保育園/幼稚園/認定こども園実習先の選び方。後悔しない実習先選定のポイントとは?
しかし、いざ実習先を選ぶと「自分に合っていない園を選んでしまって、実習中に後悔した」「反対に、とても良い環境で学びが深まり、自分の保育観が確立できた」こうした声は少なくありません。
この記事では、保育園や幼稚園、認定こども園の実習で後悔しないための実習先の選び方を、徹底的に解説します。実習先の種類から選定のポイント、準備すべきことまで、具体的なチェックポイント形式でまとめていますので、この記事を読めば、きっとあなたにぴったりの実習先を見つけ、実りある時間を過ごすことができるはずです。
実習先の保育園・幼稚園・認定こども園を選ぶ前に知っておきたい基本情報
実習先を選ぶ前に、まず保育園・幼稚園・認定こども園の種類や実習の目的を理解しておきましょう。これらを把握しておくことで、より自分に合った実習先を見つけるヒントになります。
実習先の種類:保育園(私立/公立/企業内保育/認可外)
一口に「保育園」と言っても、その運営主体や形態によってさまざまな種類があります。それぞれの特徴を理解し、自分の興味や将来の目標に合う園を見つけましょう。
公立保育園
- 特徴:市町村などの自治体が運営しています。保育方針やカリキュラムは標準的で基本に忠実な保育を学びやすいのが特徴です。また、安定した運営体制も強みです。
- メリット:公務員である公立保育士の働き方や、公的な運営体制について学ぶことができます。
- デメリット:組織的でマニュアルに沿った保育に触れられる一方、自由度の面で制限があると感じる学生もいるかもしれません。
私立保育園(社会福祉法人・学校法人など)
- 特徴:社会福祉法人や学校法人、NPO法人などが運営しています。英語教育やリトミックなど独自の特色を打ち出す園もあり、柔軟な保育の取り組みを実習を通して体験できます。
- メリット:園の理念や特色がはっきりしているため、自分の目指す保育と合致する園を選べば、理想的な経験ができます。
- デメリット:園によって実習生の受け入れ体制や雰囲気が大きく異なるため、事前の情報収集がより重要になります。
企業内保育園(事業所内保育園)
- 特徴:企業が従業員の子どもを預かるために設置している保育施設です。比較的新しい園が多く、定員が少なく小規模な園が多い傾向にあります。
- メリット:異年齢保育や少人数保育など、大規模園とは異なる保育スタイルで子ども一人ひとりと丁寧に関わる経験ができます。
- デメリット:大規模園に比べてイベントや集団活動の経験は少なめになります。実習生の受け入れ体制がまだ整っていない園もあります。また、一般的な保育園とは異なる独自の働き方や保育方針を持つ場合があるので、事前に確認が必要です。
認可外保育園
- 特徴:国の認可基準外で運営される保育施設です。ベビーホテルや託児所、一時預かり専門の施設なども含まれます。
- メリット:独自のユニークな保育方針や、自由な発想の保育を実践している園が多く、多様な保育を体験できます。
- デメリット:実習生の受け入れ実績が少ない園もあるため、事前の確認が必須です。また、認可外ならではの運営上の課題を学ぶ機会にもなります。
実習の目的
実習は「経験を積む場」であると同時に、自分の将来を見据える大事な時間です。単に保育の現場を体験するだけでなく、いくつかの重要な目的があります。この目的を明確にしておくことで、実習中の学びをより深めることができ、実習後の満足度も変わってきます。
- 保育士の役割と仕事内容の理解:遊びの提供や食事の介助だけでなく、書類作成や保護者対応など、保育士の多岐にわたる仕事内容を肌で感じることで、保育現場での実際の流れを学ぶことができます。
- 子どもとの関わり方の実践:子どもとの関わりを通じて発達段階に合わせた言葉がけや、遊びを通じたコミュニケーションの方法を実践的に学びます。
- 保育の専門知識の応用:講義で学んだ保育理論や子どもの発達に関する知識を、実際の現場でどのように活用するかを体験します。
- チームとしての保育の理解:他の保育士との連携や、情報共有の重要性を学び、チームで子どもを育むという意識を養います。
実習先の種類:幼稚園(公立/私立)
幼稚園は、文部科学省の管轄のもと、満3歳から小学校就学前の子どもを対象に教育を行う施設です。実習では、教育者としての子どもとの関わり方や指導方法を学びます。
幼稚園の教育は、「幼稚園教育要領」に基づき、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域を総合的に扱い、計画的かつ遊びを中心とした教育活動が行われます。
また、園ごとに教育方針・理念やカリキュラム、保護者との関係性、取り組む分野(英語、体操、音楽、モンテッソーリ教育など)に大きな違いがあるのも幼稚園の特徴です。そのため、自分の学びたい教育内容や雰囲気と合う園を選ぶことが重要です。
公立幼稚園
- 特徴:市町村などの自治体が運営しています。教育方針やカリキュラムは教育要領に沿った標準的な内容が多く、基本的な幼児教育を学びやすいのが特徴です。
- メリット:公務員である幼稚園教諭の働き方や、公的な運営体制について学ぶことができます。地域に根ざした教育を実践している園が多いです。
- デメリット:私立に比べると園の数が少なく、実習先の選択肢が限られる場合があります。
私立幼稚園
- 特徴:学校法人などが運営しており、園によって教育理念や特色が大きく異なります。英語教育、モンテッソーリ教育、スポーツ、音楽など、特定の分野に力を入れている園も多くあります。
- メリット:独自の教育方針を持つ園が多いため、自分の興味や理想とする教育を実践している園で、専門的な知識や指導法を深く学ぶことができます。
- デメリット:園の方針によって実習内容や雰囲気が大きく異なるため、自分の学びたいことと合っているか、事前の情報収集がより重要になります。
また、私立幼稚園では家庭との連携に力を入れている園も多く、保護者との関わり方や行事運営なども公立と違った経験につながります。園の方針が学びの質に大きく影響するので、実習前に各園の教育理念や活動内容、保護者向け情報などをよく調べておくことが大切です。
実習の目的
- 教育者としての指導力の基礎を養う:大学などで学んだ教育理論を実践の場で応用し、子どもたちの発達段階に応じた指導計画の立案や教材準備、クラス運営の基礎を学びます。
- 子どもの理解を深める:子ども一人ひとりの興味や関心、発達の様子を観察し、個々に応じた適切な援助や声かけの方法を実践的に習得します。
- 幼稚園教諭の役割と職務内容の理解:日々の教育活動だけでなく、行事の企画・運営、保護者との連携、園務分掌など、幼稚園教諭の多様な役割と責任を理解します。
- 自己の課題発見と今後の学習への動機づけ:実習を通して自身の得意なことや苦手なことを把握し、今後の学習やスキルアップに向けた具体的な課題を見つける機会とします。
幼稚園実習では、教育方針やカリキュラムの違いが現場での学び全体に直結します。自分が理想とする教育観や将来実践したい内容に合わせて実習先を選ぶことで、より充実した経験を積むことができます。
実習先の種類:認定こども園(教育・保育一体型施設)
認定こども園は、「保育園」と「幼稚園」の両方の機能をあわせ持つ施設です。内閣府が所管しており、保護者の就労状況に関わらず、すべての子どもに対して教育・保育を提供できるのが特徴です。
2006年に制度化され、近年では全国的にその数が増加しています。多様な家庭や地域のニーズに対応できるため、保育士・幼稚園教諭の両方の資格を活かせる現場として注目されています。
認定こども園は大きく分けて4つのタイプがあります。
- 幼保連携型:幼稚園と保育所の両方の機能を持つ代表的な形。
- 幼稚園型:既存の幼稚園が保育機能を追加して認定を受けたもの。
- 保育所型:既存の保育園が教育機能を強化して認定を受けたもの。
- 地方裁量型:自治体が独自の基準で設置したタイプで、地域特性に応じた柔軟な運営が可能。
園によって運営母体や教育内容、職員構成が異なるため、実習では保育士・教諭それぞれの視点で幅広い学びが得られます。
メリット
- 教育と保育の両面を学べる:保育園的な生活リズムの支援と、幼稚園的な教育的活動の両方に関わることができます。
- 多様な年齢・環境の子どもと接する経験:0歳から就学前まで幅広い年齢の子どもと関わるため、発達段階ごとの支援を実践的に学べます。
- チーム保育・教育連携の理解が深まる:保育士・幼稚園教諭・栄養士など、多職種が協働する現場を体験でき、チームで子どもを育てる力が養われます。
デメリット
- 教育・保育双方の業務内容が多岐にわたるため、現場の動きが複雑に感じる場合があります。
- 園ごとの体制差が大きく、実習の内容や指導方針にばらつきがあるため、事前に見学や情報収集を行うことが重要です。
実習の目的
- 教育・保育の連携を理解する:生活と遊び、学びのつながりを意識しながら、子どもの成長を支援する視点を身につけます。
- 発達の連続性を捉える:乳児から就学前までの発達過程を一貫して観察・理解する力を養います。
- 総合的な保育者像を確立する:保育士・幼稚園教諭の両方の役割を体験し、将来的にどのような形で子どもと関わりたいかを明確にします。
これらの目的を意識しながら実習に臨むことで、得られる学びは格段に増えるでしょう。
自分に合った実習先選びのチェックポイント
「どんな保育士や幼稚園教諭になりたいか」「どんな経験をしたいか」を考えながら、以下のチェックポイントに沿って実習先を選んでみましょう。
保育園・幼稚園の保育方針・理念が自分に合っているか
保育園や幼稚園には、それぞれ独自の保育方針や理念があります。
例えば、
- モンテッソーリ教育やシュタイナー教育など、特定の教育法を実践している園
- 自然との触れ合いを重視し、戸外での活動が多い園
- 食育に力を入れ、自園調理や栽培活動を行っている園
- リトミックや体操など、特定の活動に注力している園
など、その特色はさまざまです。
このように園ごとに掲げている保育理念や方針は大きな違いがあります。自分の興味や目指す保育士・幼稚園教諭像と、園の理念が一致しているかを確認することは非常に重要です。
自分が「良いな」と思う保育を実践している園であれば、実習へのモチベーションも高まり、より深く学びを得ることができます。
実習生受け入れ実績や体制
実習生をこれまで何人受け入れてきたか、また受け入れ体制が整っているかどうかも重要なチェックポイントです。
- 実習生担当の保育士や幼稚園教諭はいるか:質問や相談に気軽に答えられる担当者がいると安心です。
- 実習生向けのオリエンテーションや資料があるか:実習の進め方や園のルールなどを事前に説明してくれる体制が整っているか確認しましょう。
- 保育士・幼稚園教諭同士の連携は取れているか:実習生が円滑に実習を進められるよう、保育士間の情報共有が密に行われているか確認することも大切です。
過去に多くの実習生を受け入れている園の方が、指導の流れが整っています。実習生を温かく受け入れてくれる体制が整っている園は実習中の不安を軽減し、学びを深めることができます。こういった点については、先輩実習生の体験談や学校側の情報を参考にすると安心です。
保育園・幼稚園の雰囲気・特色
ホームページやパンフレットだけでは分からない園の雰囲気は、実際に足を運んで確かめることが大切です。
- 子どもたちはどんな様子か:子どもたちがのびのびと過ごしているか、楽しそうに活動しているか。
- 保育士・幼稚園教諭の様子はどうか:保育士や幼稚園教諭同士が笑顔で会話しているか、子どもたちに優しく丁寧に関わっているか。
- 園舎や園庭の環境:整理整頓されているか、子どもの発達を促すような工夫がされているか。
可能であれば、園見学に参加して、自分の目で確かめましょう。実際に足を運ぶことで、その園の「空気」を感じることができます。
アクセス・通いやすさ
実習期間は、毎日の通園が基本となります。以下の点も考慮しましょう。
- 自宅からの距離と交通手段:毎日の通園が苦にならないか、公共交通機関の利便性はどうか。
- 始業・終業時間:園によっては、早朝や延長保育があるため、自分の生活リズムに無理がないか確認しましょう。
- 通園にかかる費用:交通費の取扱いは学校規程や実習先の方針で異なります。事前に確認しましょう。
実習期間を気持ちよく過ごすためにも、無理なく通える範囲の園を選ぶことをおすすめします。
保護者からの口コミも参考に
園のホームページやブログだけでは得られない、保護者目線での情報も貴重な参考情報になります。
例えば、
- 「先生方がとても熱心で、子ども一人ひとりをよく見てくれている」
- 「イベントが充実していて、子どもが楽しそう」
- 「連絡帳が丁寧で、園での様子がよく分かる」
といった口コミは、その園がどんな保育を大切にしているか、保護者との関係性はどうなっているかを知る手がかりになります。
特に、口コミサイトや地域の声、SNSなどで、「保育園 口コミ」「幼稚園 口コミ」「園名 評判」などと検索してみると、よりリアルな情報が見つかることがあります。ただし、口コミは個人の感想なので、鵜呑みにせず、あくまで参考の一つとして捉えることが大切です。
実習先を決める際の手順
自分に合った実習先を見つけるために、以下の手順で進めていきましょう。
事前の情報収集
まずは、インターネットや大学・専門学校の窓口を通じて、実習先の候補をいくつかピックアップします。
- 大学・専門学校の掲示板や資料:学校の進路指導担当、先輩やOB・OGの体験談など、複数の情報源を活用して探します。受け入れ実績のある園のリストは、最も信頼できる情報源です。
- 保育園・幼稚園のホームページ:保育方針、一日の流れ、年間行事、園のブログなど、さまざまな情報が掲載されています。
- 保育士求人サイト:求人情報には、園の特色や保育への考え方、職場の雰囲気が書かれていることが多いです。
- SNS:X(旧Twitter)やInstagramなどで園の様子を発信しているところもあります。リアルな日常の様子が分かります。
見学・面談・申し込み
情報収集で候補が絞れたら、必ず実際に足を運び園の見学を行いましょう。
- 見学:電話で見学のアポイントメントを取り、実際に園の様子を見に行きます。この際、園の雰囲気や保育士の様子を自分の目で確認します。可能であれば保育士・幼稚園教諭の方々や園長先生と話す機会を持ち、指導体制や実習生に求める姿勢を確認します。
- 面談:園によっては、実習の前に面談が行われることがあります。この機会に、実習の目的や学びたいことを明確に伝えましょう。また、不安な点や質問があれば、この時に確認しておきます。
- 申し込み:見学や面談を通して「この園で実習したい!」と思ったら、学校の指示に従い、正式に申し込み手続きを進めます。
見学や面談は、園側も実習生の人柄や熱意を知る機会です。清潔感のある服装や丁寧な言葉遣いを心がけ、「この実習生に来てほしい」と思ってもらえるように準備しておきましょう。
実習前に準備しておくべきこととは?
実習先が決まったら、いよいよ実習本番に向けての準備です。スムーズに実習をスタートし、充実した時間を過ごすために、以下の準備をしておきましょう。
- 基本的な保育・教育技術の確認:抱っこの仕方、オムツ替え、手洗い指導など保育園での日常的な援助に加え、幼稚園では集団設定保育や遊びの指導、行事準備なども予習しておくと安心です。
- 子どもの発達段階の理解:年齢ごとの特徴や興味、園によって異なる教育活動を調べておくことで、子どもとの関わり方のヒントになります。
- 実習日誌の書き方を復習する:実習日誌は、毎日記入するほか、幼稚園では指導案の作成や活動記録が求められる場合があります。事前に記入例やポイントを確認しておくと安心です。
- 部分実習・責任実習の計画を立てる:テーマや内容を事前に考えておきましょう。幼稚園では、歌・遊び・製作・運動など集団活動のアイデアも準備しておくと有効です。
- 手遊び・歌・絵本・紙芝居・パネルシアター・ペープサートなどのレパートリーを増やす:保育園・幼稚園共通で、手遊びや絵本の読み聞かせは必須。幼稚園実習では季節や行事に合わせた歌や遊びも活用できます。
- 自己紹介の準備:担当クラスの子どもたちや保護者、保育者・教諭への自己紹介は重要です。園の特色に合わせて内容を工夫しましょう。
- 体調管理と身だしなみに気をつける:実習期間中は、慣れない環境での疲れや緊張から体調を崩しがちです。十分な睡眠、食事管理、規則正しい生活を心がけ、万全の体調で臨みましょう。また、清潔感のある服装を心がけましょう。
- 心構え:保育園でも幼稚園でも最初から完璧にできる必要はありません。「子どもから学ぶ」「先輩保育者・幼稚園教諭から吸収する」姿勢で臨むことが最も大切です。
特に、手遊びや絵本・歌などは子どもたちとの距離を縮めるための有効なツールです。YouTubeや幼稚園教諭・保育士向けの専門サイトなどを活用して、園の対象年齢や行事に合わせて定番のものを覚えておくと役立ちます。
まとめ
保育園・幼稚園の実習先選びは、自分の成長や将来像に直結する重要な選択であり、保育士・幼稚園教諭としての第一歩を踏み出す大切な機会です。
実習先を選ぶことは、単に場所を決めるだけでなく、「どんな保育士・幼稚園教諭になりたいか」という自分の将来像を見つめ直す機会でもあります。
実習に入る前の十分な準備があれば、どの園でも多くの学びを得られるでしょう。この記事で紹介したチェックポイントや手順を参考に、自分に合った実習先を見つけてください。
そして、実習中は、目の前の子どもたちや保育士・幼稚園教諭の皆さんから、たくさんのことを吸収してください。
実習で得られる経験は、今後の保育士・幼稚園教諭としての人生を豊かにしてくれる、かけがえのない財産になります。この記事が、皆さんの実りある実習の一助となれば幸いです。頑張ってください!
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。
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