保育士の補助金・助成金・貸付制度まとめ|国や自治体の取り組みを紹介

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公開日:2026.03.30 更新日:2026.03.04
保育士は、子どもたちの健やかな成長を助けるやりがいの大きな仕事であると同時に、子どもたちの安全を守り、安心して過ごせるように環境を整えるなど、命を預かる責任を伴う仕事です。
しかし、保育士の業務は負荷が大きいにも関わらず、給与などの待遇面や労働環境面の改善がなかなか進んでおらず、この現状が保育士不足をより深刻化させています。

近年、国や自治体も「子どもが好き」「保育士という仕事を続けたい」という人が安心して保育士への道を選べるように職場環境を整え、その待遇改善を実現するべく、さまざまな補助金や助成金などの支援制度を拡充に乗り出しました。
今回は、保育士や園を対象とした補助金や助成金などの支援制度について、詳しく解説します。

保育士向けの補助金制度が設けられた背景

共働き世帯の増加とともに、待機児童問題が深刻な社会問題となっています。保育園を新設する動きもありますが、そこで働く保育士自体が不足していることが、現在の大きな課題です。

そこで、国や自治体では、保育士不足問題を解消するために保育業界に対してさまざまな補助金や助成金、貸付金などの支援制度を実施しています。

保育士を目指す方向けの補助金制度

現在、保育士を目指す方に対して実施している補助金制度について、具体的にみていきましょう。


保育士修学資金貸付

保育士修学資金貸付とは、保育士を目指す学生に対する就学資金を無利子で貸付するものです。

各自治体で実施していますが、以下は東京都の例です。


【貸付上限額】

就学資金:月額5万円

入学準備金(任意):20万円

就職準備金(任意):20万円

生活費加算:生活費の一部として、在学期間中修学資金に加算して貸付可能

※生活費加算に関しては、生活保護受給世帯またはそれに準ずる世帯であることが認められた場合にのみ、申し込みが可能


【貸付期間】

原則2年間

※修学期間が2年以上の場合、120万円以内であれば期間延長可


【返還免除規定】

東京都の場合、卒業後5年間東京都内の保育所等で保育士業務に従事した場合は、返還は全額免除される


最新情報はこちらのWebサイトにてご確認ください

東京都社会福祉協議会「保育士修学資金貸付事業」


保育士就職準備金貸付

保育所等に潜在保育士の就職が決定した場合に、就職準備金を貸付ける制度です。

各自治体で実施していますが、ここでは埼玉県の例をみていきましょう。

再就職に必要となる経費として、一人一回限り利用できます。


【貸付上限額】

40万円

【貸付条件】

・保育士として週20時間以上勤務すること

・養成施設卒業または保育士試験合格から1年以上経過していること

・対象施設または事業を離職した方または勤務経験がないこと

埼玉県の対象施設は、保育所または幼保連携型認定こども園、家庭的保育事業、小規模保育事業、事業所内保育事業、幼稚園その他、それに準ずる施設または事業所が該当


【返還免除規定】

2年以上勤務を継続することにより、返還が全額免除となる


最新情報はこちらのWebサイトにてご確認ください

埼玉県福祉人材センター『保育士就職準備金貸付』


保育士試験による資格取得支援事業

保育士を目指す人材確保の一環として、保育士試験受験に必要な費用を補助し、保育士資格取得者を拡充することを目的とした事業です。以下は、船橋市の例です。


【貸付上限額】

15万円

※対象経費の2分の1まで


【対象となる経費】

保育士試験受験講座の受講に必要となった費用

(入学金、受講料、教科書代及び教材費など)


最新情報はこちらのWebサイトにてご確認ください

船橋市「保育士試験による資格取得支援事業補助金のご案内」

現役保育士向けの補助金制度

続いて、現役保育士を対象とした補助金制度についてみていきましょう。


保育士の待遇改善を目的とした国の補助金制度「処遇改善等加算」は、令和7年度より制度が一本化され、新たな仕組みへと移行しました。


新制度における3つの区分

今まで「Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」と分かれていた加算制度が、より分かりやすく「3つの区分」に整理されました。


基礎分:安定した給与水準を確保するための加算で、施設全体の平均勤続年数などに応じて加算額が決定されます。加算要件を満たしている施設は、経験に応じた昇給の仕組みや、良好な職場環境が整備されている一つの目安となります。

賃金改善分:職員全体の継続的な賃金引き上げ(ベースアップ)を目的とした加算です。各施設が策定する賃金改善計画に基づき、算定された加算額が確実に職員の給与へ還元される仕組みとなっています。

質の向上分:若手や中堅保育士が、段階的にキャリアアップを図るための加算です。指定された「キャリアアップ研修(各分野15時間以上)」を受講することで、以下の役職を目指す要件の一部を満たすことができます。

  • 職務分野別リーダー(経験3年以上目安):担当1分野の研修修了
  • 専門リーダー(経験7年以上目安):4分野以上の研修修了
  • 副主任保育士(経験7年以上目安):マネジメント+3分野以上の研修修了

 

給与への配分ルールと求職時の注意点

制度の一本化に伴い、給与への配分ルールも大きく変更されました。求人票を確認する際や、施設見学の際に押さえておくべきポイントは以下の通りです。

 

  • 毎月の基本給や手当へ反映されやすくなった

新制度では、区分②(賃金改善分)と区分③(質の向上分)の合計額のうち「2分の1以上」を、基本給または毎月決まって支払われる手当として配分することが義務付けられました。これにより、賞与などの一時金だけでなく、毎月の月給(ベースアップ)として安定的に反映されやすくなっています。


  • 施設ごとの柔軟な配分が可能になった

旧制度にあった「月額4万円」「5千円」といった厳格な定額ルールが廃止され、「一人当たり月額4万円以内」であれば、施設側の裁量によって柔軟に配分できるようになりました。


  • 園の「配分方針」を確認することが重要

施設の裁量が大きくなったことで、園の方針次第では、役職者以外の若手・中堅職員へ広く分配されるケースも増えています。そのため、「自分が研修を受講すれば、その加算分が全額自身の給与にプラスされる」とは限らない点に注意が必要です。入職後の認識の相違を防ぐためにも、面接や見学の際に「処遇改善手当は、園内でどのような方針で配分されていますか?」と確認しておくことをおすすめいたします。

参考:こども家庭庁「令和7年度以降の処遇改善等加算について」


保育士宿舎借り上げ支援事業

保育士宿舎借り上げ支援事業は、保育士の宿舎を借り上げる費用の全額または一部を支援する制度となります。

保育士が安心して仕事を続けられる環境を整備し、離職を防止することを目的とした制度です。


【対象条件】

原則として「保育士として採用された日から起算して5年以内」の常勤保育士が対象。

ただし、自治体によっては継続利用者への経過措置などで対象期間の扱いが異なるため、必ず勤務先所在地の自治体要件を確認してください。

参考:こども家庭庁


【支給額】

例として、東京都の場合は以下のようになります。


補助基準額:一戸当たり82,000円/月

補助割合:国1/2、市区町村1/4、事業者1/4

※その他は各自治体の規定による


参考:東京都福祉保健局「保育人材確保の取組について」


保育士等キャリアアップ補助金

保育士等キャリアアップ補助金は、東京都独自の補助金です。


【交付条件】

〇キャリアパス要件

〇福祉サービス第三者評価の受審・結果公表

〇情報(財務情報、モデル賃金、非常勤職員の賃金)公開などの取り組み


【対象経費】

職員(非常勤職員及び法人の役員等兼務の職員も含む)の人件費

※2分の1以上を賃金改善に充てることが条件


【算出方法】

1.補助基準額を算出します。

<計算式>補助基準額=各月初日の在籍児童数の合計×月額単価


2.当初交付申請額を算出します。

先ほど計算した補助基準額に、交付条件に見合った調整率をかけたものが、当初交付申請額となります。

 <計算式>当初交付申請額=補助基準額×調整率


【調整率とは】

調整率は、交付条件に即した以下3つとなります。


キャリアパス要件に関する調整率

キャリアパス要件を満たしていない場合は「×0」


第三者評価受審の取り組みに関する調整率

3年に1度以上第三者評価を受けていない場合「×0.5」


情報公開などの取り組みに応じた調整率

モデル賃金などの情報公開をしていない場合は「×0.5」


当初交付申請額の決定後、申請を行うことで、後日東京都により当初交付決定が行われます。

年度の途中で申請額変更ができますから、調整率に変動があった場合などは修正申告してください。

差額が生じた場合は、必要に応じて3月の補助金額で相殺されます。

補助金受領が完了した翌年4月に、改めて前年度の実績を報告し、補助金額確定となります。

場合によっては、返還金が生じることもあることを、理解しておきましょう。


参考:東京都福祉保健局「東京都保育士等キャリアアップ補助金・東京都保育サービス推進事業補助金について」

これから保育士に就職・復職する方を対象とした補助金制度

「保育士として長く仕事を続けたい」と検討している保育士を対象とした補助金もあります。

出産や子育てなどのライフイベントと、保育士の仕事を両立できる環境を提供することを目的として実施されている補助金制度は、以下の通りです。


未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付

未就学児がいる保育士が、職場復帰する際の支援として「未就学児を持つ保育士に対する保育料の一部貸付事業」があります。


子育てをしながら、保育士としてキャリアを継続できるように、その就労を支援することを目的とした制度で、子どもの保育料を無利子で貸付けることが可能です。


各自治体で実施していますが、以下は東京都の例です。

就職・復職してから1年を上限に、保育料の半額が貸付できることとなっています。


【貸付上限額】

月額27,000円以内 ※保育料の半額


【返還免除規定】

指定された勤務先に2年間程勤務すると、原則として全額免除


参考:東京都福祉保健局「未就学児をもつ潜在保育士に対する保育所復帰支援事業」


未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援

未就学児を持つ保育士がファミリーサポートセンター事業やベビーシッター派遣事業などの預かり支援事業を利用する場合に、その利用料の一部を貸付ける支援制度を実施しています。

東京都を例に、みていきましょう。


【対象】

令和6年8月1日以降に東京都内の保育所等※に勤務を開始した方または産育休から復帰した方で、週20時間以上保育士として勤務している方

※東京都の場合、保育所等とは認可保育所、幼稚園(条件あり)、認定こども園、認証保育所、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、病児保育事業、一時預かり事業、特例保育、認可外保育施設、企業主導型保育事業が該当


【貸付上限額】

123,000円(年額)

※子ども預かり支援事業の利用額の半額まで


【貸付期間】

最長2年間


【返還免除規定】

2年間保育士として就労した場合は、返還が全額免除となる


※最新の貸付条件や制度の詳細は各自治体によって異なりますので、必ず各自治体のサイトで最新情報をご確認ください。

参考:東京都福祉保健局「未就学児をもつ保育士の子供の預かり支援資金」


潜在保育士の再就職支援事業

各自治体で実施されている潜在保育士の再就職支援事業について、東京都を例にみていきましょう。


【貸付条件】

潜在保育士の再就職支援事業とは、潜在保育士が再就職を目指す場合に必要となる費用の貸付を行うものです。

具体的には、以下のような基準があります。


1.保育士養成施設を卒業、または保育士試験合格から再就職日まで1年以上経過していること

2.対象施設を離職・または勤務経験がないこと、かつ令和6年8月1日(2024年8月1日)以降に対象の保育所で週20時間以上保育士としての勤務をスタートしていること

※東京都の場合、認可保育所、幼稚園(条件あり)、認定こども園、認証保育所、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、病児保育事業、一時預かり事業、特例保育、認可外保育施設、企業主導型保育事業が該当


【貸付上限額】

40万円(一人一回限り)


※最新の貸付条件や制度の詳細は各自治体によって異なりますので、必ず各自治体のサイトで最新情報をご確認ください。

参考:東京都社会福祉協議会「潜在保育士の再就職支援事業」

保育士向け補助金制度の注意点

保育士向けの補助金制度を利用するにあたり、注意しておきたいポイントがあります。

 

自治体ごとに支援制度が異なる

自治体によって、実施されている支援制度が異なるケースもあります。

先述の東京都保育士等キャリアアップ補助金のように、都独自というような補助金も存在しますので、しっかりと確認してください。

自治体によって支援制度が異なる理由は、保育士不足の深刻度が地域ごとに違うことに起因しています。

園がある自治体で実施されている支援制度を確認し、活用できるものは使っていきましょう。


保育施設に補助金が支払われるものもある

補助金は一般的に園に対して支払われ、保育士に直接支給されないものもあります。

事業者にその分配方法が委ねられているケースもあるということを、あらかじめ保育士に周知しておくことが大切です。


年度によって制度内容が変わることがある

補助金や助成金は、年度ごとに内容が見直されることが多いため注意が必要です。


  • 対象要件の変更:経験年数、勤務時間、役職等の対象条件が変わる場合がある。
  • 支給額の変動:国や自治体の予算状況で支給金額が増減、制度自体が終了することがある。
  • 手続きの変更:申請スケジュールや必要書類が変更されるケースもある。

必ずご自身がお住まい、または勤務されている自治体の公式サイトで、最新かつ正確な制度情報をご確認ください。

補助金や助成金を正しく理解し活用しよう

保育士不足解消のためには、補助金や助成金などの各種支援金を活用し、保育士の労働環境や待遇を改善していくことが重要なポイントです。

年度ごとに変更があったりと手続きが複雑に感じられるかもしれませんが、国や自治体から発信される情報をチェックして上手に活用していきましょう。

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この記事を書いた人
えんみっけ!事務局長 Y.T
「えんみっけ!」の開発・運営の責任者(子育て奮闘中パパ)です。
保育に関わる方たちとの交流を通じて、役に立つ情報を発信していきます。

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