保育士が新年度に注意すべきポイントとは?園児・保護者への配慮やスタッフの連携など

2024.04.24 | 就職・転職 | 給料・環境
新年度を迎え、多くの保育士は、慣らし保育や進級した子どものケアなどで毎日奮闘していることでしょう。
本記事では、新年度に保育士が注意すべき点についてまとめました。園児・保護者への配慮やスタッフの連携など、クラス運営にも活かせるポイントを紹介しますので、ぜひお役立てください。

新年度の保育で注意すべきポイントとは?

新年度の保育で注意すべきポイントにはどういった点があるのでしょうか。重要な項目3点について見ていきましょう。


■子どもとの信頼関係を作る

まずは子どもの姿を観察し、どんな子なのか、好きなことや苦手なことなどを理解し、関わっていくようにしましょう。

遊んだり会話したりスキンシップを取ったり、丁寧に子どもと関わっていくことで安心してもらい、子どもとの信頼関係を作っていきます。


■ゆとりを持って1日の流れを計画し、毎日の流れを統一する

新入園児も進級児も、新しいクラスや新しい先生、新しい友達の環境の中で戸惑っています。不安な気持ちもあるでしょう。

慣れるまで、次の活動への流れなどはその都度時間がかかります。

そのため、早め早めの声をかけていく、急かさずにじっくり関わるなど、保育士も気持ちのゆとりが持てるような援助が必要です。

時間に追われないよう1日の流れは余裕を持って組みましょう。また、毎日の流れが統一されていると生活リズムが整いやすく、子どもたちも新しい生活に早く馴染めます。


■全体を見ながら、一人一人にしっかり目を配る

新年度は、泣いている子どもや目立つ子どもについつい手が取られがちです。しかし新学期こそ全体に目を向け、できるだけ全員と関わるように意識します。

寂しくて泣いている子だけでなく、我慢してしまっている子も気に留めましょう。

新年度の新入園児への保育における注意点

4月に新入園した子どもは、ほとんどが初めての保育園、初めて保護者から離れる子どもです。

新年度当初の子どもは、朝登園して保護者と別れる時、不安や寂しさでいっぱいです。

  • 激しく泣いて全身で離れたくないと表現し、1日尾を引く子
  • 登園時はたくさん泣いても保護者と別れるとケロッとして遊びだす子
  • 我慢して泣かない子
  • 最初は目新しい保育室の雰囲気に興味津々で泣かなかったのに、数時間後にママがいないと気付いて泣く子
  • はじめは泣かなかったのに入園から数日たって泣きだす子
  • 数日後には、朝上手に保護者とバイバイが言えるようになる子
  • 4月後半になっても毎朝泣いている子

など、一人ひとり違う性格から子どものさまざまな姿が見られます。


クラスの中で一度に何人も泣いてしまい、個別に寄り添うことがなかなか難しい場面もありますが、まずは子どもたちの不安な気持ちを和らげ、安心してもらえるよう働きかけることが大切です。そのためには、園生活は楽しいもの、保育士は信頼できる人、と思ってもらえるような関係作りをしていきます。

1人担任でなければ、クラスをまとめ全体の運営をする担任リーダーと、泣いている子どもに寄り添う保育士など役割分担をします。そうすることで、新入園児が安心できる環境が作れるでしょう。

新年度の進級児への保育における注意点

進級児は保育園に慣れているので、多くの子どもはひとつお兄さんお姉さんのクラスになれたことにワクワクし、活発に過ごせるでしょう。

しかし、中には担任が変わったことや、保育室が変わったことなどの影響を受けて不安に思っている子どももいます。

また、新入園児が泣いていることに影響されたり、新入園児のお世話に先生を取られた気分になったりと、新年度は違う雰囲気を感じ取り不安に思う子どもも。

そのため、進級児の不安を少しでも和らげることが大切です。

そのためには、新入園児ばかりに気を取られずに、進級児の気持ちに寄り添い、意識的にスキンシップを取るようにしましょう。

新入園児をサポートする役目の保育士と、クラス全体をまとめる保育士とで役割分担すると、進級児も安心して園生活を送ることができるようになるでしょう。

新年度は保護者への配慮も重要

新年度は、保護者にとっても不安な時期です。

特に経験が浅く若い保育士に対して不安を感じてしまう保護者もいますが、それは仕方のないことです。笑顔で誠意を持って接していれば、必ず信頼してもらえる日が来ます。

ただし、子どもの持ち物の間違いやケガなどが頻繁にあると、信頼関係を築くことは難しくなるので注意しましょう。


・新入園児の保護者への配慮

初めての保育園、初めて我が子を身内以外に預ける、久しぶりの出社など、保護者も不安でいっぱいです。

大切な我が子を預ける保育園や担任の保育士は大丈夫だろうか?とも思っています。

さらに我が子が登園時に離れたがらないと、朝からつらい思いをしたり罪悪感に悩まされたりする方もいます。

登園時に、保護者の顔が見えなくなれば気持ちを切り替えて遊びだせる子もいます。一方でいつまでも気になって離れられない保護者もいます。

そのような時は、「安心して私たちにおまかせください」という姿勢で送り出しましょう。お迎え時には保育園での様子を伝えて、安心してもらえるよう配慮します。

例えば、泣いている時間が多かったとしても、少しの変化が見られるはずなので、「今日は昨日より早く泣き止んで遊べました」「保育士の手遊びや歌遊びに反応してくれました」など、ポジティブな変化を丁寧に伝えましょう。


・進級児の保護者への配慮

進級児の保護者も、新しい担任の保育士はどんな人だろうと不安に思っています。また、兄弟が新入園児だったり、進級で我が子が不安定だったり、保護者が部署異動や新入社員受け入れなどで多忙だったりと、不安要素があるかもしれません。

新しく担任になった場合は、しっかりと挨拶をして信頼してもらえるようにコミュニケーションを取っていきましょう。

新年度に起こりがちなミスやトラブルと対策

新年度は、子どもも保育士も保護者も慣れない環境のため、ミスやトラブルが起こりがちです。


■起こりやすいトラブルと対策

・子どもの場合

環境の変化や気持ちの不安定さからケンカが起こりやすい時期です。

頭ごなしに叱るのではなく、どちらの子どもも分け隔てなく言い分を聞き、気持ちを受け止めます。そのうえで、どうすれば良いのかを一緒に考えるようにしましょう。

不安定な様子が改善されないようであれば、多めにスキンシップを取ったり、家庭での様子について確認したりと、対応が必要になります。

乳児クラスでは、噛みつきやひっかきが増える場合もありうるので、気持ちの不安定さを和らげることを最優先にしながら、起こりそうなシチュエーション(おもちゃの取り合い)などが起きた時に早めに仲介に入れるよう近くで目を配りましょう。


・保護者の場合

保護者は、新しい子どもの担任がどんな先生か、不安に思っています。コミュニケーション不足やちょっとした言葉の行き違いから誤解を生み、トラブルに発展することがあります。

新入園児の保護者は特に、初めて子どもと離れるなどで不安に思っています。その気持ちに寄り添いながら子どもの様子を丁寧に伝えるなどして、安心してもらえるようにコミュニケーションを取っていきましょう。

例えば、慣らし保育中ずっと泣いていたとしても、「ずっと泣いていましたよ」と伝えるよりは、少しの変化も見逃さずに「保育士に抱っこされて安心してくれたのか、泣き止んだ時間がありました」「お友達に興味津々でじっと見ていましたよ」など、良い変化を丁寧に伝えていきます。

連絡帳に決められた記載がなく情報が少ないご家庭や、お着替えなどの持ち物の決まりを守れないご家庭には、伝え方に充分注意しつつこまめに声をかけます。


■起こりやすいミスと対策

・やらなければならない仕事を忘れてしまう

4月は慌ただしくとても忙しい時期なので、誕生日会の準備や翌日の保育の準備ができていないなどうっかりしてしまうことがあります。

本来なら余裕を持って準備しておきたいことですが、日々の忙しさに流され後回しになってしまうことが原因です。

前月のうちに、翌月にやるべきことを手帳やカレンダーなど見やすい場所に書きだしておくと漏れがなくなります。

また、金曜日に翌週の週案をもとに、必要なものリストや活動準備の確認をしておくと良いでしょう。


・保育士同士がうまく連携できていない

保育士同士の連携がうまく取れていないことで、下記のようなトラブルが起きることがあります。

  • 朝の受け入れ時に保護者が伝えたことが担任に伝わっていなかった
  • 子どものケガを遅番の先生が知らずに、お迎え時保護者に伝えられなかった
  • 保育士の配置がうまくいかず、子どものケンカの原因を把握できていない

これらは、密な連携を意識することで改善できます。

クラス内で体制が整うまでは、頻繁に担任同士でミーティングを行う必要があります。子どもの様子や1日の流れについて、保育士の役割分担など、改善点はないかなど模索していきます。

職員の連絡用のノートなどを設置すると、シフトがずれていても大事な情報を漏らさずに済むので活用している保育園もあります。

初めから完璧な連携を取ることは難しいですが、ミーティングを設け、意見を出し合い改善点を見いだすことで連携できるようになっていくでしょう。

スタッフとのコミュニケーションや、お互いを労わることも大切

新年度こそ、意識してスタッフ同士のコミュニケーションを強化し、お互いをいたわることが大切です。


■職員同士の信頼関係とコミュニケーション

保育園では、保育士同士や看護師・栄養士などとの密な連携が重要ですが、特に新年度はより密なコミュニケーションが必須になります。

子どもたちの安全で安心できる保育園生活のためにとても重要です。しっかりと連携することで信頼関係も築いていけるでしょう。

また、この時期は安全な1日を過ごすことに精一杯で神経をすり減らし、他のクラスや保育士にまで気を配る余裕はないかもしれません。しかしこんな時こそお互いに声を掛け合い、助け合う意識を持ちましょう。

身体的にも精神的にも、無理を重ねて体調を崩さないよう充分注意し、あまり無理しないようにしましょう。体調に不安があれば、声を掛け合って、できれば早めに退勤するなど適切な対処が必要です。


■自分が大変な時は助けてもらう、大変なクラスがあれば手伝う

大変なクラスがあれば手伝う、自分が大変なことは助けてもらうなどの連携が大切です。

例えば、以下のようなケースがあります。

  • 0歳児クラスで、ミルクや離乳食の時間が重なり大変な時はヘルプ要請を出し、フリー保育士や主任保育士、管理栄養士などに部分的に手伝ってもらう
  • 4歳・5歳児で合同保育を行い、1人担任では難しいことを協力して行う

このように、自分のクラスだけでなく周囲を見渡し助け合い、お互いをいたわりましょう。


多忙だからこそ、セルフケアを忘れずに!

保育士の仕事は、身体的にも精神的にも健康あってこそのハードワークです。ましてや新年度は、年度末からずっと業務が多忙なうえ、神経をすり減らしている時期でもあります。

無理をせず、自分をいたわってあげましょう。セルフケアがとても重要です。

しっかり休養を取り、リフレッシュして過度な緊張やストレスを和らげることで、心身の健康を維持できます。

栄養バランスの良い食事をしっかり摂り、充分な睡眠などで1日の疲れを取って、休日には好きな場所で好きなことをして過ごすなど、リフレッシュします。

リフレッシュは日々のパフォーマンスにつながり、笑顔で子どもたちと接する活力になるでしょう。

疲労がたまり、無理がたたって体調を崩してしまったり、精神的なダメージが募っていったりしないよう、うまく息抜きしていきましょう。

悩みごとがあれば1人で抱えず、早めに同僚や先輩・上司、友人、家族などに相談することをおすすめします。

まとめ

新年度の開始当初は、保育士は疲労もたまりがちな頃です。寂しくて泣いてしまう子ども、体調を崩す子どもなどがいて大変なこともあります。

とはいえ、徐々にクラスが落ち着く日がやってきます。その日を楽しみに、自分や周囲もいたわりながら、日々の保育と業務に取り組んでみてください。

休日には、自分のリフレッシュもぜひ意識してみてくださいね。

この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(園児の子どもを持つパパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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