新卒保育士の研修はどんな内容?研修の目的や研修に臨む前に準備すべきもの

2021.12.08 | 給料・環境
内定が出たら、いよいよ春からは新卒保育士としての生活がスタートします。
「どんな保育園なのかな」
「実際の仕事には、どのようなスキルが必要なんだろう?」
と、期待と不安が入り混じったような気持ちでいる人も多いのではないでしょうか。
内定後、一般的な流れとしては実際に保育の現場に立つ前に研修が行われます。研修を受ける前に、ぜひ研修がどのような目的で行われるのかを知っておきましょう。研修の目的を知っておけば、落ち着いて研修を受けることができます。
今回は、内定後に新卒保育士が受ける研修がどのようなものか、解説します。

内定後の新卒保育士の研修とは?

まずは、内定後の新卒保育士の研修時期についてです。新卒保育士の研修は、どのタイミングで行われるのが一般的なのでしょうか。具体的な内容とともに、見ていきましょう。

■研修の時期・タイミング

新卒保育士が研修を受けるタイミングとしては、次のようなものがあります。

  • 内定後の3月
  • 入職後の4月

研修のタイミングは、保育園の方針次第となります。内定をもらった保育園の指示に従いましょう。

■内定後の研修の目的

内定後に行われる研修には、どのような目的があるのでしょうか。

新卒保育士は、社会人としても新人です。社会人として、必要とされるビジネスマナーやメールの作法、心構えなどを学ぶことも、新人保育士研修の目的となっています。また、保育士として実際に勤務する前に、保育知識や仕事に対する理解を深めることも、研修の大切な目的です。

新卒保育士を対象とした研修は、社会人としての自覚を持つこと、そして自分のスキルや能力を鍛えるチャンスです。前向きに取り組みましょう。

また、研修方法としては数日間連続して実施するケースもありますし、泊まりがけで集中して行うこともあります。こちらも、保育園の方針次第ですから、その指示に従いましょう。

・働く前に仕事をイメージするため

新卒保育士が、いきなり子どもたちを前に保育士として仕事をスタートさせるということは難しい面があります。子どもは自由ですから、思いがけない行動を起こしたり、発言をしたりすることもあります。

そんなときにどのように対応すればよいか、研修で先輩保育士から話を聞いておくことは大変重要です。現場で活躍している先輩保育士が、現場でどのように子どもたちの質問に答え、対応しているかをしっかり学んでおきましょう。

先輩の話から保育士の仕事はどのようなものかを学び、自分が働く姿をイメージすることは、入職後大変役立ちます。

・園の保育方針や具体的な職務内容を学ぶため

新卒保育士には、まず自分たちの園がどのような保育を行っているかを伝え、入職後に自分がどんな仕事をするのかをイメージして欲しいと園は考えています。

保育士としての基礎的な知識を学校で学んでいたとしても、やはり生身の子どもたちを相手に保育をするのとでは違いますよね。そのようなときに、保育園の方針や、仕事の進め方などを理解しておくことで、入職後、実際に子どもたちや保護者の対応をするときにスムーズに保育することが可能です。園の雰囲気や方針を目で見て学んでおくことで、仕事をスタートさせたときに、実習だけでは身に付けられない対応力やスキルを習得できます。

また、子どもたちとの遊び方や、製作のアイデア、指導方法などは、園によって傾向がありますから、研修の時期にその園でのやり方を身に付けておきましょう。

・保育の質を向上させるため

新卒保育士が研修を受けることで、園側としては保育の質をアップさせたいという思いがあります。入職前にある程度新卒保育士を育成しておくことで、保育の質を落とすことなく、場合によっては新しいパワーが添えられることでより向上していくことが期待されているのです。

また、先輩保育士から仕事の流れやノウハウ、押さえておくべきポイントなどを教わることは、新卒保育士の自信にもつながります。このように、新卒保育士がスキルアップすることは、保育園全体の保育の質を向上させることになります。

新卒保育士側も、実際に仕事をスタートさせた後に「これ、研修で勉強したことだ!」という場面に出会うことも多いため、仕事にすんなりと慣れていくことが可能です。結果として、丁寧な研修は、新卒保育士の離職を防ぐことにもつながるのです。

・社会人としてのマナー・保護者対応を学ぶため

「社会人として働く」ということは、アルバイトとは違います。求められる社会人としてのマナーを身に付けることは、保護者への対応スキルを磨くことにもつながります。

子どもたちや保護者にとっては、保育士が新人であっても、ベテランであっても求めることは同じです。それに対して適切な対応ができるように、研修ではマナーや対応方法を学んでおきましょう

内定後の新卒保育士研修の内容

では、具体的に内定後の新卒保育士の研修で、どのようなことが行われるかを見ていきましょう。

■マナー研修

社会人としての基本的なマナーを身に付けるのが、マナー研修です。時間を守ることや、社会人としての自覚を持ち、責任感を持って仕事に取り組むこと、仕事を早く覚えるように学ぶ姿勢を持つことなどを身に付けます。「報告・連絡・相談」、いわゆる「ホウ・レン・ソウ」をきちんと行い、先輩保育士とコミュニケーションを図りながら仕事を進めることの重要性なども、社会人としての基礎知識として必要です。このような社会人としての基本的なマナー習得は、新卒保育士研修の重要なポイントのひとつと位置付けられています。

また、正しい言葉遣いを身に付けることも、研修の大切な目的です。正しい言葉遣いを身に付けることは、正しい文章を書くスキルにもつながります。このスキルは保護者をはじめ、園長先生や他の保育士、園の職員などとやりとりをする際も大変役立ちます。連絡帳や指導案を書く際も、正しい日本語を使うことが求められますから、最初にしっかりと身に付けましょう。

また、話し方についても研修を行う園が多いようです。「話し方なんて、学ぶ必要があるの?」と思うかもしれませんが、社会人として、保育士として、話し方は大変重要になります。はっきりと、聞き取りやすいように口を開いて話すことや、相手の目を見て話すといった基本的なことができない学生も、意外と多いのです。仲間内で楽しく話をするのと、保育士として保護者に伝達したり、子どもたちを指導したりするために必要とされる話し方は異なります。相手に伝わりやすいように話すことが大切ですから、新卒保育士の研修では話し方のコツを学ぶケースが増えているのです。

電話対応研修

電話対応は、社会人として身に付けておくべき基本的なビジネススキルです。保育園には保護者をはじめ、入園希望者や業者などの外部の人からも電話がかかってきます。電話を受けた人の対応次第で、園に対する印象は大きく変わりますから、電話対応はとても重要と考えましょう。

具体的な内容としては、丁寧な印象を与える対応の仕方をはじめ、基本的な受け答え方や不在時対応、伝言を受けた際の対処方法などについての研修を受けるケースが多いようです。

■メール対応研修

最近では、保護者をはじめ、入園希望者などに対してメールマガジンなどを配信している保育園も増えています。問い合わせなども電話ではなくメールで受けるケースも増えているため、基本的なメール対応スキルは必須といえるでしょう。

そのため、メールの基本的なマナーや知識などを学ぶ研修を実施している園も増加傾向にあります。就職後、必要となるスキルですから、しっかりと習得しましょう。

■OJT研修

On the Job Trainingの略であるOJTは、実際に保育の現場で仕事をしながら、必要な知識を身に付け、技術を学ぶスタイルの研修です。職場内訓練とも呼ばれるOJTは、実務に直結する知識や技術を身に付けやすく、また現場経験を積むことも可能となりますから、大変効率的な研修方法となっています。

先輩保育士から指導を受けることで、新卒保育士としてはそばで見守ってもらいながら仕事に慣れていくことができるので、心理的に安心な面もあるようです。

内定後の新卒保育士研修の前に準備すべきもの

内定後、新卒保育士研修を受けるときには、どのようなものを準備しておく必要があるのでしょうか。

■筆記具・メモ帳やノート

筆記具とメモ帳やノートは必須です。ミーティングなどで使用したり、習ったことをまとめたりするノートの他に、ポケットに入れておけるサイズの筆記具とメモ帳やノートも、用意しておきましょう。

先輩保育士から聞いた話や、講師から習ったことは積極的にメモで記録し、いつでも読み返せるようにしておきます。また、蛍光ペンや赤ボールペンなどを用意しておくと、ポイントとなる箇所に色を付けてわかりやすくでき、便利です。

■エプロン・上履き・外履き

研修では、保育園の方針に従ってエプロンと上履き、外履きを用意する必要があります。エプロンも、園によって長袖、袖なしなどの文化があるケースもありますから、事前に確認しておきましょう。

上履きや外履きも指定がある園もあります。こちらも、あらかじめ指定の有無を確認しておくと間違いないでしょう。

■自己紹介

研修では、必ず自己紹介をする機会があります。研修の場で突然「自己紹介してください」と言われて焦ることがないように、あらかじめ自己紹介を用意しておきましょう。

内容としては自分の名前や学校名、趣味、所属していたサークルや習いごとなどがおすすめです。

「子どものころからフルートを習っていたので、音楽遊びなどで活用できたらと思います」

「手話サークルに入っていたので、子どもたちと歌を手話で表現したりしたいです」

というように、自分の趣味や特技を保育士の仕事にどのように活かしたいかも話せるとよいですね。自己紹介は、他の保育士との会話の糸口にもなりますから、相手に興味を持ってもらえそうな内容を入れましょう。

また、最後に保育士を目指したきっかけと、これから保育士としてどのように仕事に取り組みたいか、意気込みを述べることもおすすめです。仕事に対する情熱を職場の人に感じてもらうことは、今後仕事をしていくうえでもプラスに作用します。また、具体的な目標がある場合は、それを伝えておくことで周囲のサポートが得られるケースもありますよ。

■遊びのアイデア

保育士の仕事に「遊び」は欠かせません。どのようなことも遊びにし、子どもたちに楽しんでもらえるよう、研修までにたくさんのアイデアをストックしておきましょう。

研修では積極的に遊びについてもアイデア出しをし、先輩保育士からのアドバイスや意見を受けることをおすすめします。こうした作業を繰り返すことで、入職までに園のテイストにあった遊びがなんとなくわかるようになります。

■ピアノなどの練習

保育士の仕事に、ピアノは欠かせません。学生時代、必須科目としてピアノを学んでいたとしても、あまり自信がないという人は何曲か弾ける曲を練習しておきましょう。難しい曲である必要はありません。子どもたちに人気のある曲を、旋律がわかりやすいように弾き、それに簡単な伴奏をつけられれば充分です。

ピアノ初心者という場合は、特にこの機会に上達を目指して取り組んでください。

内定後の新卒保育士研修はギャップを埋めるチャンス!

内定後の新卒保育士研修は、就職する前に実際の職場と、自分が抱いている仕事内容に大きな違いがないかを確認するチャンスです。

■わからないことや不安なことは研修中に確認しよう

入職してから、わからないことや不安なことがないように、研修中はぜひたくさん質問してください。研修は、新卒保育士のために用意された時間ですから、ここでしっかりと疑問点や不安を解消しておくことで、安心して保育士デビューすることができます。

■保育士としての心構えを持とう

学生から、新社会人としてデビューを迎えるこの時期、一人前の保育士であることを自覚することはとても大切です。研修を通して社会人としての心構えを持ち、保育の現場で活躍する先輩保育士の姿を見ながら、自分がどのような保育をしていきたいか、イメージトレーニングをすることもおすすめです。

そして、しっかりとした保育士としての心構えを持って、現場デビューに備えてくださいね。

内定後研修で、園との信頼関係を築こう

保育士の仕事は、子どもと接することだけでなく、保護者とも信頼関係づくりが必要であったり、保育士同士の連携をとったりすることも大変重要です。信頼関係を構築できる最初のチャンスが、内定後研修です。

まずは研修で職員同士の関係性を構築しながら、保護者や子どもたちへの対応力を身に付けていきましょう。そして、現場を知り「自分がここで保育士として働く」ことをイメージし、保育士デビューの日を迎える準備を整えてくださいね。

この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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