保育士になるために必要なピアノのレベルは?おすすめの練習法や曲をご紹介!
子どもたちの歌や演奏に合わせたり、子どもの興味をひくために弾いたりと、ピアノスキルは保育のさまざまな場面で必要です。
そうなると、不安になるのはどの程度の演奏ができなくてはいけないか、ということでしょう。
とはいえ、保育士志望の方すべてが、ピアノ経験があるとは限りません。
保育士を目指す人の中には、「ピアノはまったく習ったことがない」「趣味では弾いたことはあるけれど、譜読みや記号はよくわからない」と、さまざまなレベルの人がいるのではないでしょうか。
今回は、保育士になるために求められるピアノのレベルについて、解説します。
ピアノが弾けなくても保育士資格は取得できる?
結論からいうと、ピアノが弾けなくても保育士資格を取得することは可能です。
「子どもたちが歌うときに、ピアノ伴奏が弾けなくてもいいの?」と、不思議に思うかもしれませんね。
しかし、保育士資格取得時に、ピアノスキルは必須ではありません。
保育士資格を取得する方法は、2つあります。
独学で保育士試験を受ける方法と、短大や大学、専門学校などで学び、所定の学科を卒業する方法です。
実は、保育士資格取得までどのようなプロセスを選ぶかで、求められるピアノ演奏技術が変わってきます。
■独学ならピアノのレベルは問われない
独学で保育士試験を受験する場合、ピアノが弾けなくても資格取得は可能です。
保育士試験の実技試験では、以下の3つの実技から2つ選んで、受験します。
・音楽表現
楽器を演奏する
・造形表現
色鉛筆画を制作する
・言語表現
3分以内で物語を口述する
よって、実技試験を選ぶときに「音楽表現」以外を選択して受験をすれば、ピアノがまったく弾けない状態でも保育士試験に合格することができるのです。
また、「音楽表現(楽器演奏)」では、試験に使用する楽器をピアノ・アコースティックギター・アコーディオンの3種類から選ぶことができます。
楽器を選ぶときに、ギターやアコーディオンが弾けるなら、そちらを選んで受験すればよいということです。
このように、ピアノが弾けなくても保育士資格を取得することはできます。
■大学や専門学校に通うのであれば一定レベル必要
ただ、短大や大学、専門学校で保育士資格取得を目指す場合、必修科目にはピアノが含まれています。
必修科目ですから、卒業の条件としてピアノが弾けることが求められるということですね。
そのため、入学時はピアノが弾けなかった学生も、卒業までにはピアノが弾けるようになるケースが一般的なのです。
では、具体的にどの程度のピアノの技術が保育の現場で必要なのか、見ていきましょう。
保育士に必要なピアノのレベルは?
最初に「ピアノが弾けなくても保育士にはなれる」と述べましたが、幼稚園や保育園の定番ソングは、資格取得と並行して練習し、就職活動時までに何曲か弾けるようにしておくことをおすすめします。
保育士として仕事をしていく中で、ピアノの演奏スキルは、ないよりもあったほうがよいことは確かです。
ただ、難しい曲を弾きこなす腕が必要というのではなく、子どもたちが歌を歌うときなどに伴奏できれば、それで充分と考えてください。
とはいえ、園によっては「バイエル修了程度」などというように、採用の目安を設定していたり、音大付属の園などではピアノが弾けることが前提条件となっていたりするケースもあります。
特に、ピアノが弾けない・苦手だという場合は、応募要項をしっかりとチェックしてみてくださいね。
子どもたちが騒いでいるときに、子どもを静かにさせるために決まったピアノ曲を弾いたり、朝の会で同じ曲を毎朝歌ったりする園もあります。よって、ピアノを弾けるというのは、やはり保育士としてはメリットとなりますし、就職・転職時には面接でも強みとなります。
とはいえ、ピアノ教室に通って習うのは、時間的にも経済的にも難しいという人も多いでしょう。
自宅にピアノがないから、練習できないと考える人もいるかもしれません。
しかし、保育士が身につけるべきピアノスキルとしては、難しく考える必要はありません。
ピアノ教室に通わなくても、子ども向けのピアノの教本や、大人向け初心者用の楽譜などがたくさん販売されていますから、その中から自分がわかりやすいと感じた教本を選んで、練習をしてみてください。
子ども向け・初心者向けの教本は楽譜が読めなくても理解しやすいように工夫されていますし、各種記号についての解説もついているので、基礎からしっかりと学ぶことができますよ。
ピアノが自宅にない場合は、キーボードで練習することも可能です。キーボードなら、安いものなら数千円から購入できますから、保育士を目指している場合は一台用意してもいいでしょう。
柔軟な姿勢で取り組むことが、ピアノ上達への近道です。<目指せ保育士!>ピアノのレベルアップを目指す方法
ピアノ初心者が保育士を目指す場合、どのようにピアノのレベルアップに取り組めばよいのでしょうか。
ここでは、具体的な練習方法についてご紹介します。
■片手ずつ練習する
ピアノを練習するときは、片手ずつ練習を進めます。
いきなり両手で弾こうとすると混乱してしまうので、片手ずつ、ゆっくりと練習を進めましょう。
練習の手順としては、まず、譜読みからスタートします。
教本によっては、音階にルビがふられているものもありますから、導入としてはそのようなものを活用するのもよいでしょう。
ルビを読んでいるうちに、少しずつ音符と音の名前が一致するようになります。
譜読みができたら、ピアノで弾いてみましょう。
このときに、いきなり両手でピアノを弾かないようにしましょう。
両手でピアノを弾くというのは、ピアノを始めたばかりの人や、初級者には大変難しいものです。
まずは、メロディーラインとなる右手をゆっくりと演奏してみてください。
右手だけでもピアノが弾けるようになると、メロディーラインが弾けるようになったということになります。
そこまでくれば、保育の現場でも活用することが可能です。
とにかく右手の練習を繰り返し、右手がマスターできたと感じたら左手の練習を始めてみてください。
左手ができたら、両手でチャレンジします。
一見遠回りのように見えますが、いきなり両手で弾こうとすると大変効率が悪くなります。
「右手」「左手」「両手」と、スモールステップで少しずつマスターしていきましょう。
■遅いテンポの曲から始める
ピアノの練習を進める上で、曲選びはとても重要です。
いきなりアップテンポの曲を弾こうとしても、指がついていかなかったり、音が濁ってしまったりして、なかなか上達は望めません。
これはピアノに限ったことではなく、どんな楽器の練習をするときでも同じです。
まずは、ゆっくりしたテンポの曲を選んで練習を進めましょう。
もしアップテンポの曲を練習する場合でも、最初からその速さでは弾かずに、ゆっくりとしたテンポで練習するようにします。
そうすることで、自分がどの部分が弾けていないか、どこを間違えやすいのかがわかりやすくなり、自分で苦手な部分に気づくことができます。
ゆっくりしたテンポで一通り弾けるようになったら、少しずつテンポを上げていきましょう。
■動画を見て練習する
最近ではピアノのテキストにDVDがついてくることもありますし、最近はインターネットで検索すると、たくさんのピアノ練習動画を見ることもできます。
初心者向けの動画もたくさんアップされていますから、そのような動画を活用しながら練習するのも、有効な方法です。
ピアノ教室の先生がいくつも動画をアップしているケースも多いので、最初に何本か動画を見比べて、自分が「わかりやすい教え方だ」と感じる先生を見つけるのもよいでしょう。
実際に教室に通う場合でも、ピアノの先生との相性は大変重要ですから、自分の感覚に合った先生と出会えるといいですね。
また、動画を活用した練習だからこそ可能な技術習得方法として、再生速度を変更して自分が弾きやすいテンポで練習するというものがあります。
これは、今の時代だからこそできる練習方法といえるでしょう。
■慣れてきたら歌ってみる
ピアノを弾くことに慣れてきたら、音符を歌いながら弾いてみるのもおすすめの練習方法です。
自分が正しい音を歌えているかを確認する練習にもなりますし、楽譜を見てすぐに「この音は『ド』」というように、音符を素早く読めるようになります。
歌いながら弾くという作業は意外と難しいので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
■自分の動画を撮って研究する
上手に弾けるようになったら、自分がピアノを弾く動画を撮影したり、録音して練習したりするのもよいでしょう。
弾いている最中はピアノを弾くことに夢中で、ミスをしても気づかないケースもあります。動画や録音したものをチェックすると客観的に自分の演奏を聴くことができ、どこでミスをしていたかを確認することが可能です。
思っていた以上に上手に演奏できていた!ということもありますし、イマイチでがっかりするかもしれません。
客観的に自分の演奏を聴くということは、ピアノの上達には欠かせません。
特に、独学でピアノをマスターしようとしている場合は、動画や録音で自分の演奏をチェックする方法は、大変効果的な練習方法です。
動画や録音で自分が苦手な部分を把握し、部分練習や片手練習でマスターしていきましょう。
<保育士向け>ピアノ練習におすすめの曲
保育士志望の人がピアノを練習するなら、保育の現場ですぐに活用できる曲をマスターしたいですよね。
まずは、保育士が弾けると便利な季節の歌の伴奏などを、マスターしていきましょう。
季節別のおすすめソングをご紹介します。
【春におすすめの曲】
『チューリップ』は、どの年齢の子どもでも歌える、大変人気の童謡です。
「ド」から「ラ」までの音符で弾けるので、練習曲としても簡単で、おすすめの曲となります。右手で旋律、左手で簡単な伴奏をつけるパターンの楽譜がたくさんありますから、練習してみてくださいね。
【夏におすすめの曲】
カエルの鳴き声がユニークな『カエルの歌』は、年少さんなどは鳴きまねを楽しんだり、年長さんになると輪唱なども楽しんだりすることができる曲です。
こちらも「ド」から「ラ」までの音符しか登場しないので、比較的演奏しやすい曲となっています。
ピアノでメロディーラインを輪唱するように弾くのは意外と難しいので、いい練習になりますよ。
【秋におすすめの曲】
『大きな栗の木の下で』は、子どもたちが踊りを楽しみながら歌うことができる曲ですから、保育士としてはぜひマスターしたい一曲です。
「ド」から高い「ド」までを演奏しますので『チューリップ』や『カエルの歌』よりは少しだけ難しいかもしれませんが、輪唱を楽しむこともできますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
【冬におすすめの曲】
『こぎつね』は、跳ねる音であるスタッカートが登場する曲です。
これまでご紹介してきた曲と比べると少しだけテンポが速い曲となりますから、ピアノ練習が進んできたら、挑戦してみることをおすすめします。
【番外編:クリスマスソング】
『ド』から高い『レ』まで登場する、クリスマスの定番ソングです。
ゆっくりとした曲調で、難易度は高くありませんが、シンプルな伴奏でも美しく聴こえる曲で、子どもたちの歌声が重なると感動的な曲となります。
【番外編:卒園ソング】
卒園ソングのなかでも、未来ある子どもたちが元気いっぱい歌う姿が印象的な明るい一曲です。
『ド』から高い『レ』までが登場します。ピアノ初心者でも、ピアノがなくても、練習すればピアノ上手になれる!
保育士になるために、ピアノは必須ではありませんが、やはり保育の現場では役立ちますし、ピアノが弾けると子どもたちとのコミュニケーションツールとしても大変役立ちます。
子ども向けの童謡を今回はご紹介しましたが、練習が進んできたら自分が好きなアーティストの曲や、アニメなどの主題歌にもチャレンジしてみましょう。
モチベーションが上がりやすく、上達も早まります。
就職活動で「ピアノが弾けます」と言えたら理想的ですが、もし弾けなくても「ピアノは保育士になったら弾けたほうがいいと思い、練習をしているところです。今は『おもちゃのチャチャチャ』の伴奏を練習しています」というように、熱意を伝えるようにしましょう。
それだけでも、保育士として仕事をしていきたいという熱意を、採用担当者に伝えることができますよ。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。
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