、「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の2つがあります。


■法定福利厚生

法定福利厚生とは、企業に対して実施が定められているもので、内容的には基本的なものとなります。

具体的には、次のようなものが該当します。


・雇用保険

雇用保険は、失業した場合に一定条件を満たしていれば、失業保険給付が受けられる制度です。

雇用保険費用、は保育園と保育士が半額ずつ負担する「労使折半」となっており、給与から天引きされます。


・健康保険

健康保険は、ケガや病気をしたときの治療費が軽減される公的医療保険です。

健康保険も労使折半が基本で、給与から天引きされる形で納めます。


・介護保険

介護保険は、40歳以上の加入が定められているもので、40歳以上の保育士の加入が義務づけられています。

保険料に関しては、こちらも同様に労使折半となっています。


・労災保険

労災保険は労働者災害補償保険のことで、保育士が勤務中や通勤中の負傷や、事故に遭った場合、業務災害・通勤災害として治療に必要な費用を給付する制度です。

労災保険は、企業側全額負担での加入が義務づけられています。

保育士の場合、園外に子どもをお散歩に連れていったり、送迎バスに同乗したりすることもありますから、欠かせない福利厚生といえるでしょう。


・厚生年金保険

厚生年金保険は、老齢になったときに受け取る年金に上乗せされる厚生年金に備える保険です。

厚生年金も、健康保険同様に保育園と保育士が半額ずつ折半する「労使折半」とされており、給与から天引きされます。


■法定外福利厚生

法定外福利厚生は、企業が任意で実施できる福利厚生を指します。

代表的なものでは交通費や家賃補助、育児関連サポートなどが法定外福利厚生に該当します。


■福利厚生の対象者

福利厚生は、給与以外に追加支給される「非金銭報酬」です。非金銭報酬である福利厚生は、正社員に限らず、パートやアルバイトなどの非正規社員も支給対象とされています。

正規雇用の保育士はもちろん、非正規雇用の保育士でも、勤務期間や勤務時間によって平等の福利厚生を利用することが可能です。

また、福利厚生の種類によっては、保育士の配偶者とその子どもたちなど、家族も対象とされているケースがあります。

どこまでが対象となるかを確認し、利用できる福利厚生はぜひ活用しましょう。

保育士就活で福利厚生は確認すべき?

就職活動中に、福利厚生について確認する必要はあるのでしょうか。

就職先として検討している保育園に対して、「福利厚生はどのようになっていますか?」と質問するのは、少々勇気がいることかもしれません。

待遇ばかり気にしていると思われたらどうしよう、と不安に思うかもしれませんが、福利厚生は就職先を選ぶうえで重要なポイントと考えましょう。

「こんな感じかな?」と想像して就職し、働き始めてから後悔するようなことがないように、事前にしっかりと確認することが大切です。


■福利厚生について質問するときのポイント

面接や説明会、見学会などで福利厚生について質問しすぎると、マイナスな印象を残しかねない危険性もあります。

そのため、福利厚生について質問するときには、質問するタイミングを慎重に見極めること、そして質問前には一言添えることがポイントだと考えましょう。

質問するタイミングとしては、福利厚生以外のことをある程度担当者と会話し、コミュニケーションがある程度とれた後が適切です。就職先の候補として真剣に検討していることが担当者に伝わってからの質問なら、応募を考えているからこその質問として、丁寧に回答してもらうことができるはずでしょう。このときに回答を曖昧にしたり、嫌な顔をしたりするような保育園は、福利厚生が充実していない可能性があるため、よく見極めてください。

また、質問をする際は単刀直入に本題に入るのではなく、なにか一言添えるようにしましょう。たとえば、結婚や出産などのライフイベントに関わる休暇について質問したい場合は「産休や育休制度はありますか?」と聞くのではなく、「この保育園で長く働きたいと考えていますが、産休や育休制度はありますか?」と質問します。

この一言があるだけで、担当者が「権利ばかり主張する応募者」と感じるか、「真剣に園で働くことを考えてくれている応募者」と捉えるかが大きく変わってきます。

実際に働くことを前提にしたうえでの質問は、担当者に悪い印象を残しにくいので、前向きな姿勢を示しながら質問するようにしましょう。

保育士就活で重視すべき福利厚生

就職先の保育園を選ぶときは、法定福利厚生はどの保育園でも変わらず用意されています。そのため、ぜひ法定外福利厚生について注目してみてください。


■交通費

通勤に必要な交通費は、福利厚生としてぜひ設定して欲しいポイントと考えて、チェックしましょう。

交通費支給には「通勤交通費全額負担」「交通費一部負担」「交通費一日1,000円まで支給」など、さまざまな設定があります。

交通費は毎日コンスタントに必要となる出費であるため、どの程度園側が負担してくれるのか、必ず確認するようにしてください。

また、マイカーでの通勤を検討している場合は、ガソリン代支給はあるのか、駐車場はあるのか、駐車場がない場合は駐車料金支給があるかなども確認しましょう。


■住宅手当・家賃補助

住宅手当や家賃補助は、一人暮らしを検討している場合、大きなメリットがある福利厚生です。

賃貸マンションやアパートで暮らす保育士に対して、保育園が支払う補助金が住宅補助・家賃補助です。

こちらも、園によって「上限5,000円まで」「家賃の5割支給」など、さまざまな設定があります。一人暮らしをする場合、住宅手当や家賃補助の有無でかなり出費が変わってきますから、必ず確認するようにしてください。

住宅手当や家賃補助がない場合でも、社員寮や借り上げの社宅を用意しているケースもあります。社員寮や借り上げの社宅を利用すると、自己負担ゼロまたは少額の負担で住居を確保することが可能です。

保育園の近くにあることが多いため、出費を抑えられるだけでなく、通勤時間短縮にもつながる、メリットの大きな福利厚生制度といえるでしょう。

 

■昼食代補助

保育士の場合、昼食は子どもたちが食べる給食を一緒に食べるスタイルが一般的です。

その場合、給食費は給与から天引きされますが、保育園によっては「給食無料」という福利厚生が設定されていることもあります。

給食無料ということは、昼食代が必要ないということです。毎日のことですから、これも日々の出費を抑えられる嬉しい福利厚生といえるでしょう。

給食無料ではなくても、給食費の一部を昼食代補助として支給してくれるケースもあります。

子どもたちのために栄養バランスが考えられた給食を、福利厚生として安く食べられるというのは、保育士にとっても大きなメリットといえるでしょう。


■特別休暇

特別休暇とは、有給休暇とは別に保育園が独自で設定している休暇のことです。

ライフワークバランスを考えるうえで、特別休暇はとても重要なポイントとなります。

具体的に、どのような特別休暇があるのか見ていきましょう。


■夏季休暇

夏季休暇は、夏休み期間中に取得できる休暇です。

保育園によっては、夏季休暇が実は特別休暇ではなく有給休暇扱いだった、ということもあるようですから、あらかじめどのような扱いになるのかを確認しておくといいでしょう。


■リフレッシュ休暇

年に一度、リフレッシュを目的として取得できる休暇です。

勤続慰労を目的としているため、一定年数勤務した保育士が対象になるケースもあります。


■慶弔休暇

保育士自身が結婚したり、身内に不幸があったりした場合に取得できる休暇です。

休暇の日数は、保育園によって設定が異なります。


■バースデー休暇

保育士自身の誕生日に利用できる休暇が、バースデー休暇です。

誕生日当日ではなくても、誕生日前後1週間以内であれば休暇がとれるケースもあります。

特別休暇は、保育士が安心して働ける環境整備という意味合いだけではなく、保育園が保育士を大切にしているという姿勢の表れとなります。

基本的に求人票の福利厚生欄に記載されていますから、チェックしてみてください。


■退職金

保育園によっては、退職金制度を導入している園もあります。

仕事をしていれば、さまざまな事情で退職のタイミングを迎える可能性は誰しもあります。退職が結婚や引っ越しなど資金が必要な時期と重なることもあるでしょう。

そのようなときに、まとまったお金を受け取れる退職金制度は、心強い存在となります。

志望園を決めるときには、ぜひ注目しておきたいポイントですね。

福利厚生の注意ポイント

「福利厚生が充実している」といっても、園によって内容はさまざまです。

どのような福利厚生制度があるのかは、基本的に求人票に記載されていますから、まずはその内容を確認しましょう。

そのうえで、よくわからないところがある場合は、採用担当者に質問するようにしてください。


■福利厚生が負担になるケースも

福利厚生として社員旅行やクリスマスパーティー、忘年会などのイベントが開催される保育園もあるようです。

保育士同士の交流を深めることを目的とした福利厚生ではありますが、強制参加ではないとされていても、暗黙のルールとして参加せざるを得ない状況になっているケースもあるでしょう。

イベントが好きな人には嬉しい福利厚生といえるかもしれませんが、タイプによってはイベント自体がプレッシャーとなり、憂鬱になる人もいるかもしれません。

また、子育て中にパートとして仕事をしたいのに、夕食会や飲み会が頻繁に開催される職場だと、断り続けることが苦痛になることも考えられます。

福利厚生としてイベントが開催される職場の場合、その福利厚生が自分にとってプラスに作用するかどうかを性格やライフスタイルと照らし合わせて考え、しっかりと考えることも重要です。

志望園として検討している園の求人情報の福利厚生に「各種イベント」などと記載されている場合は、内容を確認することをおすすめします。


■志望理由を福利厚生だけにしない

志望する園を探しているときに、福利厚生が充実していて「この保育園で働きたい!」と思う園と出会ったとしても、志望動機に書く際にはそれを一番の決め手としないようにしましょう。

福利厚生の充実に力を入れている保育園だとしても、それだけが理由で自分たちの園を志望しているとなると「うちの園には、ほかに魅力はないのか」と感じてしまいます。

保育園は保育をする場所ですから、教育理念や保育方針など自分たちの掲げる保育活動に共感してくれる保育士を求めています。

もちろん、福利厚生も志望理由の一つとして挙げるのはよいのですが、あくまで条件の一つとして扱いましょう。

福利厚生だけに注目しているように担当者の目に映ってしまうと、それは自分の働きやすさにだけ注目している志望者というマイナスな印象が残る危険性もあります。

福利厚生もしっかり確認しましょう

就職活動は、企業から採用される時代から、応募者も企業を選ぶ時代を迎えています。

保育士も、それは同じです。

採用されることを目的とするのではなく、自分が働きたいと思う職場を探すことが、就職活動と考えましょう。

そして、働きたいと思う職場を見極めるポイントとして、福利厚生についてもしっかりと調べるようにしてください。

安心して働ける環境が、保育士として活躍するためにはとても大切なポイントとなります。

この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。