信頼される保育士を目指そう!保護者対応のコツ

2022.05.25 | 給料・環境
保育士にとって、保護者対応はとても重要な仕事です。
保護者は、自分の大切な子どもを預ける園に対して、日常的に園生活に関わる質問や、疑問点があれば問い合わせ、場合によっては育児相談されることもあります。
今回は、保護者対応が必要なシーンや対応方法などについて解説します。

1.保護者対応が必要なシーンとは

保護者対応が必要なシーンには、どのようなものがあるのでしょうか。

1.1.保育方針に対する改善要求があった場合

どの保育園でも、子どもが心身ともに健やかに成長できるよう考え、そのうえでその園として保育方針を掲げて運営を行っています。

しかし、この保育方針が保護者の育児方針と大きくかけ離れていると、保護者から「その保育方針はどうなの?」と疑問を抱かれ、保育方針に対して改善要求をされてしまうケースもあります。

保育方針に対して、具体的な改善要求があった場合は、迅速に対応する姿勢が必要です。ただし、園の保育方針というのは、とても重要なものですから、すべてを保護者ファーストである必要はありません。

このような園の運営方針に関わるような要望を受けた場合は、園長先生や先輩保育士に相談しましょう。

1.2.保護者からクレームがあった場合

保護者からは様々なクレームを受ける可能性があります。

ママ友関係や子ども同士の相性が悪いなど、場合によっては園には関係のない理不尽なクレームまで園に訴えてくるケースもあります。

園に落ち度がないにも関わらず、一方的に、身勝手な言いがかりを保護者が伝えてくるような場合は、正面からすべてを受け止めていては、きりがありません。

あくまで、クレームの本質的な原因を突き止め、可能な範囲で対応する姿勢が重要と考えましょう。

2. 保護者がチェックしている対応ポイントとは?

保護者が保育園に対して、日頃からチェックしているポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。

2.1.子どもと信頼関係が築けているか

大切な子どもを1日中預ける相手ですから、まずは保育士と子どもが信頼関係を築けているかを、保護者は非常に気にしています。

また、信頼のおける保育士であるかどうかも、チェックされていると考えましょう。


保護者の一番の願いは、子どもが楽しく園生活を過ごすことです。

保育士に「あの保護者、子どもは問題がある」と認識され、対応されることを望んではいません。

多少、保育に不満があったとしても、子どもが先生を慕っていて、信頼していれば、面談などのタイミングで相談することはあっても、逐一園に相談はしないでしょう。


そういった関係性を構築するためには、まず子どもたちと信頼関係を築くことがとても大切です。

信頼関係を築くためには、子どものことをまず信じましょう。

そして、問題があった場合は、その言葉や行動を否定したり、叱るだけではなく、一度認めることから始めてください。


おもらしをしてしまった時には「おもらししちゃったね」、お友だちをたたいてしまったら「お友だちをたたいてしまったのね」というように、一度その行動を受け止め、寄り添います。

自分を受け入れてもらえたと子どもが感じることで「どうしてそうしてしまったのかな?」と原因を見つけて、「これからは、しないようにしようね」と促しやすくなります。


また、口調にも注意が必要です。

子どもに不安を感じさせないような、優しい口調で伝えることを意識しましょう。

2.2.若くても保育のプロであることを感じられるか

新卒の保育士の場合、保護者からすると「若い子」という印象がどうしてもあります。

いくら若くても、保育士は保育の勉強をし、資格試験に合格したプロです。

そのことに自信と誇りを持って、仕事に取り組んでください。


保育士自身が「これで大丈夫かな?」「私がここまで判断していいのかな」と迷いながら対応していると、その気持ちは保護者や子どもに伝わります。

経験が浅いのは、仕方のないことです。

それを理解し、そのうえで「自分はプロである」ことを自覚して、対応するようにしましょう。

3. 保護者と信頼関係を築く対応法

3.1.日頃から子どもの様子を具体的に伝える

保育士と保護者は、登園・降園時や、連絡ノートなど、さまざまなタイミングでコミュニケーションを図る場面があります。


保育士は、1名で複数の子どもを担当しています。

それぞれの保護者と、細やかにコミュニケーションをするのは大変かもしれませんが、日々の小さな積み重ね次第で保護者との信頼関係は大きく変わります。


日頃から笑顔で挨拶をすることはもちろんですが、一言でもその日にあったことや、子どもの様子を伝えるようにすることで、保護者は「この保育士は、きちんと子どものことを見てくれている」と安心します。


保護者のなかには「先生は、いつも忙しそうだからな」と遠慮をして、相談があってもできずにいるケースもあります。

そのような場合は、何かトラブルが起きてから急に「こういう悩み、問題を抱えていたのに、対応してくれなかった!」と保護者からの不満が出てしまうこともあるのです。


「登園・降園の短い時間では、コミュニケーションを図るのは難しい」と感じる場合は、連絡ノートなどを活用しましょう。

連絡ノートは、保育士にとっても、保護者にとっても書くのが大変という面も確かにありますが、自分の子どもの園での様子を知ることができる、大切な連絡手段と感じている保護者も多いのです。

3.2.ネガティブな話をする時にこそ笑顔で

子ども同士のトラブルや問題行動等を保護者に伝える場面というのは、保育士にとって大変難しい場面といえます。

だからこそ、保護者に報告をする時には、笑顔を心がけましょう。

保護者は、保育士から声を掛けられると「うちの子が、何か問題を起こしたのでは?」と不安に感じる人も多くいます。

そうすると、保護者も緊張してしまい、話し合いの場がとても重苦しいものとなってしまうのです。


それを避けるためにも、まずは笑顔で、相手の目を見ながら、早口にならないように話をするよう心がけてください。


内容によっては「こんな深刻なトラブルを、笑いながら話すなんて!」と感じる保護者もいますから、加減が難しい面もあるでしょう。

ですが、保護者に理解を得て、信頼関係を築きながら、ともに子どもを正しい方向に導くためにとても大切なことです。

状況によっては笑顔でなくても、ゆっくりとした口調で、相手の目を見ながら話をするように心がけましょう。

自信のない保育士が、不安気な様子で子どもの問題点を保護者に伝えると「なんでこんなことを、この先生に指摘されなくてはいけないの」と保護者が反発する可能性もあります。

だからこそ「自分は保育のプロである」という自信を持って、保護者対応をすることが大切なのです。


保育士が、問題を解決したい、その子どもを何とかしたいという思いを持って話をすれば、その気持ちは保護者にも伝わります。

保護者としても、子どもが問題を抱えているなら、それをできるだけ早く解決したいと思っているはずですし、それを手助けしようとしてくれる保育士の存在は心強いものです。

「うちの子に、そんな問題があるなんて」と、最初はとても信じられないという反応が見られるケースもありますが、保育士の対応次第で保護者も次第に理解をし、問題に向き合うようになります。


どうしても保護者が問題を認めない、園側の対応に不満があるなどの場合は、園長先生や先輩保育士に対応を相談しましょう。

自分一人で抱え込まないことも大切です。


どのようなトラブルも、長い目で見た時に保育士人生における経験となり、必ず役立つ時がきます。

4.よくあるトラブル

それでは、よくある保護者対応が必要とされるトラブルを見ていきましょう。

4.1.園の行事関連のトラブル

園の行事では、たくさんの子どもが一人ひとり輝ける場を設けるように、準備を進めるのが園の役目です。

しかし、自分の子どもが与えられた役割に不満を感じ、意見してくる保護者もいます。

そのような保護者には、どんな役でも大切な役割があることを伝え、理解してもらうようにしましょう。

4.2.子ども同士のケンカ

子ども同士がケンカをした場合、それは大変だと保育士に相談する保護者もいます。

園での方針にもよりますが、子ども同士のケンカは基本的に保護者を介さずに子ども同士で話し合いをさせることが大切です。

その上で、保育士は中立の立場を貫きましょう。

ただし、子どもからの報告では状況を理解しきれず、不安に感じる保護者もいると思います。状況に応じて、保護者に報告をすることも必要と考えてください。

4.3.園の方針に対して保護者から意見されたケース

園の保育方針に対して、保護者から意見された場合は、まずはその意見を受け止めましょう。意見を受け止めるというのは、その保護者の言いなりになるのではなく「こういう意見があった」と聞くということです。

意見をされると人は過剰に反応し、落ち込んだり、ショックを受けたり、怒ってしまうこともあります。ただ素直に受けることで、トラブルに発展するリスクを避けることが可能ですので、一つの意見として園内で共有しておきましょう。

5.「この保育士に任せて入れば安心!」と一目置かれる保護者対応のコツ

保護者対応には、押さえておきたいいくつかのコツがあります。

5.1.いつでも丁寧な対応を心がける

保護者対応でとても大切なのは、保護者の言葉、そして子どもの言葉に耳を傾けることです。

問題の本質がどこにあるかを見極めるために、これはとても重要になります。


日常業務だけでも忙しいため、日々の対応がそこまで及ばない状況になることもあるでしょう。日頃から丁寧な対応をしていることで、保護者にその誠意は伝わります。

トラブルや相談といった場面に限らず、日頃から保護者や子どもから話しかけられたら耳を傾け、相手の気持ちに寄り添うように、丁寧な対応を心がけましょう。

何か伝えたいことがあるからこそ、保護者は保育士に話しかけています。

嬉しかったこと、悲しかったこと、不満、問題視していることなど、伝えたいことはさまざまでしょう。

その内容がどのようなものであっても「保護者、そして子どもの気持ちを理解していますよ」と伝えるために、まずは聞く耳を持ち、そしてその気持ちに共感することが保護者対応のコツの一つです。

話をしているうちに保護者の気持ちが落ち着くこともありますから、まずは誠意を持って、丁寧な対応をするようにしましょう。

5.2.言葉の選び方は慎重に

保護者や子どもたちと話をする時には、言葉を慎重に選ぶようにしましょう。

基本的には、ネガティブな言葉や命令するような口調は避ける必要があります。

そういった言葉は、子どもの意欲低下や、保護者から「あの保育士はいつも否定ばかりする」といった印象を持たれるリスクを高めると考えてください。


基本的には「子どもを信じている」というスタンスで、問題行動やトラブルがあったとしても何か理由がある、原因があると考え、それを聞き出すことを一番に考えましょう。


保護者や相手の事情や、立場を理解して、そのうえで共感することがとても大切です。

気持ちに寄り添うためにも、相手が心に壁を作ってしまうような強い表現や、否定的な言葉は避け、共感し、寄り添う言葉選びを心がけましょう。

5.3.保育士同士の対応を統一しておく

「保育士によって、対応が違う」というのは、保護者が不信感を募らせる原因となります。

トラブルに同じものは基本的にありませんから、マニュアル化してもそれが万能とはいきません。

しかし、基本的な方向性を園内で統一しておくことが、保護者に不安を与えないためにもとても重要です。


経験が浅い段階で、保護者対応に悩んだ時には「園として、どのように対応しているか」を、園長先生や先輩保育士に確認し、共有しておきましょう。

どの保育士に相談しても同じ対応をされるとなれば、保護者も「対応に統一感がある」という点で、園を信頼しやすくなります。


保護者対応が必要になった時は、それをいい機会と考え、園の方針を確認するようにしましょう。

6.マニュアルよりも、大切なのは「心のこもった対応」

保護者対応の難しさは、それぞれの立場や考え、気持ちがあるという点にあります。

相手の気持ちに寄り添い、意見を受け止めること、そして丁寧な対応を心がけることが、保護者対応のコツです。

保護者が保育士を信頼していれば、子どもたちも安心して保育園生活を楽しむことができます。お互いに幸せな保育園生活を送るためにも、参考にしてみてください。


子どもも、保護者も、保育士も人間ですから、トラブルにはさまざまなケースがありますし、全員が同じ対応をするのは難しいため、ある程度の方向性を統一しておくことは重要です。

この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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