保育士の目標はどう設定する?目標例や設定のコツを詳しく紹介
日々忙しくしていると、目標設定も業務の一環としてこなすことと考えてしまいがちかもしれません。しかし、保育士として仕事をしていくうえで、目標設定は自己の成長や園全体の発展にも非常に関係する、重要なポイントです。
今回は「保育士の目標設定」について、考えてみましょう。
保育士が目標を設定する目的・意味とは?

保育士が目標を設定する意味には、次のようなものが挙げられます。
■スキルアップのため
保育士としてのスキルは、保育学校で勉強しただけでは身に着けられるものではありません。日々の業務の中で実践的に身につけるものもあれば、先輩保育士から教えてもらったり、研修で習得したりするものもたくさんあります。
ただ漠然と日々の業務をこなしていると、せっかくの学びのチャンスを逃してしまうこともあるので、いつでも「自分のスキルアップにつながるかもしれない」ということを意識し、設定した目標を念頭に置いておきましょう。
具体的に目標を立て、自分なりに課題を把握しておくことで、あらゆる場面で「これは、あの目標を達成するのに役立つ」と具体的に意識することができ、学びがより深まります。
目標を持ち、意識して保育士の仕事に取り組むことで、保育士として将来的なスキルアップにもつながるのです。
■仕事に意欲的に取り組むため
具体的に「いつ」までに「何」をできるようにしておくか、期日を決めて目標を設定しておくことで、少しずつ目標達成に近づく感覚を得ることができます。
また、達成感ややりがいを感じることができ、日々自分の成長を感じることにもつながります。
結果として、仕事に対して意欲的に取り組むことができるようになるでしょう。
■自己評価・人事評価に活用するため
目標を設定しておくことで、自己評価や人事評価の際にひとつの目安とすることができます。
保育士の仕事は、数値化できるものではありません。だからこそ評価が難しいのですが、目標を設定しておけばその達成度を振り返ることができます。
自己評価や人事評価の際にも大変役立ちますから、そういった意味合いでも目標設定は重要であると認識しておきましょう。
■園の目標達成のため
保育園としても、毎年目標設定を行っています。
保育士個人の目標も、この円全体の目標と紐づいた内容となることが一般的です。
園で仕事をしている保育士全員が園の目標を理解し、各自が自分の目標に向かって努力していくことで、園全体の目標達成は成し遂げられます。
園全体の目標を達成するためにも、自身の目標設定は重要となります。
■後輩の育成に役立てるため
目標の中には、自分自身の成長に関するものだけでなく、後輩保育士の成長に関するものを設定する場合もあります。
後輩を育成する際は、目標を持たずに教えるのではなく、「後輩に○○を身に着けてもらう」など目指すところを明確にすることで教育に取り組みやすくなります。
また、このとき過去に自分が取り組んだ経験が生きることになります。「自分が新人のとき、どんなことを目標としていたか」「その際どんなところでつまずいたか」など、目標達成に向けて努力した経験を、育成に役立てていきましょう。保育士の目標設定の方法

では、具体的な目標設定方法について、見ていきましょう。
■自分の現状を分析する
まずは、自分の現状を分析することから始めます。客観的な姿勢を持ち、反省すべき点を洗い出しましょう。
反省点が明確化したら、次に自分が苦手なことを書き出し、続いて得意なことも書いていきます。
このとき、思いつく限り、できるだけ細分化して書くことが大切です。
ただし、苦手なことばかり書いていても、モチベーションが低下してしまいますから、得意なこともしっかりと書き出し、苦手は克服し、得意を伸ばす目標を設定してください。
スキルアップのために重要な手順ではありますが、苦手ばかりが目につくとやる気を喪失してしまいます。
スキルアップ・モチベーションアップを意識して、作業を進めましょう。
■大目標と小目標を決める
目標を設定するときは、大きな観点での目標と、それに到達するまでのスモールステップとなる小目標を決めていきましょう。
いきなり大きな目標だけを立てると「たどり着くのが大変そう」と、モチベーションが下がることもあります。
でも、スモールステップなら一つひとつのハードルが下がり、モチベーションを上げやすくなります。
小さな成功体験を積み重ねて、自信をつけて、モチベーションを上げていきましょう。
■目標達成に向けた具体的な取り組み内容を決める
目標を立てたら、その目標を達成するために具体的にどのようなことをすれば良いかを考え、取り組み内容を決めていきます。
アクションの内容は「ちょっと細かすぎるかな」と思うくらい詳しく書くことがポイントです。これは自分がどのように動けば良いかをイメージすることにもつながります。効果的な目標を設定するためのコツ

効果的な目標設定とは、どのようなことでしょうか。
最短ルートで目標を達成させること、効率よく行動することも大切ですが「達成させることを目標とした、低すぎる目標」を立ててしまうと、本来の目的から外れてしまいます。達成しながらスキルアップし、園全体の発展につなげることこそが、最終的な目的と考えてください。
では、効果的な目標設定のためのコツについて、3点解説します。
■具体性のある目標にする
目標を設定する際は、漠然とした目標は避け、できるだけ具体的な目標を設定しましょう。
ポイントは、目標に「数字や期限を入れる」ことです。
「○月○日までに○○をできるようになる」
「○○回以上、取り組む」
「○○日間継続する」
などというように、数字を入れた目標を立ててみてください。曖昧な要素がなくなり、何をしなければならないかがより明確になります。また、後から振り返りを行う際にも、数字が入っていることで自分の成長が実感しやすくなります。
■上司や同僚からの評価も参考にする
目標設定する際には、上司や同僚といった第三者からの評価も参考にしましょう。評価を受け、そのうえで自分に不足している能力などを振り返ります。
自分ひとりで考えていると、自分を過小評価してしまうことや、逆に過大評価してしまうこともあるため注意が必要です。第三者の目が入ることで、自分では見えない長所や短所に気づくことができ、課題を見つけやすくなります。
また、評価を聞いてみることで、上司や同僚からアドバイスを受けられることもあります。「自分が今、何に悩んでいるか」を周囲に表明することで、助けてもらえることもあるのです。
■頑張って達成できるくらいの目標にする
一生懸命で、やる気があればある人ほど、高すぎる目標を設定してしまいがちです。
自分の理想とする姿を掲げ、努力することは素晴らしいことですが、あまりに高い目標を立ててしまうと到達するまでの道のりが遠すぎて、途中で挫折してしまうこともあり得るでしょう。
自分の能力よりも少し難しい目標を達成しておくと「あと少し頑張れば、目標が達成できそう!」という気持ちになり、積極的に日々の業務にも取り組めるので、おすすめです。保育士の目標設定の例

続いて、保育士の目標設定の例を見ていきましょう。
紹介する目標例はいずれも大まかなものですが、ここに自分の環境に応じて「回数」や「期限」などを加えて、より具体的な形にすることをお勧めします。
■新人1年目の目標
新人1年目の目標は、新人だからこそ「今頑張りたいこと」を目標として設定するとよいでしょう。
まずは保育士として独り立ちすること、そして社会人として自覚を持った行動ができるようにすることが重要です。
また、ビジネスマナーを身に着けることも必要となりますので、こうした部分も含めて目標を設定していきましょう。
【目標設定の例】
「保育士として、日常の保育業務を一人で行えるようにすることが目標です」
「社会人として責任感を持って動くことを念頭に、マナーや言葉遣いを意識します」
「積極的に読み聞かせをし、子どもたちに信頼してもらえるよう心がけます」
「職場の先輩方はもちろん、保護者や子どもたちともコミュニケーションをしっかりと図れるようにします」
「報告・連絡・相談を徹底し、安心して仕事を任せてもらえるように、自分から積極的に動きます」
■新人~中堅(~7年目ごろ)
3年目になると、一通りのことは理解し、できていることが前提となります。
そして、まだまだ若手ではあるものの後輩の育成を任されるようになるのもこの頃です。
5年を超えると、キャリアプランを視野に入れる時期となりますから、そのあたりも意識して目標を立ててください。
保育士のキャリアアップには、職務分野別リーダー、専門リーダー、副主任保育士、主任保育士、園長の5段階があります。中堅保育士は、職務分野別リーダーや専門リーダー、副主任保育士を目指すことになりますから、キャリアアップのために必要な研修に関する目標を立てるのも良いでしょう。
目標として宣言することで、周囲からのサポートも得やすくなります。
【目標設定の例】
「園全体の目標を意識した保育を実施します」
「後輩にも目を向けて、教育や相談なども積極的に取り組んでいきます」
「職務分野別リーダーへのキャリアアップを目指し、キャリアアップ研修に参加したいと考えています」
「副主任保育士を目指して、受け持ち以外のクラスとも積極的にかかわりを持ち、園全体を見通せる力を身に着けたいです」
■ベテラン(7年目ごろ~)
7年目を超えると、保育士としてはベテランの域となります。
役職についていない場合でも、園全体を見ながら子どもたちの様子はもちろん、保育士たちがそれぞれの持つ能力を発揮しやすい環境を整えることが役割と考えましょう。
責任も伴いますが、その分やりがいの大きなポジションとなることは間違いありません。
そのあたりも意識しながら、目標を設定するようにしてください。
【目標設定の例】
「マネジメントを学び、リーダーシップを発揮できる知識を身に着けたいと思います」
「子どもたち、保護者が安心して過ごせる、安全な環境づくりに取り組みます。そのためにも、施設の衛生・安全管理は徹底していきます」
「保育士のキャリアアップ研修を受講して、スキルアップを図ります」
目標の達成状況を振り返ろう
目標を設定したら、達成状況を確認し評価することも重要です。頻度としては、3か月に1回くらいが目安となります。
進捗を確認すると同時に、目標達成に向けて取り組みを進められているか、目標とは違う方向に進んではいないかを確認し、場合によっては軌道修正していきましょう。
■自己評価の目的
自己評価は、自分が立てた目標の進捗を確認し、日ごろの保育に対する達成度を確認する作業です。
日々の業務に追われてしまいがちとは思いますが、改めて目標を意識することで、自己研磨することができます。
■自己評価の方法
自己評価の際は、目標設定時に立てた内容と自身の達成状況を一つひとつ確認していきましょう。このときに、作成しておいた「小目標(スモールステップ)」が目安として役立ちます。
一つひとつの小目標についてクリアできたかどうかチェックをつけていくことで、目標に対する進捗が可視化でき、できている部分とできていない部分が明確になります。
少しずつでも着実に、目標に向けて歩みを進めていることが実感できると、モチベーションアップにもつながります。目標をクリアしていく喜びを知って、効果的なスキルアップを目指そう
仕事に対するモチベーション維持や、スキルアップのためにも、目標設定は重要です。
目標を立て、実行し、それを評価し、新しい目標を立てるという日々の繰り返しですが、長い年月で見るとそれが大きな成長につながります。
目標設定は、自分の成長に欠かせないものと考え、苦手なことや、できたら良いなと思うことをクリアしていく手段として楽しんでみてください。

保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。
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